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平成28年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年4月14日更新

 

 

 

平成28年度教育行政執行方針

 

 平成28年度 教育行政執行方針
 平成28年2月29日(月曜日)
 平成28年第1回石狩市議会定例会

 平成28年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに

 近年、少子高齢化や格差社会の進行など、我が国が抱える様々な要因が重なり、子どもたちや保護者に漠然とした不安感が広がり、そのことが、子どもたちの学力、生活習慣、体力にも色濃く影響を及ぼし、子どもたちが本来持っている無限の可能性をも失いかねないと危機感を抱いております。
 昨年は新たな教育委員会制度がスタートし、総合教育会議では、市長と、私を含め5人の教育委員により、「子どもの未来を応援する」ため、「教育・子ども施策への重点的」な投資を図り「すべての子どもたちが等しく学べる環境の充実」への取組や、「グローバル・共生社会を生き抜く資質・能力の育成」、「ふるさとを学ぶ機会の充実」、「心身の健やかな成長を促す取組」、「特色ある学校づくり」など、様々な教育施策について協議を重ねて参りました。これらを通じて、教育委員会はもとより、全市一丸となって、子どもたちが未来へ向けて生き抜く力を育むことが、子どもたちの将来に責任を持つ立場にある私たち大人に課せられた責務であると、共通の認識を持ち、決意を新たにしたところであります。
 また、本年は教育プラン後期基本計画の2年目となりますことから、教育プランの理念のもと、家庭、学校、地域が一層連携を強め、それらの力を最大限に活かし、より良い学校教育の実現を、まちぐるみで目指したいと考えております。
 そして、まちづくりは、人づくりや地域の力によって支えられ、そこに住む市民が協働で行うものであります。本市は、歴史・文化・自然、そして多様な人材など、様々な資源に恵まれていますことから、これらの資源を活かし、市民一人ひとりがお互いに学び合いながら、自ら進んで学ぶことに生きがいや喜びを感じることのできる、生涯学習を推進したいと考えております。
 以上を踏まえ、次に述べます3つの重点を軸に、平成28年度の教育施策に取り組んで参ります。

第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育

(確かな学力を育む教育) 

 学校教育の現場では、子どもたちの学力のみならず、不安定な生活習慣、社会性の欠如や問題行動など、多くの課題に直面しており、指導力・授業力の向上はもとより、家庭や地域との連携も含め、学校が持つ教育力の総合的な向上が必要です。
 このことから、花川小学校を中心とした「学校力向上に関する総合実践事業」に引き続き取り組み、市内全校への成果の普及に努めます。また、教員の事務的な負担を軽減し、子どもたちと向き合える時間を確保するため、指導要録など学校内の情報をデータ化し教員間で共有できる「校務支援システム」の導入をさらに進め、包括的な学校改善を推進します。
 平成27年度の全国学力学習状況調査では、残念ながら小学校、中学校ともに、すべての教科で全国平均を下回り全国との差がさらに広がりました。そのため、市内各校において多くの取組を進めていますが、課題となっている「基礎基本の定着・活用する力の育成」、「学習意欲の向上」などに対応するため、エキスパート・サポーターや学力向上サポーターを活用し、「個に応じたきめ細やかな指導」を推進するとともに、さらなる指導方法の工夫改善を行い「わかる授業」を推進します。また、学年が上がる前の春休みには、今まで学習したことを振りかえる「春休み帳」を全学年で実施するなど、家庭学習を含めた学習の連続と連携教育を推進します。

(すべての子どもたちが等しく学べる環境の充実) 

 子どもの貧困問題は、単なる貧困というだけではなく、それぞれの家庭が抱える様々な要因があることから、個々の家庭への対応とともに、多様な学びの場の充実が必要であると認識しております。
 このことから、地域の人材、とりわけ退職教員の協力を得ながら、中学校への学習支援の仕組みづくりを実践を通して検討する取組に着手するとともに、「スクールソーシャルワーカー」を増員し、様々な問題に直面している子どもたちや家庭の状況を把握するなど、教育と福祉が連携したチームで、個々の状況にもっとも適した支援を行うことができるよう取り組んで参ります。

