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平成22年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


平成22年度教育行政執行方針

平成22年度 教育行政執行方針
平成22年3月2日(火曜日)
平成22年第1回石狩市議会定例会

平成22年第1回石狩市議会定例会の開会にあたり、新年度の教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに


 21世紀は、新しい知識・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われています。知識基盤社会やグローバル化の進行は、知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させるものであり、国際協力や異なる文化との共存の必要性を増大させています。
 このような中にあって、国における教育関係法令の改正に基づき、義務教育に関する制度改革や教育内容の改善、生涯学習社会の構築が求められています。
 一方、今を生きる子どもたちは、学ぶ意欲や学力・体力、社会性、人との関わり方などにおいて様々な課題を抱えており、望ましい生活習慣や学習・運動習慣の形成、家庭・地域の教育力の向上、ふるさと意識の醸成などを進める必要があります。
 教育委員会では、今こそ教育の大きな転換期と位置づけ、これからの石狩市が目指す教育の理念や方向性を明確にし、計画的に推進するため、新たな「石狩市教育プラン」を策定しているところです。

教育行政に臨む基本姿勢

 平成22年度からスタートする新教育プランの着実な推進を図るため、三つの目標を掲げて取り組みます。
 第一は、「自ら学ぶ意欲を育てる教育」です。
 学校、家庭、地域などの連携のもと、子どもたちに、自ら学び、考え、行動できる「自立した人間」として生きていけるよう、「確かな学力」を育むことを目標とし、基礎基本の定着とそれらを活用しながら学ぶ力を高め、社会の変化に対応できる力を育てる教育を推進します。
 第二は、「思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育」です。
 崇高なものに素直に応える豊かな心を持ち、社会の中で他者を認め、協力して行動できるよう、「確かな学力」とあわせて心と体をバランスよく育むことを目指し、他者や社会、自然などと関わりを持てる活動を充実し、道徳性や豊かな情操、コミュニケーション力などを育む教育を推進します。
 第三は、「地域で育ち・学び・活きる教育」です。
 市民が心豊かで生きがいのある充実した人生を送ることができるよう、あらゆる学びの機会を有効に活用することで、得られた経験や知識を自己実現のためにいかすとともに、市民一人ひとりの活動が、地域や組織、生活の様々な場面を通じて、社会全体にいかされるよう地域ぐるみの教育を推進します。
 また、地域を見つめ直し、そこにある「ふるさと文化」を学び伝えるために、施設及び調査研究を充実するとともに成果を積極的に発信するなど、ふるさとを学ぶ機会や文化財保護に関する市民活動への支援を充実します。

重点施策の展開


 次に、新年度において取り組む重点施策について申し上げます。

第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育

信頼に応える学校づくり

 学校は、全ての子どもが自立して社会で生き、個人として豊かな人生を送ることができるよう、礎となる「知・徳・体」のバランスの取れた「生きる力」を育み、子ども自らが成長していく教育の場であります。
 学校は、子どもや保護者等の信頼を基盤にして、初めてその機能を発揮することができます。教育の成果は、それを担う学校職員の果たす役割が非常に大きく、教職員は子ども一人ひとりの成長や人格形成に大きな影響を与える存在であり、その使命を自覚し、資質・能力を絶えず向上させることが大切です。
 そのため、教育活動の成果を検証し、その客観性・透明性を確保する「学校評価」に加え、「外部評価」「学校支援推進員」とも連携した取組みを進めることが重要です。学校は自ら情報発信や評価結果の公表に努めるとともに、保護者や地域から広く意見を取り入れて学校運営の改善・充実を図るよう、「信頼される学校づくり」を支援します。
 また、学校組織の活性化や教職員の資質の向上を図るため、「学校職員評価制度」の活用や、「市教育振興会」など自主的な研究団体への支援のほか、校内研修の充実を支援するとともに、教育委員会が実施する教職員研修の充実など、今日的な教育課題に即応した内容を展開します。

確かな学力を身につける教育

 すべての児童生徒が基礎・基本をしっかりと身につけた「確かな学力」を育むことが、学校の最重要課題です。全国学力・学習状況調査などから明らかになった課題に対し、一層の取組みを推進していくことが極めて重要です。
 そのため、学校での創意ある教育課程の編成と実施、知識や技能の習得や活用する力を育むための学習指導の改善、学習意欲の向上など、各学校が作成する「学校改善プラン」に基づく主体的な取組みへの支援を図ります。また、基本的な生活・学習習慣が身につくよう、家庭・地域と連携した取組みを推進します。
 さらに、新学習指導要領の移行にあたり、全ての学習の基礎となる「聞く・読む・話す力」を養うとともに、小学校外国語活動や中学校体育での武道など、その趣旨及び内容が、十分に理解され、適切に移行されるように支援を進めます。
 また、これまでもSATやスーパーSATなど学生や地域人材の活用により、個に応じた指導を進めてきましたが、本年4月に学校統合により誕生する双葉小学校をモデルにして、教員とともにTT(チームティーチング)を行う「エキスパートサポーター」を配置するなど、きめ細やかな指導・支援の充実を図ります。

