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平成29年度 市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年6月20日更新

 

 

平成29年度市政執行方針

平成29年2月27日(月曜日)
平成29年第1回石狩市議会定例会

 平成29年第1回市議会定例会に当たり、新年度の市政に臨む基本方針について申し上げたいと存じます。

はじめに

 わが国は近年、人口減少や少子高齢化などにより、世界の誰もが経験したことのない大きな変革期を迎えております。
 政府は政策の基本方針いわゆる「骨太方針」において、「成長と分配の好循環の実現」を目指し「ニッポン一億総活躍プラン」など各種政策の展開を図っております。
 本市は平成8年、道内34番目の市として誕生し、昨年20周年を迎えました。この間、自治基本条例に掲げる理念やそれぞれの役割を体し、まちづくりに市民の皆さまをはじめ、多くの団体・企業などが自らのこととして率先行動を起こされ、「着実な成長を共感しあえる都市」へと長い坂道を歩み続けて参ったところであり、あらためて、心より感謝を申し上げたいと存じます。
 本市は、第5期石狩市総合計画に「新現役世代の活躍」や「子育て力をさらに発揮する」などの5つの戦略目標を掲げ、各種施策を講じておりますが、なかでも子ども・子育て政策は最重要課題と捉えております。
 本市の人口は平成22年に6万人を割り、一昨年実施された国勢調査においても、この傾向は変わることなく、さらには約3人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えております。
 しかしながら、私は、これらの状況をもって、直ちに本市の衰退に繋がるとは考えておりません。市民一人ひとりが様々な分野で自分らしくいきいきと活躍する高い理想と目的意識を持ち続ける限り、むしろチャンスではないでしょうか。
 幸い、我が市は北海道のなかでも比較的民間投資も活発であることや、さらに誇るべきは「協働」の意識が極めて高いことに加えて、歴史や文化、80キロメートルにわたる湾岸や石狩川を擁す多様な産財を有するまちであります。これらの特性を活かすための努力を怠ることなく続けたならば、必ずや多世代に継承しえるまちになると確信しております。
 本年度に実施した「子どもの総合支援に係る所得等調査」では、行政データを用い統計的な調査・分析を行った結果、相対的な子どもの貧困の状況は国の調査と概ね同じ傾向を示すものの、支援の対象と想定される潜在数や世帯構成など、見えづらい課題の一端が浮き彫りになったところであります。経済面や養育面など生活環境に違いがあっても、すべての子どもたちがひとしく学ぶことができる、いわゆる教育保障など、健やかに育つ環境づくりは大切なことであります。
 また「平成27年版厚生労働白書」によると、結婚している夫婦の理想とする子ども数は2.42人であるにもかかわらず、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」「自分の仕事に差し支える」などの理由から、予定子ども数は2.07人に止まっております。
 これらから総じて言えることは、若い世代や若い夫婦への子育て環境や経済環境の改善は重要なことであり、これらの理由で「結婚したいのに結婚できない」「出産・子育てに前向きになれない」といった方々を少しでも無くすために、できうる限りの方策を講ずることと併せ、新しい社会文化の創造に向けた挑戦も大切なことと考えます。
 さらには、活力の源である若い世代が活躍し、子どもたちの笑い声があふれる「住みたい」「住み続けたい」と思えるまちづくりの施策を総合的に展開して参りたいと存じます。
 以上の基本的な考えを踏まえ、主要な取組について申し上げます。

第1の柱 いしかりの未来を担う子どもを育てる環境の充実

 本年度は、福祉と教育を横断的に組織した「子ども総合支援本部」を設置し、生活面や学習面などの総合支援対策をスタートさせました。
 新年度においては、先に述べた調査の結果等も踏まえながら支援対象者の拡大を図るなど、よりきめ細やかな支援を行うこととしており、臨床心理士を新たに配置するなど専門スタッフの強化に取り組み、対応力の向上を図りたいと存じます。

(子どもの居場所づくり)

 多様な学びの機会を提供し、世代を超えた様々な人たちとの食事や対話の時間を通じて、子どもが安心と自己実現ができる「居場所」を市民との協働により設置して参りたいと存じます。

(心身ともに健やかな成長を促す取組)

 子どもたちが心身ともに健康でいられることは、市民すべての願いであり、そのため学校での授業と連携を図りながら、放課後を利用し基礎体力向上のための運動プログラムを展開するとともに、総合型地域スポーツクラブや大学と連携し、幼児から中学生を対象に子どもの体力・運動能力の向上を目的としたスポーツ教室や食育講座を実施します。
 本年秋には「あいぽーと」前に新たな公園を開設します。周辺一帯を子どもたちの遊び場として整備し、健全な体を育むことのできる空間を提供して参りたいと存じます。

