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平成30年度 市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月23日更新

 

 

平成30年度市政執行方針

平成30年2月23日(金曜日)
平成30年第1回石狩市議会定例会

 平成30年第1回石狩市議会定例会に当たり、新年度の市政に臨む基本方針について申し上げたいと存じます。

はじめに

 我が国の国民性は、手間暇かけた手仕事を好む一方で、戦後、科学技術による経済立国を目指す中、合理性、生産性を追求するなど柔軟な思考をも有する「しなやかな」国であったと受け止めております。

 しかしながら「失われた20年」と揶揄される平成の時代は、円高、デフレ、経済摩擦、グローバル化、国内にあっては、雇用、貧困、いじめ等さまざまな社会相が噴き出し、昨今の第4次産業革命の潮流をも先行され、また歴史上経験のない金利ゼロ政策が生み出したバーチャル経済は、いつの日にか歴史的検証の対象となるほど特異的現象にあり、我が国は未来像を描ききれない不透明感が漂っております。

 平和の象徴、韓国・平昌オリンピック・パラリンピックに引き続き、間近に迫る2020年東京大会は、曇天の空から精神的な開放感、希望感といった青空を垣間見ることができるものの、もとより晴天をもたらす高気圧とはなりえないことを理解せねばなりません。

 すなわち、地方自治体は、独自の歴史観の中でこの大変革への時代を敏感に察知し、識見高くまちづくりを進めていく覚悟と行動力が強く求められており、市長の責務も大きなものがあると強く認識いたしております。

 本年は、開道150年を迎えます。この1つの歴史的通過点をイベントとして祝うだけではなく、過去の事象を検証しつつ現状を調べ、石狩故の歴史的必然性を、今日の時代感覚によって見つけ出す絶好の機会として捉えたいと思います。このたび郷土史家 田中實氏編著により発行される「石狩川河口地域開発史概説年表」は、私たちに先人たちの希望や行動、選択と決断を伝える、魂を注いだ一作であり、時宜を得たものであると思います。我々の歩む先に幾筋もの可能性を指さしてくださったものと、心して拝読させていただきます。

 私はこれまで市長として、

・地勢学的多様性の強みを活かす

・子どもたちの生きるための学力、ふるさと意識づくり

・高い市民力をより主体的に

・歴史・文化的視線から未来を見通す

・成長の可能性を照らし続ける播種型まちづくりへのこだわり

・災害対応は市民力の結集こそ最大のディフェンスとなる

・健全財政あってこそ、より可能性を論ずることができる

などを中心にまちづくりを進めて参りました。これらの連携により初めて福祉行政が推進されるのであって、直接的経済支援は次代に負担を強いる副作用を有していることを、もっと知るべきではないでしょうか。このような思いのもと、市民、議会等のご理解、ご協力をいただく中で市政に取り組んで参りました。

 新年度は、今任期仕上げの予算であります。

 地方交付税交付金の微減はあるものの、地方税収の増加などにより前年度枠の財源は確保されました。しかし、引き続き規範に基づく財政運営を継続していくことに変わりはありません。

 そのような中、50の新規事業を盛り込み、基金を取り崩すことなく、財政規律の遵守と収支バランスを確保し、健全な財政運営を意識した「未来につなぐ予算」を編成しました。

 昨年、石狩湾新港地域で新たに操業を開始した企業は21社、分譲面積も9.7ヘクタールに及ぶなど、昨今の旺盛な企業活動に支えられ市税の伸びは堅調であります。財政健全化指標においても、実質公債費比率は土地開発公社解散に伴う3セク債の償還が本年度から始まり一時的に上昇はするものの、将来負担比率は市債残高の縮減により改善基調にあります。このような財政運営があってこそ、各種福祉施策への取組も可能であると考えております。若い世代の方々が石狩のまちに住み、子どもを産み育てていただきたい。地域全体で石狩の子どもたちの未来を支えていかなければならないとの思いは、市長就任以来不変であります。子どもたちが健康に育ち、等しく学ぶことのできる環境整備や子育て世帯への支援は、未来を担う人づくり、まちづくりに欠かせないものと認識しております。無論、働き手の確保や増加する高齢者への対応といった基本的課題も避けて通れないことは言うまでもありません。そのためにも、これからの石狩の発展を牽引していく人材育成や、新たな成長産業の創出にも果敢に挑戦しなければなりません。

