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いしかり博物誌/第44回

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


第44回知津狩川の最初の一滴

石狩市と厚田村との境界を流れ、石狩川河口部に注ぐ、知津狩川(しらつかりがわ)。その源流はどこにあるのか。昨秋は途中で断念した知津狩川源流調査(2002年12月号参照)。笹薮が残雪で覆われて歩きやすい4月、再アタックを敢行しました。

前回は砂防ダムの沼地に行く手を阻まれました。今回はその上流側に回り込むため、近くの林道からゆるい斜面を選んで下り、谷底にたどり着きました。しかし、またしても障害が。雪解け水で増水した川は深く、流れもかなり速かったのです。とても渡れそうにはありません。かといって岸沿いを進むにしても、こちら側はけっこう急斜面で、無理に歩くと雪が崩れそう【写真1】。川筋をたどるのは、またしても断念!
知津狩川源流調査(2002年12月号参照)の写真1写真1:雪解け水で増水。2回目のアタックはここで断念しました。


戻って地形図をよく見てみると、川の北側の尾根上に林道らしきものがあることに気づきました。ちょっとズルになりますが、このルートからもっと上流に回り込むことができるのでは!立方メートル

三回目のアタック。春の陽気で残雪もかなり少なくなっています。狙ったルートは途中で笹薮の密集地帯が続きましたが、そこを突破した後は細い林道が続き、どんどん奥へ入って行けました。谷底のほうからは川の水音が聞こえてきます。やはりかなり増水しているらしく、すでに地図上では川が記されていない場所です。

やがて目の前に巨大なレーダードームが見えてきました【写真2】。阿蘇岩(あそいわ)山頂です。知津狩川の源流を求めて、とうとう石狩市の最北端、市内で最も標高の高い地点まで来てしまいました。地図の上で知津狩川をさかのぼり、川の記号が消えてもさらに谷筋を読み取ってたどっていくと、この石狩市最高地点近くまで到達することはわかっていました。さて、目指す方向を見ると、確かに谷がありました。「溝」と言ってもいいくらい小さな谷ですが、近寄ってみると…。
知津狩川源流調査(2002年12月号参照)の写真2写真2:石狩市最高地点。自衛隊のレーダーが建っています。

そこには、水が流れていました。ちょろちょろと、半ば残雪の下に隠れていますが、間違いなく川です【写真3、4】。知津狩川の最初の一滴は、石狩市最高地点から生まれていたのです。
最高地点から見た知津狩川源流の写真写真3:最高地点から見た知津狩川の源流域。
知津狩川源流の写真1写真4:知津狩川の源流。残雪の下から水が流れ出しています。

知津狩川源流の写真2
地図:3回目のアタックで、ようやく源流を発見。

(志賀健司 広報いしかり2003年6月号掲載)