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平成24年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新

平成24年度教育行政執行方針

平成24年度 教育行政執行方針
平成24年2月28日(火曜日)
平成24年第1回石狩市議会定例会

 平成24年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに


 我が国の産業・経済の構造転換や労働環境の多様化・流動化により、社会全体に先行き不透明感が増幅し、子どもたちにも漠然とした閉塞感や無力感が広がりつつあると感じております。また、国民の生活における二極化の進展は、子どもたちの学力、生活習慣、体力にも色濃く影響を及ぼしております。これらの波は、本市にも確実に押し寄せており、否応なしに子どもたちをも巻き込んでおります。このことは、子どもたちの学力の低下や二極化のみならず、将来の夢や何事にもチャレンジする意欲の喪失など、生来持っている無限の可能性をも失いかねないと、危機感が募る想いであります。
 また、東日本大震災の教訓から「人々の支え合い」の重要性と同時に、子どもたちに「自分の命は自分で守り、主体的に判断して行動する」いわゆる「防災行動力」を身につけさせることが「防災教育」の要であるという思いを強くしております。

 学校教育においては、新学習指導要領が平成24年度から中学校においても全面実施となります。その理念「生きる力の育成」を共有し、子どもたちを育むためには、学校が保護者や地域から信頼され、教職員が熱意と愛情を持って、個々の児童生徒に、よりきめ細やかな指導ができるよう、組織的に取り組むことが必要となります。
生涯学習においては、少子高齢化や人口減少により、地域コミュニティ活動が困難になることが懸念され、「支え合いと活気のある社会」を作るための自発的な「協働の場」である「新しい公共」を担う人材の育成が強く求められております。そういった中、幼児期から高齢期まで、市民一人ひとりが、自ら進んで学ぶことに生きがいや喜びを感じ、ふるさとに愛着を持てることを大切にしたいと考えております。
 このような認識のもと、教育プランに基づき、平成24年度の教育施策に取り組んで参ります。

第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育

学校力の向上

 子どもたちの学力、望ましい生活習慣の形成、問題行動などの課題と併せて、大幅な世代交代を迎える教職員の「指導力の向上」が求められるなど、学校教育現場では、多くの課題に直面しております。
 このような中、学校が子どもたちの「確かな学力」を育み、意欲と自信を持たせる教育を行うためには、基盤となる総合的な教育力を向上させることが必要です。
 このため、子どもたちの学力や体力の向上、望ましい生活習慣の形成、さらには教師力の向上を目指し、「教育課程の改善」や「研修活動」、「地域・家庭との連携」に花川小学校が近隣の小学校と協働で取り組む「学校力向上総合実践事業」を新たに行うなど、包括的な学校改善を推進します。

確かな学力を育む教育

 これまでの学力調査の結果から、課題となっている「基礎・基本の定着」、「活用する力の育成」、「学力の二極化」などに対応するため、少人数による習熟度別指導を全校で実施するとともに、TT(チーム・ティーチング)授業など、「個に応じたきめ細やかな指導」を推進します。
 さらに、学校図書館を活用した「調べ学習」など、自ら学ぶ楽しさを身につける「授業改革」や、授業と家庭学習の連携による子どもたちの学習習慣の定着に向けた取組を推進します。
 英語教育の推進については、子どもたちがより早い段階から英語に触れ、進んでコミュニケーションを図ろうとする意欲や、外国の文化への興味関心が高まる環境が必要です。
 このため、小学校5・6年での外国語活動をさらに一歩進め、平成24年度からは、英語指導助手を増員し、3・4年からの外国語活動をスタートします。
教育の情報化では、フューチャースクール推進事業などの成果を検証しながら、「分かりやすい授業づくり」のみならず、コミュニケーション能力や国際感覚豊かな人材の育成などへの活用も視野に入れ、本市独自の学校ICT化の方向性について「教育情報化推進検討委員会」で検討を深めるとともに、引き続き、各学校へ書画カメラを配置し、ICT機器を最大限利活用して、より理解が深まる授業づくりを推進します。
 また、厚田区の学校は小規模校で、多くが複式学級での指導となっていることから、将来の厚田区の学校のあり方について地域の方々と検討を進めて参ります。

