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いしかり博物誌/第62回

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


第62回 118年目の「石狩警察署」

平成16年4月、親船町の警察官派出所跡から「石狩警察署」の石碑が見つかったと連絡がありました。さっそく行ってみると、高さ75センチで底面は18センチ×14センチの長方形をしており、細長いピラミッドのような形をしていました。軟石でできているためか、あちこち傷ついていましたが、はっきりと「石狩警察署」という文字が読み取れます。

「石狩警察署」という名称は、明治20(1887)年から明治22(1889)年にかけて使われたのが最初です。以後、大正から昭和にかけての時期に一度、さらに戦後まもなくのごく短い期間の三度にわたって用いられました。この石碑には年号などが入っておらず、文献もないことからいつ設置したのかよく分かりませんが、この石碑がまったく忘れられていたことから考えると、最も古い明治20年ごろのものではないかと考えています。

石狩本町地区には、当時、石狩ほか厚田、浜益を管轄する郡役所があり、警察署は、その隣に建っていました。石狩には、渡船場があっただけでなく、江別行きの外輪船の出発地になるなど、石狩川の水運の中心地でした。そのため警察署の管轄は、石狩から厚田、浜益、篠路に及び、治安の維持に大きな役割を担っていました。

この石碑が発見される契機になったのは、本町地区の再開発事業です。平成17(2005)年1月11日に、旧役場庁舎と駐在所の跡に、市営住宅のほか、出張所、郵便局、銀行のキャッシュコーナーなどが入った複合施設がオープンします。

「石狩警察署」の碑は、石狩町開基300年を記念した「賛石狩郷(さんいしかりきょう)」の碑とともに、この複合施設の前に建てられています。118年目の「石狩警察署」の碑と新しい複合施設の取り合わせは、再開発事業により過去と未来が交差する本町地区の今を象徴しているようです。

1月11日オープンの複合施設(本町地区)
1月11日オープンの複合施設(本町地区)

複合施設の前に建てられた「石狩警察署」の碑
複合施設の前に建てられた「石狩警察署」の碑


※石狩川の外輪船(がいりんせん):
明治17年から昭和10年まで運航。最初は石狩-月形間で運航され、最盛期には石狩から江別を経由し恵庭・砂川までの航路があった。

※複合施設は、平成17年より「石狩市観光センター」としてオープンしています。

(工藤義衛 広報いしかり2005年1月号掲載)