(仕事と子育ての両立を支援する取組)

 妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を強化するため、妊産婦ケア事業や産前の家事支援サポートを実施いたします。また、妊産婦や子どもの養育・保育などの総合的な相談窓口体制を充実させるための専門スタッフを配置し、利用者への包括的な支援体制の強化を図ります。さらに、保護者の就労ニーズへの対応が急務となっておりますことから、放課後児童クラブを増設し、保育環境の質と量の確保に努めて参ります。

(移住・定住促進のための取組)

 若者・子育て世帯が希望を持ち、この石狩の地で安心して生活をスタートすることができるよう、移住・定住者の住環境・就業施策や就学前の保育・教育に対する経済的負担の軽減などの施策を展開して参ります。

第2の柱 いしかりの成長を促す基盤づくり

(観光を視点とした新たな産業の構築)

 本年度において「農業」「水産」「観光」「地場産業」に関する4つの振興計画を改定しました。これらの計画は、担い手育成を基本にICTの導入を図るなどにより経営基盤の強化や作業の効率化、消費拡大、滞在・体験・交流型の観光など、一層の産業振興を進めようとするものであり、連携することでその効果をさらに高めて参りたいと考えております。
 新年度からは各計画に基づく事業を展開し、本市の地理的な優位性、地域資源としての歴史・文化・自然科学等を活かし、「道の駅」を核とした厚田・浜益両区にわたる観光産業の施策を講じるなど、新たな発展軸を創造して参りたいと存じます。

(「あいろーどパーク」を起点とした地域づくり)

 「あいろーどパーク」内に設置する「道の駅」は、来年春のオープンに向け、市の100パーセント出資による新会社を設立するとともに、増毛山道を含めた周遊ルートや地場産品の開発、さらには地域力を活かした「民泊事業」の取組など「着地型観光」に向けた基盤整備を図って参りたいと存じます。
 先行的に「道の駅」と「資料館」両機能の施設整備を進めておりますが、本プロジェクトは緒に就いたばかりであります。今後においても、両区の地域振興に繋がる事業展開を着実に進めて参ります。

(新港の強みを活かしたまちづくり)

 石狩湾新港は、本道の日本海側における国際物流・エネルギー供給拠点としての役割も担っており、石狩湾新港管理組合において年々増加を続ける港湾利用に対応した施設整備が進められております。
 また、背後の工業・流通地区においては、情報社会の進展に寄与するデータセンターの増設も順調に進むなど、今後の成長が期待される新たな産業の進出が始まっていると認識をしております。
 この地域は、経済環境の変化に順応しながら、今や北海道を代表する産業空間のひとつとして、着実に成長を遂げております。
 今後も、石狩湾新港の未来を切り拓くため、進出企業の先進的イノベーション、人手不足に対応した支援策にも積極的に取り組んで参りたいと存じます。

(社会実装に向けた発信)

 経済産業省の委託事業として平成25年から始まった「高温超電導直流送電」の実証実験は「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」より、世界トップクラスの研究成果を収めていると伺っております。
 新年度は、「石狩市超電導直流プロジェクト推進協議会」において世界に向け広く情報発信するとともに、社会実装に向けた動きを加速するため「国際フォーラム」の開催が予定されております。
 市としてもこの事業を支援し、世界各国の企業や投資家、研究者とのネットワークの構築を図って参りたいと存じます。

(東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組)

 この大会における追加種目として「野球・ソフトボール競技」が決定したことから、これまで市と関係団体等で組織する「合宿誘致石狩市推進委員会」において、ソフトボール日本代表チーム等の合宿誘致活動を展開し、この度、「女子TOP日本代表チーム」の第2次国内強化合宿地として正式に決定したところであります。
 子どもたちにとって、トップアスリートを身近で感じることは、夢や希望を未来につなぐ誇らしい出来事になると考えております。
 さらに、海外代表チームの選手と地域住民の人的・経済的・文化的な相互交流を通じ、地域の活性化を推進するため、姉妹都市交流のあるカナダの代表チームをお迎えする「ホストタウン」登録に向け取り組んで参りたいと存じます。

第3の柱 誰もが健康的で安心して暮らせる地域社会の実現

(国民健康保険制度改革に向けて)

 平成30年度に国民健康保険事業の財政運営の責任主体が、市町村から北海道に移ります。今月、道より納付金等の仮算定結果も示され、4億円を超える不足が予想されるなど、極めて厳しい状況にあるとの認識に至ったところであります。新たな制度への移行にあたっては一般会計からの繰入はもとより、国保税の段階的改正は避けられないものと考えており、その手法等についてはこれから精査・検討を行って参りたいと存じます。

※本記載内容に関し、その一部に誤りがありました。お詫び申し上げます。正しい内容については

http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/soshiki/kokuho/31002.html