(一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育) 

 本市においても、学習や生活面での支援が必要な子どもたちが増えております。このような子どもたちが「生きる力」を身につけて行くには、一人ひとりの教育的なニーズに応じた支援が必要であり、また、教育や福祉関係者のみならず、保護者、地域などの深い理解が必要です。このことから、特別支援学級に協力するボランティアの研修を引き続き行うなど、様々な場面において、子どもたちへの支援の輪が広がるよう努めて参ります。

(安心・安全でより良い教育環境整備の推進) 

 児童生徒の減少が著しい厚田地区及び本町・八幡地区において、小中一貫教育、コミュニティスクール、ふるさと教育など地域の特色を活かした教育を踏まえた学校整備具体策の案について、昨年より保護者・地域に十数回に及び説明を行って参りました。
 今後は、保護者・地域の皆様への理解をさらに求めて行くとともに、特色のある新たな学校づくりに向けた取組となるよう努めて参ります。
 また、平成29年4月の新たな学校給食センターのオープンを目指し、食物アレルギーへの対応の具体的な検討を進めるなど、安心・安全な学校給食と食育の推進に努めて参ります。

第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

(豊かな人間性を育む教育) 

 子どもたちが「ふるさと」への愛着を深め、誇りを持てるよう、地域のボランティア活動や郷土学習など学校が主体的に行う「特色ある教育活動」や「環境・人権・平和・国際理解」をテーマとする「学校奨励プログラム」を実施し、また、芸術文化に直接触れる機会や「情操教育プログラム」を実施し感動を体験できる機会の確保に努めるなど、学校の教育活動全体を通じて、子どもたちの豊かな感性を醸成するとともに、規範意識、高い道徳心などを育みます。
 また、子どもの読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより豊かに「生きる力」を身に付けて行く上で欠くことのできないものです。
 このことから、学校図書館の蔵書充実に加え、これまで計画的に整備を行ってきました小学校において、全校をカバーする取組を進めるとともに、「ブックスタート事業」や読書を通じて家族のコミュニケーションを深める「家読(うちどく)」、子どもたちが自らの疑問を調べ、発表する「調べる学習コンクール」などに取り組み、学校・家庭・地域の連携のもとで子どもの発達段階に応じた読書活動を推進します。

(心身の健やかな成長を促す教育) 

 平成27年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果において、本市では、一部全国を上回る種目はありますが全体的には課題があることから、学校においては、体育の授業や行事にバランスよく各種の運動を位置付けるとともに、引き続き、各学校独自の「1校1プラン」を推進するなど、子どもたちの体力の向上を図ります。
 また、子どもたちの生活習慣については、家庭・地域での日常生活のあり方を我々大人がもう一度振り返り、親子が一緒になって日頃の生活習慣を見直すことが重要です。年齢に応じた望ましい生活・運動・食の習慣の形成と確立に向け、引き続き「生活リズムチェックシート」や「早寝早起き朝ごはん」運動などに取り組み、PTAと連携を図りながら一層の充実を図って参ります。

(地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進) 

 子どもたちの健やかな成長を支えるためには、学校や家庭の教育はもちろん、地域の中で多くの大人が見守り支える環境づくりが必要です。そのため、これまでも町内会やPTAをはじめ、多くの皆さんにご協力を頂いておりますが、今後も、地域ボランティアが学校を支援する「学校支援地域本部事業」を学習支援を含め引き続き取り組むほか、スクールガード、中学校の部活動指導、スクール・アシスタント・ティーチャーなど、地域の教育力を活用した取組を推進します。

第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育

(石狩文化の継承) 

