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いしかり博物誌/第63回

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


第63回 石狩浜から世界が見える

昨秋、浜辺で瓶を拾いました。

2004年は、数多くの台風が日本列島を襲いました。石狩浜でもそのたびに大波が打ち寄せましたが、そんな次の日には、浜辺にはいろいろな物が打ち上げられて残っています。貝殻、流木など自然のものから、漁具や100円ライターのような人工のものまで、さまざまな物がありますが、中でも目立つのが、ペットボトルやガラス瓶などの容器です。そのほとんどは見なれたジュースやお茶、ドリンク剤などのものですが、よく見ると、ときどき見なれないものを目にします。外国の瓶です。

昨年いくつめかの大きな台風が過ぎ去った後、石狩浜海水浴場から石狩湾新港まで歩いてみました。確かに、ボトルがたくさん漂着しています。大半は日本のものですが、外国のものもかなり混じっています。外国と言っても、英語が書かれた瓶はありません。ほとんどがロシア文字か、ハングル文字が書かれたものでした。異国の川や海岸から流れてきたのか、船上から捨てられたのか。どちらにしても、エボシガイが付着している瓶も多く見られることから、ある程度長い間、海上を漂っていたことがうかがえます。

ロシアの瓶で多いのは、やはりВОДКА(ウォッカ)やПИВО(ビール)。ハングル(主に韓国?)のものは、ドリンク剤らしきものが目立ちます。飲み物だけではなく、以前には、ちょっと危険なものを見つけたこともありました。H2O2(過酸化水素)と書かれたポリタンクです。過酸化水素は、ごく薄いものはオキシドールとして知られる消毒薬として使われていますが、濃いものは強い酸化力を持ち、有機物を分解してしまう劇薬です。

そんな恐い物もたまにはありますが、他にもフランスやオランダのポリ容器など、いろんな国から漂着物がやってきます。石狩浜は、世界につながっているのです。台風通過後だけでなく、強い季節風が吹きつける冬の時期も、世界各地からの「たより」を見つけるチャンスです。


石狩浜に漂着した外国の瓶、ペットボトル
石狩浜に漂着した外国の瓶、ペットボトル

エボシガイが付着した韓国のボトル
エボシガイが付着した韓国のボトル。エボシガイといっても貝ではなくフジツボの親戚で、漂流物や船底に付着して生活します。

韓国製の過酸化水素タンク
韓国製の過酸化水素タンク

ウォッカのボトル
ウォッカ「РУССКИЙ РАЗМЕР(ロシアのリズム)」

(志賀健司 広報いしかり2005年2月号掲載)