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石狩ファイル0130-01(2013年9月1日)

石狩浜のハマボウフウ

いしかりはまのはまぼうふう


ハマボウフウ
なぎさに近い海岸の砂地では、波や風によって砂が動きますが、石狩浜では、ハマニンニク、コウボウムギなどが根を張って砂を止める役目を果たします。このような場所に、ハマボウフウ(Glehnia littoralis、セリ科)は生育します。

ハマボウフウの葉は厚くて硬くつやがあり、塩分を含む強風や強い太陽光を防ぎます。茎は砂中に埋まり、根は太い直根が水分を求めて長く伸びる一方、細い根が水平方向に広がって地上部分を安定させています。6〜8月には白色5弁の小花が開花して、複散形花序を形成します。多数の小花のうち、一部は雄しべと雌しべを備えた両性花ですが、残りは訪花昆虫を集めるためのディスプレイとして、あるいは花粉親としての雄性花です。果実は4〜5mmの長さの楕円形で稜があり、コルク質が発達しています。水に浮くことができる構造をしているため、海流に乗って種子散布を行うことができます。

ハマボウフウは北海道から南西諸島まで分布し、かつては各地の海岸で見られましたが、河岸護岸や川砂採取などによる砂の供給量減少が原因とみられる砂浜の減少により、近年自生地が減少しています。また、特有の香気を持ち、若芽が食材として珍重されて採取されるために、かつて石狩砂丘にたくさんみられた群落は減少してきました。石狩市では「石狩市石狩浜海浜植物保護センター条例」を制定し、ハマボウフウも含めた海浜植物の保護に努めています。

(林 迪子)

花と実(滝口,2001) ハマボウフウの根
(北海道環境科学研究センターほか,2006)


参考文献


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