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石狩ファイル0136-01(2014年1月15日)

石狩浜の海浜植物保護

いしかりはまのかいひんしょくぶつほご


石狩川が運ぶ土砂によって、河口をはさむ延長約25kmの海岸線には、海岸砂丘が形成され、そこには多様な海浜植物の群落が広がっています。これらの海浜植物は、1970年代以降、山菜として多量に採取されたり、車両の乗り入れによる群落の破壊などにより、衰退、減少が進みました。

こうした状況を危惧し、石狩市(当時は石狩町)は、昭和53(1978)年より、「石狩川河口海浜植物等保護地区」を指定するなど、海浜植物の保全に取り組むとともに、市民による保全活動の後押しにより、平成12(2000)年、石狩浜海浜植物保護センターを開設しました。

「石狩市石狩浜海浜植物保護センター条例」(平成12年3月30日制定)では、

  1. 海浜植物の調査、保護及び増殖に関すること
  2. 石狩浜の自然環境の保全に関すること
を事業として定めています。

石狩市は河川管理者である北海道開発局より一部占用許可を受けて管理し、「海浜植物等保護地区」、及び「はまなすの丘公園」を設け、条例でそこでの植物の採取や車両の乗り入れを禁止しました。その結果、ハマボウフウをはじめ、ハマナス、イソスミレなどの群生地が現状を維持、または回復する傾向を示しています。平成25(2013)年には、保護地区はこれまでの河口地区(16.5ha)に加え、弁天地区(3ha)と親船地区(12ha)が新たに追加されました。

また、海浜植物保護センターでは展示物や自然観察会などを通じて海浜環境保全への理解を働きかけています。また、センターの屋外に観察園を設け、自生株より得た種子から育成した苗を移植するなどして、石狩浜の海浜植物を身近に観察、触れ合うことができる場にしています。センターを介して、石狩浜は大学や民間の研究者らのフィールドとなり、海浜植物の多様性の新たな発見や環境保全の試みも行われています。

このような事業により、海浜植物環境の保護保全は成果を上げていますが、今後の保護保全のためには、浜を利用する人々の協力が不可欠であり、同センターでは、折に触れてその点を強く呼びかけています。

(林 迪子)


参考文献


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