 新たな成長産業とは具体的に何を言うのか。

 私は、その答えを裾野の広い「観光産業」であると確信しております。

 新たな拠点として道の駅がオープンします。厚田区・浜益区の魅力ある食や歴史、文化、自然等の資源を活かした観光振興による地域づくりを進め、それらの情報を国内外に広く発信することにより、来訪人口の呼び込みを図り、雇用の創出は無論のこと、地域の経済的・人的・文化的交流など、さまざまな分野に波及効果を生み出して参りたいと考えております。

 以上の基本的な考えを踏まえ、主要な取組について申し上げます。

(「地域創生」の推進)

 厚田区の地域協議会が中心となり、多くの地域住民の議論の積み重ねから見い出されてきた複合施設が「道の駅石狩・あいろーど厚田」としてスタートします。

 日常にある地元の食や自然、文化、景観こそ、観光客が求める魅力となっています。市民が主役となり、地域経営にかかわり、地域全体で来訪者の受け入れに取り組むことはもちろんのこと、地域に眠る資源を掘り起こし、磨きをかけ輝かせるとともに、知識・理解を深めることで、一層地元への愛着や誇りを生むことになります。

 そのため、道の駅周辺の環境整備のほか、年間を通じた誘客促進を図るため、主要な観光資源を含蓄している浜益区に生育・生息する動植物などの自然質や文化財の調査を実施して参ります。また、その魅力を発信するガイドボランティアの育成を図り、今ここでしか食することができない、ここに来なければ体験できないといった石狩ならではの個性をPRし、交流人口の拡大による経済の波及効果を誘発するなど、地域振興を推し進めて参ります。

 自転車の活用は、単に近隣の移動手段としてだけではなく、環境負荷の軽減や健康増進等さまざまな効果が期待されており、その利用環境は大きな変革期を迎えております。特に北海道の雄大な自然景観を求めて国内外からサイクルツーリストが多数来道しており、走行環境の改善や受け入れ環境の充実等が求められております。そのため、国、道、市等が連携し、世界水準のサイクリング環境の整備に向け、国内でも先駆的な「自転車活用推進計画」を策定し、サイクルツーリズムのさらなる推進を通じ、道の駅を含めた周遊観光の確立と、交流人口の拡大を図って参ります。

 交通問題は、都市部・郡部を問わず遍在しており、バスを中心とする本市の公共交通は、将来にわたって持続可能な仕組みを構築する必要があります。そのため、関係機関と連携しながら地域事情に応じた利便性の高い交通網の形成に向けた協議を進め「地域公共交通網形成計画」を策定します。

 北海道商工会議所連合会が昨年12月に行ったアンケートによると、道内で深刻化する人手不足が企業経営に「影響を及ぼしている」との回答は92.9パーセントに達しております。市内企業においても同様の傾向にあり、全業種における労働力不足の解消は喫緊の課題となっていることから、若者の雇用、就労、職場定着の促進を図るため、就職支援セミナーの開催や運転免許取得助成など、従業員の確保につながる支援策を継続して取り組んで参ります。

 石狩湾新港地域は、本道における生産・加工・物流ならびにエネルギーの供給拠点であり、雇用創出や高度な物づくり、新たな産業を創出する北海道のエンジンともいえる推進力を有しております。石狩湾新港は、昨年5月に国土交通省より全国第1号となる「農水産物輸出促進計画」の認定を受けました。このため、冷蔵・冷凍コンテナの電源供給設備の増設等に着手するとともに、今後取り扱いの増加が見込まれる北海道産品の輸出拠点として、デリバリー機能などの利便性向上を図って参ります。

 本年度、これまで本市における長年の課題であったビジネスホテルの誘致に成功いたしました。同地域の次なるステージに向け、引き続き立地企業が有する先進的な技術と行政サービスなどとの連携について検討を行うとともに、これまでの物流や製造業のほか、テクノロジーの進化が著しい情報産業といった新たな成長分野の誘致を戦略的に進めて参ります。また、集積する再生可能エネルギーを核とした新たな視点による産業振興戦略についても検討を進めて参りたいと存じます。