一人ひとりのニーズに合わせた教育

 中1ギャップの防止や小学校高学年の専門的な指導のため、小学校で教科担任制の導入を推進します。
 いじめ・不登校のみならず、家庭や学校生活での不安や「困り感」を持つ子どもたちの支援には、学校だけではなく児童福祉などの関係機関とも連携が必要であり、教育支援センターを核としてチームで支援して参ります。
 特別支援教育では、支援の必要な児童生徒が増加していることから、発達障がいや療育を専門としてきた職員を新たに配置し、特別支援教育担当の教員の指導と保護者の相談体制の強化を図ります。
 また、昨年、星置養護学校石狩紅葉山校舎として小・中学部の分教室が開設されましたが、社会的自立を目指すためにも高等部の設置が早期に実現できるよう、市民団体とともに関係機関へ引き続き強く働きかけて参ります。

安全・安心な環境

 大震災を通じ、危機管理体制、学校施設の安全性、「命や人の和」の大切さが一層強く問われています。
 子どもたちが、本市の歴史から災害や減災を学ぶことができるよう、市内で発生した地震・水害などの自然災害の資料を教材として提供します。併せて、子どもたちが地域・保護者と一体となって、津波なども想定に入れた避難訓練を実施するなど、「防災行動力」や「命を守るすべ」を体得できる防災教育を推進します。
 学校施設整備では、聚富小中学校・石狩中学校の屋内体育館耐震補強工事を実施するとともに、望来小学校と浜益中学校の屋内体育館の耐震化に向けた実施設計を速やかに進めます。
 学校給食では、設備更新や食材の厳選などを行いながら、安全・安心な食の提供に努めます。

第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

豊かな心の育成

 子どもたちが、夢を持ち、その実現に向かって意欲的に取り組んでいけるよう、教育活動を展開するとともに、発達段階に応じた職業観や規範意識、高い道徳性、豊かな感性などを育みます。
 また、大震災や原子力災害に直面し、エネルギー問題をはじめ、自然と共生した持続可能な社会の構築の重要性がよりクローズアップされ、環境教育の果たす役割が高まっています。「環境・人権・平和・国際理解」など、今日的な課題に対応した奨励プログラムの取組を推進します。
「情操教育プログラム」では、道立近代美術館の出前授業を活用するなど、身近に芸術文化に触れ、感動を体験できる機会の充実に努めます。

子どもの読書活動の推進

 読書は、子どもたちの人生を深く豊かなものにするとともに、コミュニケーション能力を高める上でも欠かせないものです。
 学校においては、双葉小学校・南線小学校に続き、緑苑台小学校に学校司書を配置するとともに、厚田小学校図書館と市民図書館厚田分館を統合し、総合的な整備を行うなど、「学校図書館等整備方針」に基づき、計画的整備を図って参ります。
 また、市民図書館では、ブックスタート事業を出発点に、学校・家庭・地域の連携のもとで子どもの発達段階に応じた読書活動を推進するため、「調べ学習コンクール」の開催や「ジュニアライブラリアン養成プログラム」のノウハウを活かした学校図書館の活性化に取り組みます。

健やかな体を育む教育

 子どもたちが、自らの健康に関心を持ち、健全な生活を送るためには、それに相応しい知識と実践力を身につける必要があります。
 学校においては、体育の授業や行事にバランスよく各種の運動を位置付けるとともに、体力・運動能力向上に向けた各校独自の「1校1プラン」の取組を推進します。
 また、年齢に応じた望ましい生活・運動・食の習慣の形成と確立に向け、PTAと連携を図りながら取り進めるとともに、地元産食材を学校給食に積極的に活用するほか、生産者との連携を図りながら食育を推進します。

地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進

 子どもたちの健やかな成長を支えるためには、学校が地域や家庭と一体となって充実した教育活動を展開することが重要です。このため、「学校支援地域本部事業」を花川南北地区において再編拡充するとともに、「あい風寺子屋事業」の充実を図るなど、地域と学校がより一体感を持った取組を推進します。
 また、学校・PTAが一体となって「いしかりっ子いきいきカルタ」や「生活リズムチェックシート」を活用し、「早寝・早起き・朝ごはん運動」や「家庭学習や読書」をはじめ、望ましい生活習慣の形成に向けた取組を推進します。

