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海浜マメ知識

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新

広報いしかり2007年5月号から10月号に、当センターで執筆した「海浜マメ知識」を掲載しました。(一部の画像は、広報に用いた画像と異なります)

海浜マメ知識1(広報いしかり2007年5月号掲載)
「海浜植物群落がつなぐ海と森」

 海浜植物は、砂浜に根を下ろし葉を広げることで、飛砂を捉え、海辺の厳しい環境を緩和し、砂地を栄養分のある土壌に変えていきます。砂丘に風を遮られ、安定し穏やかな環境になってきた海浜植物群落の中には樹木の芽が育ち、やがて森ができていくと考えられています。海浜植物群落は、海の厳しい環境と森が成立する陸地の穏やかな環境とを結ぶ緩衝帯とも言えます。石狩浜では、志美北三線道路を海側から陸側へ向かって歩き、周囲の植生を観察すると、このつながりが実感できます。

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海浜マメ知識2(広報いしかり2007年6月号掲載)
「どうして海浜植物は砂浜で生きられるの?」

 私たちの砂浜のイメージは、乾燥、熱い、塩風が強い、栄養分がないなどで、植物が育つには到底良い環境とは思えません。しかし、実際は砂の中15cmほど潜れば、温度は安定し、適度な湿り気も出てきます。そこで、砂浜の植物は、茎や根を地下に長く伸ばし、地表には、葉と花といった体の最小限の部分しか出しません。一方、地表に出る葉は、分厚い、細かい毛が密生、ピカピカ光沢のあるロウのようなものでコーティングされるなどの性質を持つことで、葉からの水分の蒸発を防いだり、塩分が体内に入るのを防いだり、砂粒によって傷つけられるのを防いで、厳しい砂浜の環境に適応しているのです。

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海浜マメ知識3(広報いしかり2007年7月号掲載)
「咲いた花はどれだけ実になる?」

 石狩浜は花の最盛期の季節を迎えています。ハマナス、ハマエンドウ、ハマボウフウ、ハマヒルガオなど、砂の上でたくましく花を咲かせています。さて、これらの花はやがて実を結びますが、すべての花が実を結ぶわけではありません。「5割、1割、8割、3割」。この数字は、上記の種の咲いた花が実になる割合です。種類によってだいぶ違いますね。どの種類も虫に花粉が運ばれて実を結びますが、他の株の花粉でなければ実らない種(ハマエンドウ、ハマナス、ハマヒルガオ)や、虫が訪れやすい種(ハマナス、ハマボウフウ)など、花の性質の違いが実になる割合に大きく関係しています。海辺の花たちは、昆虫と深く関わりあって生活しているのです。

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ハマナス:5割
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ハマエンドウ:1割
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ハマボウフウ:8割
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ハマヒルガオ:3割

海浜マメ知識4(広報いしかり2007年8月号掲載)
「海岸草原の鳥たち」

 春から初夏まで浜を賑わわせていた鳥たちの声は、8月になるとあまり聞こえなくなります。あんなに賑やかだった鳥たちは、どこへ行ってしまうのでしょうか。盛んにさえずっていた鳥たちは、おもにヒバリ、ノビタキ、ノゴマ、ホオアカなどの草原性の小鳥で、恋のさえずり、巣の縄張り主張のためにさえずっていたのです。8月になると、子供たちも巣立ち、さえずる必要がなくなります。また、秋の気配を感じ、冬に備えて、徐々に南の地方へ旅立っていくのです。 毎年のように、石狩浜に鳥たちがやってきて、美しいさえずりを聞くことができるのは、子育てするのに適した環境-巣作りに適した植生があり、餌となる豊富な昆虫がいるーが石狩浜に残っているからです。鳥たちがいつまでも石狩浜に来られるよう、私たちが意識して自然を守っていかなければなりません。

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ヒバリ
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ノビタキ
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ノゴマ
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ホオアカ

海浜マメ知識5(広報いしかり2007年9月号掲載)
「浜の動物を支える秋の実り」

 一面のススキの穂がゆれる秋の石狩浜。草原の中をよく見てみると、動物たちのごちそうが結構ありますよ。よく目につく赤い実は、ハマナスとアキグミ。そして、山では木の高い所になっているヤマブドウの実も、海辺の草原では地面を這っています。また、少し内陸に広がる海岸林のカシワの木には、ドングリがたくさんなります。これら秋の実りは、海辺で暮らすキツネやノネズミ、そして木の実や草の実が好きな鳥たちの秋~冬にかけての大切な食物となっています。
 植生豊かな海辺は、豊富な秋の実りを生み出し、動物たちが暮らせる環境を創り出しているのです。

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ヤマブドウ
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アキグミ
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ハマナス
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カシワ

海浜マメ知識6(広報いしかり2007年10月号掲載)
「石狩浜の砂丘が消える?」

 石狩浜では10月になると、北西の風が強く吹くようになります。晩秋から冬にかけて吹くこの風が、石狩浜の砂丘をつくります。砂丘といえば、砂漠にある砂の丘をイメージしますが、石狩浜の砂丘は、海浜植物に覆われた緑の砂丘です。
 春から夏にかけて、海浜植物が根を張り葉を広げると、風によって運ばれてくる砂が植物によって捉えられ、砂が積もり、砂丘が育っていきます(図1)。
 一方、車の走行や過剰な人の歩行によって海浜植物がなくなってしまうと、風によって砂が飛ばされ、砂丘が削られ、崩れていきます(図2)。
 今、石狩浜の砂丘は、柵によって砂丘植生内の車走行を防いでいるにもかかわらず、モラルのない車の侵入・走行によって、海浜植物が育つことができなくなり、崩壊が進んでいる箇所が多数あります。 
 緑豊かで花々が彩る心地良い海辺環境を、次の世代へ残していくためには何をしなければならないのか、最低限のモラルやマナーを守ることら始めましょう。 
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図1 海浜植物によって砂が積もる様子
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図2 植物がなくなって削られた砂丘