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石狩ファイル0123-01(2011年10月10日)

石狩のワカサギ

いしかりのわかさぎ


■生息状況
石狩にはワカサギとイシカリワカサギの2種(いずれもキュウリウオ科ワカサギ属)が生息していますが、外見で区別するのは難しく、詳しい分布状況は分かっていません。

ワカサギH. nipponensis
・ワカサギHypomesus nipponensis:気道管がうきぶくろの前端に連結しています)
国内では利根川と島根県以北の本州と北海道に、国外では北アメリカ・カリフォルニアに分布しています。
降海型のものは生育地域によって脊椎(せきつい)骨数や生態に違いがあります。日本海側では、脊椎骨数が56〜57個で春の産卵期に海で越冬した満1歳の親魚が川へ遡上します。これに対してオホーツク海側では、脊椎骨数が55〜56個とやや少なく、秋に遡上した0歳の親魚が湖内で越冬し、翌春産卵します。陸封型や淡水残留型のものも、この脊椎数となっています。

・イシカリワカサギHypomesus olidus:気道管がうきぶくろの前端からやや後ろ下方に連結しています)
国内では北海道のみに、国外では、朝鮮半島、沿海州、サハリンからアラスカ、カナダ西部まで分布しています。北海道では川の下流域に連なる湖沼・河跡湖・支流に生息し、降海例は知られていません。サハリンでは降海しアムール川流域では双方が見られます。

■漁業資源として
1)ワカサギ漁
いつごろから行われていたのかは不明ですが、大正7(1918)年水産物収獲統計表に20貫(約75kg)の漁獲高が記されています。また、昭和13(1938)年12月3日付の「北海タイムス」に、ワカサギなどを原料とする町内のつくだ煮業者が共同加工場の設置を計画し、漁業者を加えて石狩水産物共同製造加工組合を結成した記事が掲載されています。
近年の漁獲高は以下の通りです。

年度H10年H11年H12年H13年H14年H15年H16年H17年H18年H19年H20年H21年
漁獲量(t)2182159212419314811540325567124

漁業者の話によると、一般的に、融雪量が多い年は漁獲高が下がる傾向にあるようです。

2)増殖事業
昭和43(1968)年に生振535番地(マクンベツ川)にわかさぎ施設が建設されて、増殖事業が本格的に行われるようになりました。近年の増殖事業は以下の通りです。

年度H10年H11年H12年H13年H14年H15年H16年H17年H18年H19年H20年H21年
種卵購入数(万粒)53,30033,40030,00034,00018,30030,00030,00022,00015,50027,00020,00017,000
※購入先:網走/西網走漁業協同組合

■レジャーとして
茨戸(ばらと)川は1月から3月上旬頃まで、氷に穴を開けて釣り糸を垂れる“ワカサギ釣り”を楽しむ人々で賑わいます。

(石井滋朗)


参考文献


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