石狩ファイル0141-01(2015年3月31日)
石狩砂丘の位置 |
現在、砂丘の表面は海浜植物に覆われた海岸草原で、植物の種類は海岸線から内陸に向かうにつれて変化していきます。海岸線にもっとも近い第1砂丘の海側はハマニンニクやハマヒルガオなどが主体で、少し内陸の第1砂丘陸側〜第2砂丘海側ではハマナスやハマエンドウなどが中心となります。第2砂丘の陸側には、大規模なカシワ林が広がっています。
砂丘では、多様な植生に支えられて様々な動物も暮らしています。ヒバリやトビを始めとする鳥類や、哺乳類ではネズミやトガリネズミの仲間、キタキツネが見られます。エゾシカの痕跡が見つかることもあります。昆虫類も数多く生息していて、中でもエゾアカヤマアリは、スーパーコロニーと呼ばれる無数の巣の集まり(約4万5000の巣、3億匹のアリ(Higashi and Yamauchi, 1979)で、当時は世界最大規模)を作っています。また、砂中に巣穴を掘って生活するイソコモリグモ(絶滅危惧II類)も見られます。
石狩砂丘の砂は、ほとんどが風によって集められて陸上で堆積したものです。砂層の下に埋もれている火山灰の年代から、砂丘は今からおよそ300年前に形成され始めたと考えられています。このような海岸砂丘は、海からの強い北西季節風が吹きつける全国の日本海側各地の海岸で見られます。
現在、多くの車両(SUVやサンドバギーなど)が砂丘に乗り入れるため、植生の破壊と砂丘本体の浸食が急激に進んでいます。また、家電製品や工業廃棄物などの大型ゴミの不法投棄も急増しています。
(志賀健司)
石狩砂丘 |
参考文献