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いしかり博物誌/第20回

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


第20回 石狩はどこで雨出す?

北海道のアメダス観測地点を表した地図画像

 「アメダス」、もうテレビの天気予報でおなじみでしょう。「今日午後6時までの降水量です」などと、日本や北海道の地図上に色分けされた点が無数に示される画面、あれです。アメダスと言っても、雨の量を出すから「雨出す」でもないし、まして「雨です」がなまった「雨だす」でもありません。「Automated Meteorological Data Acquisition System」の頭文字です。直訳すると「気象データ自動収集システム」という感じですが、正式な日本語名は「地域気象観測網」となります。ところでテレビの画面をよく見ると、どうやら石狩市にも1つ、点があるようです。あの点はどこなのでしょうか。そして、そこにはいったい何があるのでしょう。

 気象庁の気象台や測候所は全国に約150ケ所ありますが、アメダスはそれだけではつかめないような、きめ細かい雨量や気温などの観測をして、防災や天気予報に役立てよう、というしくみです。その実体は日本中に散らばる無人の観測所です。気象台や測候所も加えると全国で約1300ケ所、平均すると17キロメートル四方に1ケ所あることになります。そこでは昼夜の区別なく1時間ごとに雨量や気温などが観測され、電話線や無線を通じて全国のデータが集められるのです。

 さて、石狩市のアメダスの「点」ですが、生振(おやふる)地区の中心付近にあることがわかりました。そこには写真左のような無人観測所があったのです。アメダスの「石狩」(「石狩地方」ではありません)の気温、降水量とは、正確には生振(おやふる)のことをさしていたのです。観測所といっても電柱のような柱と怪しげな装置がいくつか置いてあるだけで、唯一気象観測らしいのは、柱のてっぺんで回っている風車ぐらいです。それでもここでは降水量、気温、風向・風力、日照時間、積雪深の観測が休むことなく続けられ、防災や天気予報を支えているのです。もし見つけても、観測のじゃまにならないよう遠くから見守るだけにしてあげましょう。   (志賀健司)
生振(おやふる)地区のアメダス観測所の写真   アメダスの観測データの例(平成12年12月末の気温と降水量)を表した画像