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石狩ファイル0046-01(2005年9月25日)

石狩のエンレイソウの仲間

いしかりのえんれいそうのなかま


オオバナノエンレイソウ(撮影:阿部義孝氏)
5〜6月頃、まだ十分に葉が開いていない広葉樹の林内に、白い3枚の花弁を開いたオオバナノエンレイソウ(大花延齢草)が見られます。あちこちの林で見られますが、特に花川南防風林の群落は株数が多く、散策路が縦横に走っていて下草が刈られていることから見通しもよく、点々と広がる白い花は印象的です。ユリ科、高さ30〜70cmになる多年草。葉は3枚で大きく薄く、卵状菱円形または卵状偏円形。花弁は3枚。径は3〜5cmで上を向いて咲きます。

花川南防風林では、この他にクロミノエンレイソウ、コジマエンレイソウが確認されています。2種とも、オオバナノエンレイソウと同じくユリ科エンレイソウ属ですが、花の色は、前者は紫がかった褐色、後者は赤褐色です。花の大きさはオオバナノエンレイソウに比べて小さめです。また、クロミノエンレイソウは、花に見える部分が、実は花弁ではなくがく片であり、コジマエンレイソウには花弁とがく片があるが花弁の方が小さいなどの違いがあります。そのほか、実の形や色、おしべとめしべの長さの違いなど、詳しく観察するとたくさんの違いが見られます。

これらの他にも、エンレイソウ属には変種が多く、花の色、花弁とがく片の有無や数、実の形や色、おしべとめしべの長さの違いなどによって判別できます。花川南防風林以外の林にも、下草を少しかき分けて入って見れば、3枚の花弁(種によってはがく片)と3枚の葉で端正な姿をしたエンレイソウの仲間に出会うことができます。

(林 迪子)


参考文献


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