 農業者戸数の減少と高齢化は、本市においても確実に進んでおり、担い手の確保は喫緊の課題となっています。農業者団体との連携により、新規参入者の積極的な受け入れを引き続き取り組むとともに、施設整備に対する支援を行うなど、勧農施策を推進して参ります。

 また、米の減反政策が廃止され、米の作付面積は、農業者の意思により自由に設定できることとなりました。本市農業の将来は、米や小麦といった広大な土地を必要とする土地利用型農業を進めていくのか、大消費地を背後に控えた立地条件を活かし、生鮮野菜等、施設園芸作物を中心とする都市近郊型農業を進めていくのか、今、その転換期にあります。今後、農業者団体等と協議を進め、その方向性を見い出し適切な支援を行って参りたいと存じます。

 約80キロメートルにも及ぶ海岸線を有する本市において、漁業は古くから営まれてきた基幹産業のひとつであります。昨年はニシンの好漁に始まり、特にサケ漁はこの10年で最大の漁獲量となり価格の高騰と併せ前浜は大いに賑わいを見せました。引き続きニシンやサケを中心とした栽培漁業に対する支援を行い、漁業資源の維持、増大に向けた取組を推進するなど、漁業経営の安定化を図って参ります。また、そのためにも市内3漁港が果たす役割は重要であり、新しい機能の整備について検討を始めたいと存じます。

(「子育て・子育ち」の充実)

 厚田区に市内初となる小中一貫による義務教育学校の新校舎の建設工事に着手します。老朽化した厚田保育園を新校舎に併設するとともに、地域開放型図書館を配置した複合施設として、子どもたちの学びの環境を整備します。

 現状の樽川地区における子ども・子育て支援のため、拠点となる機能の必要性を強く認識しております。新年度において具体的対策への検討を始めます。また、花川南地区を含めた中高生の居場所づくりなどについても同様に、具体化に向けた調査・検討を行います。

 懸案でありました子ども医療費について、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、通院にかかる医療費助成を小学1年生まで拡充するとともに、一定の所得以下の世帯を対象に保育料の負担を軽減し、幼児教育を受ける機会をさらに充実いたします。

 子育て世帯や若者の生活実態、今日的な課題等を把握するための調査を実施するほか、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援するため、民間サービス事業者と連携し、スマートフォン端末を活用した情報提供を行うなど、子育て世代の包括的な支援を充実して参ります。

 将来にわたり安定したまちづくりを展開するためには、そこで活躍する定住人口の増加施策を講じることが必要です。本年度に引き続き、空き家取得助成を通じ、子育て世帯や市外に居住し本市に職場をもつ方々など、現役世代の移住・定住を促進するとともに、浜益区内の居住環境向上のため、民間が建設・運営するアパート整備を支援し、定住促進や地域の雇用環境の改善を図って参ります。

(「医療・福祉」の充実)

 新年度から国民健康保険事業の財政運営は、北海道が責任主体となります。長らく保険税率を据え置いてきた本市においては、税率改定は避けられない状況にありますが、被保険者の負担抑制を図るため、一般会計から国保会計に一定額の繰り入れを行う軽減措置を講じます。また、累積赤字の解消についても、所要の措置を講じて参ります。

 「高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」が新年度からスタートします。介護を必要としない体づくりの各種施策に引き続き取り組むほか、本年度から開始した介護予防・日常生活支援総合事業の実効性を高めるとともに、地域の実情やニーズに合わせたきめ細やかなサービスを提供し、高齢者に関する保健・医療・介護・福祉の連携を強固なものにして参ります。

 介護サービスの利用者は増加する一方で、それを支える担い手不足が深刻化しております。本市の福祉施設においても従業員の高齢化や退職等により人材の確保に苦慮している状況にあることから、特にこの問題が顕在化している厚田区・浜益区の福祉施設における人材確保に向けた取組を支援して参ります。

 国立社会保障・人口問題研究所は「日本の世帯数の将来推計」において、世帯主が65歳以上の高齢世帯は2040年に全世帯の44.2パーセントを占めるようになると推計しております。一人暮らしの高齢者の増加が見込まれ、身近に頼る人がいない状況で、地域で支え合う仕組みがますます必要になることが予測されます。そのため、公共空間である街区公園内に地域住民が気軽に集える「多世代交流拠点」を開設し、地域コミュニティの醸成を図るとともに、新たな公園の利活用モデルを展開して参ります。また、認知症の方の社会参加を促すため、高齢者、障がい者、子どもなどさまざまな世代や分野を超えた地域住民が一同に集い、お互いを理解し、支え合い、それぞれが役割を持った交流拠点を開設し、「我が事」「丸ごと」の地域共生社会の実現を目指して参ります。

