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石狩ファイル0057-01(2006年3月31日)

花川南防風林

はなかわみなみぼうふうりん


花川南防風林の位置 花川南防風林は、花川南の住宅地を南北に横切って道道手稲石狩線から発寒(はっさむ)川まで伸びる防風林で、幅70m、長さ1.8kmあります。林内は下草が刈られ、自然に踏まれてできた散策路があり、住民に親しまれています。

かつて石狩の海岸線が後退していった際に残された砂堤列が緩やかな勾配を繰り返しており、そのため、低地の部分と1〜2m程度高くなった丘状の部分があります。道道に近い低地の部分には、ミズバショウオオバナノエンレイソウなどが見られ、ハルニレやヤチダモなど比較的湿った環境に生育する樹木がたくさん見られます。南へと歩を進めると春には、バイケイソウ群落、夏にはオオウバユリの群落が目を奪います。南端に近くなると林は紅葉山(もみじやま)砂丘上に位置し、クルマユリやクゲヌマランなど周辺ではあまり見られなくなった植物が成育し、丘の間に分布する低地には、チョウジソウやクロミサンザシなどの希少種が見られます。

この防風林は花川南住宅地内だけでなく更に北へ石狩浜に向かって伸びていて、それらをふくめてかつては「斜め防風林」と呼ばれました。斜め防風林は明治26(1893)年、原野開拓に当り、殖民区画設定の際、開拓民の強い希望によって伐採しないで残された原始林で、その後も花畔(ばんなぐろ)村の村是(そんぜ:村の規則)として伐採を禁じられ、大切に守られてきました。必要に応じて大規模な植林も行われていますが、かつて原始林であった頃の多様な草本や樹木が多く生育しており、野鳥も60種以上が観察されています。

花川南防風林は周辺が住宅地となり、道路が舗装されたために低地部分で見られた湿地の植物ミズバショウ、タチギボウシなどの株数が減少したり、株が小さくなるなどの傾向が見られ、石狩低地帯原生林の植生が大部分消失している現在、今後周辺の開発や改変を行う場合には、貴重な植生が失われることがないように十分な配慮が必要と思われます。

(林 迪子)


参考文献


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