をご覧ください。

(健康寿命の延伸)

 健康は私たちのかけがえのない財産であり「健康寿命を引き伸ばすこと」は人生の幸せを享受することにほかなりません。したがって「やらなければならない健康づくり」から「やりたくなる健康づくり」「楽しい健康づくりへ」をスローガンに掲げ、官民一体となって取組を進めるとともに、「国民健康保険データヘルス計画」に基づく各種保健事業を継続して実施して参りたいと考えております。
 何より必要なことは、市民一人ひとりが健康目標を持って取り組むだけでなく、地域全体で実践することであり、全市的な健康づくりムーブメントを起こして参りたいと存じます。

(介護予防・日常生活支援総合事業)

 介護保険制度として、新年度から「介護予防・日常生活支援総合事業」が始まり、要支援者の「訪問介護(ホームヘルプサービス)」と「通所介護(デイサービス)」が全国一律の事業から市の独自事業となります。急速に進む超高齢社会を背景に、介護給付費の増加が見込まれる中で、持続可能な介護保険制度を図ると共に、サービスの質が低下しないよう、共に考え、共に実践していく地域包括ケア体制を構築して参ります。

(手話の普及に向けて)

 昨年市内で発生した交通事故において、手話による救急業務が行われ、あらためて手話の普及は大切なことと認識したところであります。
 石狩翔陽高等学校においては、カリキュラムで全国初となる「手話語」の授業を4月より開始することとなっており、市としても支援して参りたいと考えております。
 また、本年秋に、全国手話言語市区長会主催により「手話は言語である」との理念のもと、「第1回手話劇祭」が開催されることになっております。

(防災・災害対策)

 昨年、本道に台風が相次いで上陸・接近し、甚大な被害をもたらしたことは、あらためて災害の恐ろしさを実感したところであります。
 災害は、いつ、どこでも起こりうることであり、一層の緊張感を持って備えなければなりません。
 今月、北海道より日本海沿岸の津波浸水想定が公表されました。これに対処するため、地域住民としっかりとした話し合いを重ねながら「石狩市地域防災計画」の見直しを行い、「地区防災ガイド改定版」の全戸配布を行います。

(消費者行政の機能強化)

 近年は高齢者を対象とした振り込め詐欺や架空請求詐欺など悪質な犯罪が後を絶ちません。 
 消費生活をめぐる情勢は、社会経済の進展により日々変化しており手口も巧妙化しています。これらの状況もあり、国からは組織体制の機能強化が求められておりますことから、相談体制の充実や情報提供を行うなど、消費者を被害から守る拠点として新たに庁舎内に消費生活センターを開設します。

(安定した財政基盤の確立)

 まちの持続は安定した行財政基盤のうえで成り立つと認識をしております。
 国はこれまでの、富(税)を集め、地方に配る(交付税)といった仕組みから、頑張る地方の取組を促す姿勢へと転換しつつあり、交付税算定に反映させるようになってきております。
 今後もさまざまな行政需要に迅速かつ柔軟に対応するために、引き続き行財政改革を進め、将来世代に過度な負担を残すことのないよう努めなければなりません。
 受益と負担の適正化を踏まえながら、安定した財政基盤の確立に努めて参りたいと存じます。

おわりに

 時として私たちはネガティブな問題や課題を深刻に捉え、立ちすくみ、不安感の連鎖すら起こしかねない国民性を持っていると思います。そのことを決して否定するものではありませんが、同時に未来志向を抱くことは大切なことであると考えております。
 わが国を取り巻く環境は、人口減少・少子高齢化・経済のグローバル化・対米外交・不安定化する東アジア情勢など、本市にとっても影響を受けかねない問題ばかりであります。
 その一方で、医療革新を起こすであろうiPS細胞への挑戦や、がんの新薬の開発、AI・IoT・ビッグデータといった情報産業の市場が拡大しております。また、世界一を競った「京」を凌ぐほどのスーパーコンピュータが身近な企業にも設置されるなど、これまでの社会・産業構造とは明らかに次元の異なる進化を遂げております。まさに第4次産業革命が進んでいます。
 本市は、このような変革を敏感に捉え、新しい発展の種を蒔くなど未来への投資を怠ることなく進めていかなければなりません。
 私は必ずしも身の丈に留まらず、俯瞰する目線を持ちつづけ、市民の幸福に繋がる途を歩んで参りたいと思います。
 平成29年度予算案および各種事業は今任期の折り返しであることをも意識し、時代の要請や市民の声に柔軟に応え、新規・拡充事業として50を超える施策を提案させていただきました。速やかなる執行を目指して参ります。

 市民並びに市議会議員の皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げ、平成29年度の市政執行方針といたします。