平成23年度教育行政執行方針
平成23年度教育行政執行方針
平成23年度 教育行政執行方針平成23年6月13日(月曜日)
平成23年第2回石狩市議会定例会
平成23年第2回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。
はじめに
東日本大震災により、我が国は、「いかに立ち直り、これからの国づくりの基本をどうするのか」という難題に直面し、「新たな国家像」のもと、あらゆる面で将来を見つめ直すことが求められています。
一方、被災地での「人々の支えあい」、「ふるさとへの想い」、「思いやりの心」、「子どもたちの自主的な活動」などは、教育が目指す原点であり、不易(ふえき)なものであると教示されております。学校に行くというごく当たり前のことが、被災地では至極幸せなことなのだと身につまされます。
学校教育においては、今年度から新学習指導要領が小学校では全面実施となり、中学校では移行期の最終年度を迎えますが、その理念である「生きる力」を共有し、推進することが極めて重要であると考えております。
また、誰もが安心して学ぶことができる機会の提供、学校施設の耐震化や学校給食など教育における安全・安心が求められており、計画的かつ速やかな教育環境の整備が必要です。
まちづくりは、人づくりや地域の教育によって支えられ、活性化されるものです。その主体となって次代を担い、新たな世界に羽ばたく人材を育むために、教育の果たす役割は益々重要になっております。
このためには、教育における不易(ふえき)を大切にしたうえで幼児期から高齢期まで、ライフステージに応じた学習の機会を提供するとともに、何より、市民一人ひとりが自ら進んで学ぶことに生きがいや喜びを感じることを大切にしたいと考えております。
このような認識のもと、教育プランに基づき、平成23年度の教育施策を取り組んでまいります。
第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育
信頼に応える学校づくり)
学校は、保護者や地域住民の意見・要望などを踏まえ、信頼と協力と参画のもとに、その機能を十分に発揮することができます。
既に全校で開設しているホームページを活用し、リアルタイムの情報発信や学校評価結果の公表のほか、保護者や地域から広く意見を取り入れて、学校運営の改善と充実に努めます。
また、教職員の資質向上や学校組織の活性化を図るため、市独自の教職員研修を充実するなど「信頼される学校づくり」に取り組みます。
確かな学力を育む教育
新学習指導要領では、「言語活動」、「伝統や文化に関する教育」、「外国語活動」などの充実が位置付けられています。特に、小学校では外国語活動が本格導入されたことから、小学校向けの英語指導助手を増員し、グローバル化している社会で活躍できる人材の育成に繋がるよう、コミュニケーション能力の醸成や国際理解を深める教育を推進します。
また、課題となっている「基礎基本」や「活用する力」を育むため、「分かる・楽しい授業づくり」や学習意欲の向上を図るとともに、「授業・補充学習・家庭学習」の連続化や新聞や学校図書を活用した調べ学習と発表を組み合わせた授業づくりなど、学校での学力向上への取組を支援します。
教育の情報化につきましては、紅南小学校のフューチャースクール推進事業、浜益小学校のICT(情報通信技術)環境整備などを進めてきましたが、市全体のICT教育の今後の方向性について検討するため、「(仮)教育情報化推進プロジェクト検討会」を設置するほか、各学校への書画カメラ配置や教員研修を充実し、ICT機器を最大限利活用して、理解が深まる授業づくりを推進します。
このほか、市民図書館とこども未来館あいぽーとが連携して「科学の祭典」を支援するなど、子どもたちの科学への興味関心を喚起するような取組を推進します。
一人ひとりのニーズに合わせた教育
いじめ・不登校をはじめ、学校生活や学習上での「困り感」を持つ子どもたちの教育的ニーズに対し、教育支援センターを核として総合的な支援を図ります。
また、特別支援教育の支援員を大幅増員し、きめ細やかな支援体制を構築するとともに、星置養護学校紅葉山校舎への高等部誘致に向け、北海道教育委員会などへ関係団体とともに積極的に働きかけていきます。
安全・安心な環境
東日本大震災に見舞われた今、学校施設の安全性と危機管理体制が改めて強く問われています。
学校施設整備では、花川北中学校の耐震補強工事など、耐震化を速やかに進めるほか、老朽化した浜益中学校の旧浜益高校への移転を、8月を目途に取り進めます。また、児童数の増加が著しい緑苑台小学校の増築を行うほか、学校給食では、施設の改修や設備更新を行い、安全・安心な食の提供に努めます。
