ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織・課名でさがす > 政策担当 > 平成25年度市政執行方針

平成25年度市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新

平成25年度市政執行方針

平成25年2月26日(火曜日)
平成25年第1回石狩市議会定例会

平成25年第1回石狩市議会定例会にあたり、新年度の市政に臨む基本方針を申し上げます。

はじめに

 現在、私たちは大きな岐路に立っていると考えております。我が国はもはや豊かな国とは言い難いほど国家財政は緊迫し、地方も然り、多くの若者は就職難にあえぎ、賃金は不安定な状況となっております。TPP、領土問題におびえ、日本の強みとなっていた技術力さえ、国際市場でその地位を保つのは難しく、多くの国民は未来像を描けず閉塞した状況に陥っています。
 この状況は、単に政権の選択により変るほど容易な問題ではなく、長く続いたデフレ不況やグローバル化への立ち遅れ、教育のあり方等など数え上げればきりがなく、政治・行政・社会・経済それぞれの根源的問題に起因しており、日本の良き風土さえ失いかねない状態であります。これは、長い低迷期の中で生じたものであり、少子高齢化の到来により一層問題は顕在化したところであります。
 この負のスパイラルから脱するため、私たちは地方主権の構築を目指し、より市民に近いところで政策決定がなされるべきと主張して参りました。
 しかし、現実は極めて異なっていると言わざるを得ません。まだ長く続く挑戦の途中ではありますが、一方的に地方交付税が削減されたように、分権の後退すら漂う事態が生じる一方、本市は早い段階での行財政改革、長期負債の削減を進めてきました。また、少子高齢化が比較的短期間に顕在化した、課題先進都市としての現実を認識した上、協働社会の構築に向け市民と共に取り組みを進めて参りました。
 また、停滞の続く市民税、固定資産税等の維持に努めつつ、新年度においても石狩湾新港地域でのプロジェクト推進など発展的要素も含め、石狩の良さを発揮できるよう取り進めることを基本とし、事業の構築に努めたところであります。

 次に、主要な事業と基本的な考え方について申し上げたいと存じます。

ひとを育てるまちづくり

 中国春秋時代の名宰相管仲の著として伝えられる管子の中の一説に「1年で収穫を得ようとするなら、穀物を植えること。10年先のことを考えるなら、樹木を植えることだ。だが、終身の計を立てるなら良い人材を育てることだ」と、人材育成の大切さを説いています。
 石狩の子どもたちは、当に未来の「希望」であります。将来、この「希望」をより光に満ちたものにするために、惜しみない大人の愛情や豊かな自然環境、石狩の歴史や文化を大切と考える心を醸成する、きめ細かな子育て、子育ち環境を創造して参らなければなりません。
 また、いじめや不登校をはじめ、問題行動といった学校現場だけでは対応が困難な教育的課題に対しては、教育支援センターを新年度より市役所本庁舎へ移転させ、新たに専門職員を配置すると共に、こども相談センター等福祉部局と、素早い連携を図って対応して参ります。
 世の中に情報が溢れれば溢れるほど、皮肉にも自虐的な思考に陥りがちになり、自信を失い、心に隙間が広がっていき、それを埋めるために、さらに新たな情報を求めるという悪循環が広がりつつあります。
 情報に流されない自分らしい生き方を見つけるための知識を高め、人格を陶冶するため、大切なひとつとして「読書する習慣を身に付けること」だと考えております。一層の市民図書館・学校図書館機能の充実・拡大を図って参りたいと存じます。

女性が安心して働ける環境づくり

 日本の就業率は男性88.5%に対し、女性は66.4%(2010年)に止まっております。「働き続けたい」と考える女性は多いものの、結婚や出産を機に、多くの方が離職してしまう傾向が見られます。
 その課題解消のひとつとして子どもの預かり機能の充実が極めて重要であると考えております。現在、本市における保育所の入所率は120%を超えており、待機児童が発生する可能性は否定できえません。働き続けたいと思う女性の願いに応え、幼稚園の空き教室を利用した2歳児の受け入れを始めて参ります。

環境とエネルギー問題

 環境汚染は一層深刻化し、地球規模での対策と併せ、企業や家庭単位での対応の必要性について、今日誰もが共有している問題であります。
 その解消に向けた取り組みには長期的視点をも見据えながら行っていくべきものと考えており、本市にあっては石狩湾新港地域のポテンシャルを活かしたスマートエネルギーへの誘導や、将来におけるエネルギーの「業産業消」化に向けた取り組みを進めて参りたいと考えております。
 昨年、地上式で国内最大級のタンクを有する石狩LNG基地が稼働し、今春には第2タンクが着工される予定と承知しており、電力の安定供給が問題化している今日、今後日本の中核となる環境にやさしいLNG発電に加え、豊富な賦存量を背景とした再生可能エネルギー発電の計画が複数持ちあがるなど、エネルギーのベストミックスを目指した素地が出来つつあります。
 併せて、発電と大口ユーザーを直流超電導で結びつける、国の実証実験のフィールドとして選定されるよう、今月新たに産学官連携の協議会をスタートいたしておりますが、誘致に向かって努力して参ります。

