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石狩ファイル0122-01(2010年10月31日)

石狩のチョウザメ(生物編)

いしかりのちょうざめ(せいぶつへん)


平成16年に石狩川河口付近で混獲されたダウリアチョウザメ
硬骨魚綱(こうこつぎょこう)/軟質亜綱(なんしつあこう)/チョウザメ目(もく)/チョウザメ科およびヘラチョウザメ科

■チョウザメとは
チョウザメは、淡水域〜海域に生息する大型の魚類で、全部で27種いると言われています。サメの仲間(軟骨魚綱)ではありません。 北半球の温帯〜寒帯に分布しており、特に北アメリカ、ロシアの沿岸や河川・湖沼に多く見られます。一生淡水域で暮らす種と河川と海とを行き来する種とがありますが、後者も産卵の時は河川に遡上(そじょう)します。卵の塩漬けキャビアは世界三大珍味の一つとされています。非常に長寿で、大型の種で大きいものは体長8m、体重2tにもなります。最高齢は153歳という記録もあります。

■石狩のチョウザメ
チョウザメは、日本近海では北海道や東北の沿岸で見られることがあり、河川ではかつては石狩川、天塩(てしお)川、釧路川、十勝川に遡上していました。しかし大正時代から昭和初期にかけて急激に減少し、今では見られなくなってしまいました。 かつて北海道にいたチョウザメは、ミカドチョウザメ(Acipenser mikadoi)とダウリアチョウザメ(Huso dauricus)の2種と考えられています。ごく稀に今でも石狩(石狩川河口周辺、石狩湾沿岸)で捕獲・混獲されることがあり、記録や標本が残っている事例が近年では5件ありますが、養殖種ベステル(オオチョウザメとコチョウザメを交配したもの)の1件を除き、いずれもダウリアチョウザメです(表)。

■チョウザメの現状
現在、日本ではチョウザメは事実上絶滅したとされています(環境省と北海道のレッドリストには絶滅種として記載されている)。昭和初期に激減した理由は明らかではありませんが、河畔林の減少など河川環境の悪化が原因ではないか、とも言われています。また、世界的にも環境悪化や乱獲などにより個体数が激減しており、27種中23種がIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に指定されています。

(志賀健司)

表:石狩で近年捕獲・混獲されたチョウザメ
捕獲年水域体長(m)
昭和44(1969)年石狩川河口1.9ダウリアチョウザメ
昭和63(1988)年石狩川河口不明ベステル(養殖種)
平成5(1993)年石狩川河口1.4ダウリアチョウザメ
平成16(2004)年石狩川河口2.3ダウリアチョウザメ
平成17(2005)年石狩湾沿岸1.6ダウリアチョウザメ


参考文献


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