一人ひとりのニーズに合わせた教育

 学校生活や学習上での「困り感」をもつ児童生徒の教育的ニーズや、いじめ・不登校などへの対応を図るため、新たに「市教育支援センター」を開設し、相談体制の強化とチームでの支援の充実を図るほか、特別支援教育支援員を増員するなど、体制を新たに構築し、きめ細やかな支援を図ります。また、インターネットや携帯電話によるいじめ問題についても、情報モラルの指導や保護者に対する啓発を進めます。
 さらに、閉校後の紅葉山小学校における、特別支援学校分教室の早期開設や高等部の誘致活動も引き続き積極的に行って参ります。
また、いわゆる小1プロブレムや中1ギャップなど、子どもたちが新しい環境に馴染めず、人間関係の難しさなどに直面するケースがあります。学びの連続性や、より望ましい学校間のあり方を検討するなど、幼保小中における連携教育を推進します。

現代的課題への取組み

 環境教育、平和教育、人権教育などの現代的な課題を「奨励プログラム」に位置づけ、指導計画や実践事例などの情報提供のほか、学校での取組みを支援します。
 中でも、新年度に市を挙げて取り組む「環境」については、太陽光パネルの活用や学校でのリサイクル活動なども含め、様々な題材を使った幅広い環境教育を促進します。

良好な教育環境に向けて

 子どもたちが日々学ぶ場は、安全で安心、かつ良好な環境でなければなりません。このため、学校施設の耐震化を速やかに進めるほか、児童数の増加が著しい緑苑台小学校の増築に向け、実施設計を行います。また、整備された学校IT環境を有効に活用し、効果的な授業展開を全校で実施します。

第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

子どもたちの豊かな心

 子どもたちの「豊かな心」を育むには、「人としてしてはならないことなどの規範意識」「生命の尊重」「他者への思いやり」などを培うことが大切です。
 各学校においては、教育活動全体の中で子どもの道徳性を高める取組みを進めるとともに、自分の心と体の大切さや「子どもの権利」について学ぶCAP(キャップ)の奨励のほか、命の尊さや薬物乱用の怖さを学ぶ機会を充実するなど、その理解が深められるように推進します。
 子どもたちが美しいものや優れたものに接することで生まれる感動や、体験活動を充実させることも重要です。「情操教育プログラム」を厚田・浜益区の児童にも展開するとともに、小規模校で実施してきた「学校出前ミニコンサート」を「あい風コンサート」に改め、子どもたちだけでなく地域全体で文化芸術に触れる機会を充実します。また、「パートナースクール」を引き続き実施し、地域間交流や体験活動を推進します。

子どもの読書活動の推進

 読書は、子どもたちが多くの言葉を学び、感性を磨き、想像力を高めるなど、人生をより深く豊かなものにするには欠かせない活動です。新たに策定される「子どもの読書活動推進計画」に基づき、家庭などにおいて「親子で本に親しむ活動」を推進するほか、市民図書館、市民ボランティア、関係団体と連携を図りながら子どもが本に親しむ取組みを進めます。
 乳幼児では、これまでの「ブックスタート」に加え、幼児を対象とした「ブックスタート・フォローアップ」を拡充します。
 学校における読書活動では、蔵書の充実を図るほか、市民図書館や地域ボランティアの協力による朝読書や読み聞かせを推進します。
 特に、学校図書館をリニューアルした双葉小学校においては、市独自に学校司書を配置し、新たな学校図書館活動を展開します。

たくましい体

 スポーツは、心身の健全な発達や明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは極めて重要です。そのため、子どもの体力の向上・望ましい運動習慣の形成をはじめとして、「市民皆スポーツ」を目指し、市健康推進室と連携を図りながら取組みを進めます。
 学校では、新学習指導要領に基づく「武道」の導入や、市民のスポーツである「ソフトボール」が必須となることから、中学校での先行実施に加え、小学校においてもその普及を図ります。
 また、全市的イベント「スポーツまつり」での小中学生の駅伝について、参加学年の拡大を働きかけるとともに、老朽化した学校遊具のリニューアルや、遊びの場に学校施設を提供する試みも実施します。
 心身の健康を増進する健全な食生活を実践するため、栄養教諭などによる食に関する指導の充実を図るとともに、関係機関との連携による「食に関するプログラム」の実施など、食育を推進します。
 また、地場産品を用いた給食は「地産地消」の視点のほか、「地域の食文化」への理解や家庭での話題提供など、様々な教育効果があります。今後さらに、「望来豚」をはじめ、より多くの石狩産の食材を献立に取り入れ、安全で安心な給食を目指します。
 なお、現在の給食費では、食材の購入が限られ、種々の栄養価基準を満たす献立が困難な状況となってきていることから、単価の見直しも進めます。

