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石狩ファイル0008-01(2004年7月1日)

石狩の木 ナナカマド

いしかりのきななかまど


昭和53年1月1日、ナナカマドは石狩町(当時)の木に制定されています。当時の記録によると、候補としてカシワ、ハルニレ、ナナカマド、サクラの4種類の選択肢が設けられ、石狩町の発展を象徴するもの、石狩の風土気候に合ったもの、広く親しまれているもの、緑化しやすいもの、姿が美しく風格があるものという選定条件の下に町民の投票が行われた結果、ナナカマドに決定したものです。

ナナカマドは、バラ科ナナカマド属の落葉樹で、葉は長さ3〜8cmの小葉が9〜17枚向かい合って鳥の羽状につき、花は6月頃に、5枚の花弁を持つ径6〜10mmの小花が多数集まって、複散房花序といわれる形に咲きます。ふわりと丸い花の房は、華やかとはいえませんが、見ごたえがあります。果実は、5〜6mmの赤い球形が房を成し、雪が降る頃になっても枝先を彩っています。幹は、内に赤みを潜めた褐色で、材は堅く耐久力があり、細工物に適しています。冬至を越して春まだ浅い頃に見られる細枝の深紅色、初夏に咲くふわりとした花房、秋の紅葉、レンジャク・アトリ・ツグミなどの野鳥を誘う実と、四季を通して見所の多い木といえます。石狩市内では、庭木として植えられているほか、街路樹として各所にみることができます。

漢字では「七竃」と書き、牧野富太郎博士の「牧野新日本植物図鑑」によると、7回かまどにくべてもなお燃え残るほど燃えにくい木である、というのが名称の由来として一般的のようですが、他の説として、ナナカマドは実際にはそれほど燃えにくい木ではなく、それより木炭として火力の強い木で、これを作るには7日間炭焼きかまどに入れておく必要があることから「七日かまど」と呼ばれ、それがつまってナナカマドといわれるようになった(1)というものもあります。山地に自生して10mほどの喬木となりますが、高地では小低木となることが多いようです。

なお、ナナカマド属には、ナナカマドの他に多くの仲間がありますが、札幌や石狩周辺では、アズキナシ、ウラジロナナカマド、タカネナナカマドが野生のものとして確認されています(2)

(林 迪子)


参考文献

  1. 中村 浩(1998)植物名の由来.東京書籍.
  2. 原 松次(1922)札幌の植物.北海道大学図書刊行会.


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