災害に強いまちづくり

 災害に強いまちを目指し、最初に、市民一人ひとりが防災・減災に強い関心と高い意識を持ち、いざという時には、自らの判断で適切に行動できる市民文化の醸成を図るため、「地区防災ガイド」を全戸に配布するとともに、地域主体の実践的な訓練を展開して参ります。
 さらに、津波等の災害緊急情報を市民や来訪者等に伝えるため、海に近いエリアに防災行政無線を整備するとともに、海抜表示板を設置して参ります。
 また、石狩湾新港地域のコンビナートが今後一層拡大することを踏まえ、消防親船支署を志美地区に移設し、併せて今後、計画的に機能拡充を図るとともに、防災拠点化を図って参ります。
 本州の大規模災害等に備えた「北海道バックアップ拠点構想」において、新港地域は様々な役割を担っております。耐震岸壁、情報、大型物流センター、避難所建設用地としての活用などを期待されており、国・道と連携のもとバックアップ基地としての機能拡充に取り組んで参ります。

次世代へつなぐ財政基盤づくり

 厳しい財政環境が続く中にあっても、次なる世代に健全な財政基盤を引継ぐ努力を怠ってはならず、すでに今年度スタートした「財政規律ガイドライン」を基本に財政運営を行って参ります。しかし、この度の「地方財政計画」では、本来地方固有の財源である地方交付税の一般財源を一方的に削減するという極めて残念な措置が講じられました。
 今回の措置は、地方がこれまで積み重ねてきた取り組みを一顧だにすることなく、一時のラスパイレス指数の差のみあげつらう国の姿勢は納得し難く、全国市長会を通じ協議を重ねているところでありますが、地方交付税の削減は、市民サービスにも影響を及ぼすものであり、慎重に対応して参らなければならない問題と認識しております。
 何れにしても、この度の措置は、地方の自主性・自立性を狭め、地方分権の根幹にかかわる問題と危惧しており、今後も「国と地方の協議の場」等を通じて、本市の考えを届けて参りたいと存じます。

健康に暮らせるまちづくり

 昨年の障害者虐待防止法の施行を踏まえ、虐待の通報先が市町村とされたことにより、新年度、通報窓口の24時間365日の相談体制の整備や、支援専門員による訪問等の制度化を進め、障がい者やその家族の不安解消に努めて参ります。
 現在、市民が安心して暮らせる救急医療体制のあり方について、かねてより石狩医師会と検討を進めておりますが、現状の本市における医療体制や急激に進む高齢社会の中にあって、求められる医療体制等について、市民目線に立ち、石狩医師会と話し合いながら新しい救急医療体制の確立に努めて参りたいと存じます。
 活き活きとした市民生活の基礎である健康づくりや、増嵩する医療費の抑制を図るため、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん検診、及び、特定健康診査の自己負担額の引き下げを行って参ります。
 また、国民健康保険課を健康推進室に編入し、保健・予防施策から療養の給付事業までを一元的に行うことにより、市民の健康づくりと国民健康保険事業の適正運営を図って参りたいと考えております。

 以上の主要項目のほか、いくつかの事業の内容について申し上げます。

社会資本ストックの機能保全

 昨年12月末の高速道トンネルにおける天井崩落事故は、社会インフラの老朽化が深刻な状況になっていることを、改めて浮き彫りにしました。本市においても1970年代の急速な成長に併せ、社会資本が集中的に整備され、これらのストックは近年老朽化が進み、適切な維持管理が課題となっております。
 しかしながら、限られた財源の中、すべての社会資本ストックを造りかえるということは、現実的にも困難であり、総合的視点に立ち、点検を進め、補修・改良を行う一方で、同時に道路などの公共施設が本来持つべき安全性や機能性などの向上も図って参らねばなりません。花川北地区と緑苑台地区を接続する花川北11線通の道路線形、舗装改良に着手し機能アップを図るほか、花川南2丁目通1号など通学路の整備を継続事業として実施し、児童生徒が安全に、安心して通学できるよう道路環境を整備して参ります。
 また、長年の懸案でありました花川南地区の生活道路は、舗装の打ち換え工事を継続的に進めることとし、新年度において着手することといたしました。また、橋梁、公園施設、市営住宅等については、長寿命化計画に基づき塗装や補強・補修など予防・保全的な対策を引き続き実施して参ります。また、南線小学校区放課後児童会の過密状況を解消するため、水道の広域化に伴い浄水場としての役割を終えた樽川浄水場を「(仮称)放課後児童会樽川クラブ」として平成26年度に開設するためのリニューアル等、諸準備を進めて参ります。