 本市は、道央においても指折りの古い歴史を有するまちであり、石狩、厚田、浜益それぞれの特色ある地域文化や文化財は、先人の息吹と歴史の重みの中で継承されてきました。これらは、ふるさとへの愛着や誇り、また、まちづくりの根源となる大切なものであることから、市民が改めて地域を見つめ直す機会や子どもたちのふるさと学習に活用できる貴重な資料の収集整理、保存、活用が必要です。このことから、鮭にまつわる文化について、多様な観点から資料整理などを行うことや、石狩弁天社の手水鉢(ちょうずばち)など劣化の著しい文化財の修復を行うとともに、文化遺産解説看板の設置や文化遺産マップの作成に取り組んで参ります。
 また、本市は道央地区最古の俳句結社「尚古社(しょうこしゃ)」が結成されるなど、俳句が盛んに行われていた歴史があります。その特色を活かした「俳句のまち・いしかり」俳句コンテストには、例年大人から子どもまで数千句の応募があり、また、子ども俳句コンテストが10周年を迎えた昨年は子どもの俳句教室や吟行が催されるなど、様々な取組が行われております。今年は、市制20周年を迎えることから、このような機会を捉え、本市の俳句の取組を広くPRするなど、多様な石狩文化をかたちづくる様々な歴史、文化、市民活動の発信に努めて参ります。

(図書館サービスの充実) 

 子どもから大人まで、年間20万人を越える利用者がある市民図書館は、市民協働により運営されております。開館当初から続く「布の絵本」製作は全国に認められたり、文学を読む会がその活動の足跡を資料化するなど、図書館をフィールドとして活動する様々な市民団体とは、図書館と共に育ち支えあう関係性が構築されており、また、図書館は市民の学びや活動のためになくてはならない場となっております。このことから、引き続き蔵書の充実や情報発信を図るとともに、市民の主体的な学びや活動を支援し、成果を生かす生涯学習の場として、環境整備を進めて参ります。

(生涯学習の推進) 

 「協働」による学びの場「いしかり市民カレッジ」は、「ふるさと」をもっと知りたいという思いに対応する主催講座に加え、市民の多様な活動等と連携した講座も今では年間で300を超えるなど、これまで、様々な市民の「学び」を支えて参りました。
 このような、市民の「学び」の取組を一層支援するとともに、「学び」の核となる公民館や図書館、資料館などの社会教育施設が、中長期的なビジョンのもと、「情報の収集・発信・活用」、「活動や交流、学びの場の提供」など、それぞれの施設機能と人的資源を有機的に連携させ、生涯にわたる学びを総合的に支援して参ります。

おわりに

 私たち大人は、全ての子どもたちの輝く未来を全力で考えて行かなければなりません。
 学校では、通学時の安全指導、「漢字」や「九九」などの学習支援、「スキー授業」や「部活動」の支援など、多くの市民がこれまでの経験を活かし、力を合わせ、様々な取組が行われており、子どもたちは笑顔で楽しく取り組み、大人も子どもたちから沢山の元気をもらっています。
 また、市民の多様な活動を協働のもと「学び」につなげている「いしかり市民カレッジ」をはじめとし、文化・芸術・スポーツ団体やボランティア・NPOの活動など、市民の「生きがい」づくりにつながる様々な生涯学習の場があり、多くの市民がいきいきと「学び」に取り組んでいます。
 生涯学習のフィルターを通し、地域の力が、これからの石狩市にとって一層価値のある財産となるよう、そして、未来のある全ての子どもたちに、等しく学び・育つ機会が与えられるよう、保護者や学校、地域との連携を一層図るとともに、大局を「鳥の目」で俯瞰(ふかん)し、時代の流れを「魚の目」で読み取り、「虫の目」で現場・現実と向き合うという、所謂(いわゆる)「三つの目」を持ちながら、新たな決意を胸に、教育行政を遂行できるよう努めて参ります。

 市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成28年度の教育行政執行方針といたします。