災害時における学校の危機管理体制につきましては、市の防災計画と連動して見直しを図るとともに、子どもたちの防災に関する意識を育む取組などを推進します。
第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育
豊かな心の育成
子どもたちの豊かな感性、規範意識、高い道徳性などを学校の教育活動全体を通じて育みます。
また、ふるさとに愛着を深め、誇りを持てるような「特色ある教育活動」や「環境・人権・平和・国際理解」など、今日的な課題に対応した教育を奨励プログラムとして位置付けて推進します。
また、「情操教育プログラム」に、美術鑑賞を加えるなど、芸術文化に触れ、感動を体験できる機会の充実に努めます。
子どもの読書活動の推進
読書は、子どもたちの人生を深く豊かなものにする上で欠かせないものです。新たに策定した「学校図書館等整備方針」に基づき、学校図書館の計画的整備を図るとともに、朝読書・読み聞かせ活動を推進します。特に、本年度は南線小学校に学校司書を配置するほか、蔵書の充実、市民図書館とのオンライン整備も図ります。
市民図書館では、「家読(うちどく)」の推進をはじめ、新たに「こども司書」の養成を図るほか、学校図書館の活性化や学校司書との連携により、子どもたちの読書活動の推進と学びの支援を行います。
健やかな体を育む教育
子どもたちが、自らの健康に関心を持ち、健全な生活を送るための知識と実践力を身につける必要があります。
学校において、体育の授業や行事にバランスよく各種の運動を位置付けるとともに、体力・運動能力向上に向けた各校独自の取組を促進します。
また、年齢に応じた望ましい生活習慣、運動習慣、食習慣の形成と確立に向け、PTAや家庭との連携を図りながら、教育活動全体で取り進めるほか、学校給食において、地元産食材を積極的に活用するとともに、生産者との連携を図りながら食育を推進します。
地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進
「早寝・早起き・朝ごはん運動」や「家庭学習や読書」など、家庭での生活習慣の形成を図るとともに、これを啓発するため、新たに「いしかりっ子いきいきカルタ」の制作を市PTA連合会と協働で取り組みます。
また、地域が子どもたちを育てる取組として、「学校支援地域本部事業」を拡充し、放課後の学校を活用して地域の方々が子どもたちの学びなどを支援する「あい風寺子屋事業」を実施します。
第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育
生涯学習の推進
高齢化社会の進展により生涯学習への関心が高まっております。
4月に開設した「石狩市学び交流センター」を核に、公民館などとの連動を図りながら、「いしかり市民カレッジ」をはじめとした、市民の主体的な学びや活発なサークル活動に寄与できるような、生涯学習の場を提供します。
また、市民図書館をはじめ、市内の社会教育関連施設が「いしかり館ネットワーク」を形成し、講座や展示等の連携や、「ふるさとの魅力」を共同で情報発信するなど、生涯学習の広がりや地域づくりに向けた意識醸成を図ります。
図書館サービスの充実
図書館ビジョンに基づき、「宅配サービス」のほか、市民が自ら企画する「わたしの本棚事業」、「八幡分館のリニューアル」を新たに実施し、情報発信機能を高めながら、魅力ある市民図書館づくりを進めます。
文化芸術活動の振興
昨年11月にNPO法人に移行した市文化協会が、文化芸術の団体育成や牽引役として、その役割を発揮できるよう支援するとともに、市民文化祭やロビーコンサートの開催など、市民の文化芸術に接する機会の充実や、個性豊かな文化芸術活動の活発化を図ります。
石狩文化の継承
市内の史跡・文化財などの貴重な資料について、各資料館での展示の工夫やリニューアルを行うとともに、石狩の文化・自然遺産の魅力の情報発信に努めます。また、市内に点在する資料館施設等の今後のあり方について、構想策定に向けた検討をはじめます。
おわりに
被災地において、忍耐強く、互いに助け合いながら行動する人々の姿は、かつて日本社会を支えてきた「人のつながり」が、今もしっかり存在しており、過酷な中にあっても、将来に向かって一歩踏み出す大きな原動力となっていることを教えてくれています。
歴史的な大震災にあって、教育が果たす役割、「生きる力」の意義を、今一度、心中で咀嚼(そしゃく)しつつ、教育プランに掲げる「一人ひとりが地域社会の一員として、いきいきと躍動できるまち」を目指し、市民とともに教育施策を進めてまいります。
市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成23年度の教育行政執行方針といたします。