 医療技術の向上等により、これまでかなえることが困難であった子どもの命が救えるようになった一方で、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもを支える施設や体制が整備されていないため、家族に重い負担がのしかかっているのが現状です。そのため、市内で医療的ケア児を対象にした障害福祉サービスを実施する事業者を支援し、保護者の負担軽減と事業の安定化を図り、安心して利用できる環境を整備して参ります。

 昨年は、全国手話言語市区長会主催による「第1回手話劇祭」の開催や、「第34回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」において石狩翔陽高等学校の生徒が第一位を獲得、さらには平成29年度バリアフリーユニバーサルデザイン推進功労者表彰において内閣府特命担当大臣表彰優良賞を受賞するなど、手話の普及を実感するとともに、手話に対する市民活動が評価された大変喜ばしい年となりました。このことは、ろう者の母語である「手話」に対する市民の想い、姿勢が高く評価されたものであり、引き続き地域に根ざした本市の活動を全国発信するとともに、手話をより使いやすい環境づくりを推し進めるなど、多様な言語や文化を受け入れる「共生社会」の実現を目指して参ります。

(「防災力」の強化)

 これまで市と消防署が担っていた自主防災組織の育成や救急救命講習に加え、災害弱者への防火・防災指導、学校等を対象とした防災事業等を一元的に実施し、まち全体の災害に対する自助力・共助力の向上を図るため、市民との協働により一般財団法人による「防災まちづくり協会」を創設します。

 市民の安心・安全を守り、多様化・複雑化する災害への対応を図るため、消防署に配備されている救助工作車を更新整備するとともに、災害時や緊急時において飲料水を供給できる体制を強化するため、加圧式給水タンク車を配備します。

 昨年発生した「浜益大雨災害」の教訓を踏まえ、地域防災計画を一部見直すとともに、被害の軽減を図るための排水機能等を具体的に検討します。また、市内に拠点を持つデータセンター事業者との連携により、浜益区内の河川の水位情報をリアルタイムに取得と発信が可能なIoT技術を活用した水位計センサー等を設置し、洪水・減災対策に取り組みます。さらには、今次の国の補正予算により、災害復旧、防災工事の大幅な予算が確保されたところであり、市としてもこれらの事業の推進に力を注いで参りたいと存じます。

 公用車にプラグインハイブリッド車を導入し、災害時の非常用電源としての活用と併せ、省エネ・再エネの推進と環境教育的活用を図って参ります。

おわりに

 今任期中、大きな課題であった土地開発公社を解散し、財政の健全化に向けた一定の道筋をつけるとともに、石狩湾新港地域への積極的な企業誘致活動の展開による税収の増加を背景に、子どもの居場所づくりや若い世代を市内に呼び込む移住・定住対策といったソフト面を中心とした新たな事業に着手するなど、未来につながる人づくり、まちづくりに向けた各種施策を推進して参りました。もとより、まちの発展は市民力なくして達成し得ません。まちづくりの原動力は市民にあります。既に本市においては、市民の皆さまが協働意識のもとまちづくりに積極的に参加し、相応の実績を積み重ねてきております。

 しかしながら、人口減少、少子高齢化、過疎など克服すべき課題は山積しており、複雑に絡み合い、知恵を絞る事案も多く、すべてを解決に導く特効薬はもとよりございません。そのため、今やるべきことを見極め、投資なきところに未来はないとの強い決意のもと、市民生活に寄与できる将来を見据えた予算および政策の選択を行いました。

 平成は来年4月30日で閉じることになりますが、新年度は、次の時代づくりへの始動年でもあります。本市の最高法規である「自治基本条例」にのっとり、市民の皆さまとともに引き続き協働を推し進め、市民、事業者、議会、行政が主体的志(こころざし)を持ち、住み、暮らしてよかったと思えるふるさと石狩を共に創る「地域共創」の実現に向けて努力していこうではありませんか。

 市民ならびに市議会議員の皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げ、平成30年度の市政執行方針といたします。