第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育

生涯学習の推進

 高齢社会の進展や人口減少に伴い、将来的に市民の暮らしに様々な問題が生じることが懸念されます。地域の社会機能を維持していくため、行政・企業・NPOなどが公共的役割を認識し合い「新しい公共」の必要性を理解し、それを支える人材を育成することが求められ、生涯学習の役割が一層高まっております。
 学び交流センターを核に、公民館や図書館などの社会教育施設が、市民の生涯学習の場を提供するとともに、尽きることのない知的好奇心に応える内容や社会の要請に基づく講座の充実に努めて参ります。特に、「いしかり市民カレッジ」では、大学等との連携を進めるなど、高度な学習ニーズに対応できるよう、内容を充実します。
 また、市民図書館をはじめ、市内の社会教育関連施設による「いしかり館ネットワーク」では、「親子で見る・聞く・体験する」をキーワードに事業を展開するとともに、市外でも「ふるさとの魅力」を共同で情報発信するなど、生涯学習の広がりや地域づくりに向けた意識の醸成を図ります。

図書館サービスの充実

 市民図書館は、広く文化の発信拠点として市民の主体的な学びや活動を支援するため、図書館資料の充実を図るとともに、新たに、本の返却サービスポイントを学校に設置するなど、利用しやすい環境づくりを進めます。
 また、市民とともに「ふるさと石狩」を記録し、後世にまちの姿を伝える取組や、市部局と連携のもと、防災・観光に関する地域情報を提供するなど、情報発信機能を高めながら、魅力ある市民図書館づくりを進めます。

文化芸術活動の振興

 市内の文化活動団体の多くは、会員の高齢化や減少という課題を抱えております。このため、NPO法人石狩市文化協会が、学び交流センターでの市民向けの講座や自主的な文化事業、情報発信などにより、会員の活動内容のPRや会員の増加につながる取組を行うとともに、芸術団体の育成や牽引役を果たせるよう支援します。
 また、市民文化祭では、「市民手づくりの文化祭」として取組を進める中で、幅広いジャンル・地域からの文化作品の展示や発表により活発化を図るほか、ロビーコンサートの開催など、市民の文化芸術に接する機会の充実や個性豊かな文化芸術活動の促進を図ります。

石狩文化の継承

 市内各地域に継承されてきた「石狩文化」を形づくる自然、歴史、文化は、ふるさとへの愛着や誇りの根源となるものです。このため、はまます郷土資料館については展示資料を精選し、本市のニシン漁の歴史を象徴する「旧白鳥番屋」の姿をより明確にするとともに、収蔵されてきた貴重な地域資料を地域振興との連動を図りながら新たな場所に展示するなど、有効な活用を図ります。
 また、市民が郷土を理解し、誇りを持てるよう、本市の歴史、文化、自然遺産の魅力について情報発信に努めるとともに、「石狩文化」継承の拠点となる資料館等の今後のあり方について、市文化財保護審議会の答申を受け、具体的に検討を進めて参ります。

おわりに


 子どもたちや若い人たちの夢の実現を支援することは、教育の重要な使命です。
 金融・経済・資源エネルギーなど、グローバル化が急速に進む中、国境を越えた様々なビジネスシーンで日本人が活躍していますが、今後も、そのような人材が一層求められていくものと感じております。
 こうした変化の激しい社会に萎えることなく、将来の石狩を支え担う子どもたちが、ふるさとの自然・歴史・風土を感じ、社会で生きる実践的な力を身につけ、さらには、新しい時代に積極果敢にチャレンジする進取の気性に富む人となれるよう、しっかりと育むことが、今日の教育に求められております。
 このような教育が果たす役割を認識し、教育プランに掲げる「一人ひとりが地域社会の一員として、いきいきと躍動できるまち」を目指し、市民とともに教育施策を進めて参ります。

 市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成24年度の教育行政執行方針といたします。