次代を見据えた、グランドデザインの構築を目指して

 平成27年度中のスタートを目指す第5期総合計画を、新年度より、審議会や協働による市民討議会を開催するなど、多くの参加をいただきながら策定作業を取り進めて参りたいと存じます。
 第4期総合計画は、本市の人口増の終えんという転換期が目前に迫っていたこともあり、それまでの右肩上がりの計画から持続的・自立的な自治体運営の視点に立ち、選択と集中により事業についても厳選した計画となっております。現在は社会経済環境や、価値観そのものが大きく変化し、人口減少はすでに現実化しており、地方交付税の削減は今後とも避け難い状況となりつつあります。
 新計画は、先進的、創造的産業の創出を意識し、具体性に欠けるスローガンに陥ることなく、PDCAによる業務改善サイクルの確立・推進を図り、行政評価制度、予算編成業務と連動させた大胆な見直しを図って参ります。また、策定の際には新しい市民参加の手法を用い、市民の皆様からより多くのご意見を伺う機会を設けたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。

石狩ブランドの確立を目指して

 本市は平野部から中山間地、そして豊かな海岸線という多様な自然環境のもとで、様々な農水産物が生産されております。
 これらを活かし付加価値を高めるため、これまで「石狩鮭そば」や「イコロラン」を用いたロールケーキ・マカロン、「厚田刺身用ニシン」等、様々な石狩ブランドが誕生しました。
 今後、安定した6次産業化を図る上で、生産・流通・加工・販売・消費とそれぞれの段階で途切れがちであった取り組みを、一貫的なシステム化を促進し、雇用への寄与や地域の活性化を進めて参りたいと存じます。

厚田区と浜益区の地域活性化

 合併から約7年が経過し、両区では地域協議会での議論が活発に行われ、実践に移されるなど、地域における自治活動の成長を目の当たりにしております。また、両区では地域協議会において、地域力の維持、強化を図るため、国による「地域おこし協力隊」の受け入れ検討を進めており、平成26年度にも導入を図って参りたいとしております。地域住民と新しい視点・感性を持った人材が一体となって、新たなまちづくりの展開に向け努力することは素晴らしいことだと考えており、市としても支援を行って参ります。
 また、厚田区においては、昨年に引き続き区民が主体となり、地域の魅力発信と交流人口の拡大を目指した「あつた水彩画展芸術文化振興事業」等に対し支援するとともに、地域の皆さんと共に考えてきた「あつたふるさとの森」づくりについても事業の推進を図って参りたいと存じます。
 浜益区は、特別養護老人ホーム「はまますあいどまり」や、浜益保養センターの5施設の指定管理者として社会福祉法人「秀寿会」が新年度より施設運営を行うことになります。このことにより、長年の課題でありました専門職員の確保に一定の効果が期待されるほか、同法人からは、同区の施設運営も含め地域活性化の事業提案を考えていきたいとの意思が示されており、本市としても施設規模の抜本的な見直しを含め、様々な事業展開による地域おこしを区民の皆様と共に、協議を図りながら進めて参りたいと考えております。

姉妹都市との記念事業

 今年は、カナダ・キャンベルリバー市と提携30周年、ロシア・ワニノ市と20周年の記念すべき節目の年を迎えます。
 カナダデーのパレードに参加し石狩をアピールする等、海外都市と交流することにより、改めて自らの文化を認識するとともに、視野を広げるため、相互の交流訪問や子どもたちが英語や異文化に触れる機会など、様々な取り組みを行って参ります。

石狩さけまつり50回記念事業

 本市と鮭とのつながりは、石狩紅葉山49号遺跡において日本最古である鮭の捕獲遺構を発見したことにより、縄文時代まで遡ることができます。鮭とともに歩んできた本市を代表する「石狩さけまつり」が、今年50回目という記念すべき節目を迎えます。
 例年、道内外からおよそ6万人の来場者で賑わっておりますが、近年は商業イベント的な色彩が強まる傾向にありました。50回目の節目を迎える今年は、本市のそもそもの成り立ちや、鮭とともに歩んできた歴史、文化、また石狩鍋のルーツである本市を道内外に強くアピールするなど、記念事業として官民一体となって年間を通じ取り組んで参りたいと考えております。

おわりに

 地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図るため、地方分権一括法が段階的に見直されて参りました。自治推進にあたってはまず、財政の健全化が極めて重要であり、本市では国に先駆けて、行財政改革、中でも独自の給与抑制や、職員数の削減によって人件費の抑制に努めて参りました。しかし、この度の国による地方固有財源と言える地方交付税を地方公務員の給与削減を強制するための手段として用いることは、不適切な手法であり、これまで国と地方が築き上げてきた信頼を一方的に裏切る行為であり、強く抗議を申し上げるところであります。
 地方交付税を削減することは、自主的な施策の実行性が困難となり、福祉の低下、地域の活力を大幅にそぐことになりかねません。今までも困難な道をたどってきましたが、地方分権、地域主権への道のりの厳しさを改めて感じたところであります。地方六団体の構成をなす議会においても、是非これらの経緯を踏まえ、国に対する対応についてご理解をいただきたいと切望するところであります。
 市長任期の折り返しとなる平成25年は、パラダイムシフトといった時代の流れを受け、次世代への可能性を探りながら改革をさらに推し進める所存であり、市民ならびに市議会議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、平成25年度の市政執行方針といたします。