地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進

 家庭や地域の教育力の低下が指摘される中、地域の人々が積極的に学校の活動に協力し、家庭のみならず地域も含め、社会全体で子どもを守り育てる仕組みづくりが重要です。
 家庭は、子どもたちの生活に必要な習慣を身につけ、調和の取れた心身を育む場であり、教育の原点であります。幼児の情操教育、子育て支援をテーマとして親子で参加して子育てを学ぶ「ぴよぴよ広場」を引き続き実施するとともに、PTAなどと連携を図りながら、「早寝・早起き・朝ごはん運動」や「親子読書活動」など、家庭での生活習慣の形成に向けた取組みを進めます。
 また、不審者の発生や子どもを巻き込む事件・事故などが発生する社会環境の中で、「地域安全マップ」の作成や「スクールガード」「安全パトロール」など、地域が子どもたちを見守る取組みを進めるとともに、学校支援地域本部事業の拡充についても検討します。

第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育

生涯学習の推進

 シニアプラザ「はまなす学園」では、60代から80代の高齢者がいきいきと活動しており、学ぶということが「いかに人生を豊かにし生きる糧であるか」を教えてくれます。
 昨年開校した「いしかり市民カレッジ」は、市民手づくりの学びの場として、予想を超える会員数に拡大しております。さらにニーズに対応した企画・講座の拡充に向け、市民が主体的に学べる環境づくりを進めます。
 また、新たな取組みとして市民が教え学び合う「まちの先生」の立ち上げを支援するほか、出前講座等も含めて総合的な講座情報の提供に努め、あらゆる世代での学習の推進を図ります。
 社会教育施設の整備では、紅葉山小学校の閉校に伴い、公民館、紅南カルチャーセンターと機能を相互に補完・分担し、学びの活動や団体・市民の交流の場として「学び交流センター」を開設します。
 また、道内でも屈指の歴史・文化・自然などを有している石狩市のふるさとの魅力を見つめ直し、市民に誇りとアイデンティティを醸成することは、生涯学習の広がりと地域づくりにとって大切なことです。新年度は、公民館、図書館、資料館などでの一連の社会教育事業において「ふるさと石狩」を共通テーマとして取り組むほか、市民団体等とも連携を図って参ります。

石狩文化の継承

 また、「ふるさと石狩」への理解と愛着を深めるには、文化財を適切に保護・保存し、その活用を図ることが大切です。
 市内の史跡・文化財・自然標本に関する貴重な資料を「砂丘の風資料館」で展示するほか、その価値や魅力をまとめた「研究紀要」や「資料集」を刊行して広く市民に情報提供を図るとともに、厚田資料室では、地域から輩出した人物中心の展示にリニューアルを行い、魅力ある郷土資料の活用に努めます。

市民図書館のさらなる発展

 市民図書館は、生涯学習、さらに広く文化の発信拠点として、市民とともに地域文化の創造に取り組んで参りました。
 開設後10年を迎え、今後の方向性を見据える「図書館ビジョン」を策定するとともに、これまで以上に市民に親しまれ、より多くの方が生涯学習、文化活動に気軽に取り組める施設を目指します。
 そのため、来館者の図書資料に関する問い合わせや相談に応じるレファレンスをはじめ、基本的な図書館サービスの充実に努めるほか、来館が困難な方へ本を届ける「宅配サービス」を新たに開始します。
 文化発信の面では、市民との協働による事業展開をさらに推進するほか、図書館講座を充実し、テーマ性を持った本の紹介を通じて読書に誘う「ブックトーク」を拡大して実施します。
 また、学校図書館へは、巡回文庫を創設し、司書を派遣するなど総合的な支援を行います。

文化芸術活動の振興

 人々の創造性を育み、表現力を高め、市民が生涯にわたって文化芸術に接する機会の充実や、個性豊かな文化芸術活動の活発化を広く推進することが必要です。
 そのため、市民文化祭、文化関係団体の支援、公民館事業などにおいて講座の充実を図るほか、ロビーコンサートの開催、小学生を対象とした札幌交響楽団によるコンサートなど、文化芸術の鑑賞機会を充実します。

むすびに


 新しい石狩の教育は、学校・家庭・地域・行政のそれぞれが果たす役割や責任を自覚し、相互に協力、連携、支援しながら、一丸となって取り組んでいくことが大切であると考えています。
新教育プランの目指す、一人ひとりが地域社会の一員として、いきいきと躍動できるよう、自立の精神、主体性と協働意識をもった「自立する市民」を育むため、教育施策を市民と協働のもと積極的に進めて参ります。
市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成22年度の教育行政執行方針といたします。