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平成25年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


平成25年度教育行政執行方針

平成25年度 教育行政執行方針
平成25年2月26日(火曜日)
平成25年第1回石狩市議会定例会


 平成25年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。


はじめに


 近年、経済の停滞や格差社会の拡がり、国際社会において我が国が抱える諸問題の顕在化など様々な要因が重なり、社会全体が閉塞感に包まれているような状況にあります。このような社会情勢の中、子どもたちや保護者にも漠然とした不安感が広がり、また、二極化社会の進展は、子どもたちの学力、生活習慣、体力にも色濃く影響を及ぼしていると感じており、子どもたちが本来持っている無限の可能性をも失いかねないと、危機感が募る想いであります。
 言うまでもなく、人材が国の基盤であり、その教育について国民的議論がなされる昨今、改めて教育のあり方を考えさせられ、その責任を痛感しており、教育委員会はもとより、市全体で一丸となって教育を推進し、子どもたちが未来へ向けて生き抜く力を育むことが、子どもたちの将来に責任を持つ立場にある私たちに課せられた責務と考えております。
 私が、学校を訪問すると、子どもたちは大きな明るい声で、元気いっぱいに挨拶をしてくれます。小さな事ですが、子どもたち一人ひとりが、未来への可能性を秘めた「希望」であることを、改めて垣間見る気がいたします。
 子どもたちの「生きる力」を育み、秘めた可能性を伸ばすためには、教職員が熱意と愛情を持って、きめ細やかな指導ができるような教育環境が求められております。このため、学校、家庭、地域が連携をより一層進めることはもとより、市と教育委員会の連携を具体的に推進することによって多様な学校支援の充実を図るなど、より良い学校教育の実現を、まちぐるみで目指したいと考えております。
 また、まちづくりは、人づくりや地域の教育によって支えられ、ここに住む市民が協働で行うものであります。「ふるさと」に愛着を持ち主体的にまちづくりに参画する市民の育成を目指し、石狩の多様な資源を活かし、市民一人ひとりがお互いに学びあいながら、自ら進んで学ぶことに生きがいや喜びを感じることのできる、生涯学習を推進したいと考えております。
 東日本大震災の発生からまもなく2年が経過し、本市においては、災害に強いまちを目指した具体的な取組が進められる中、改めて、日頃の防災教育の重要性を強く感じているところであり、学校はもとより地域に防災・減災への高い意識が根付くよう、市と連携を図り、避難訓練を中心とした防災意識の醸成に努めたいと考えております。

 このような認識のもと、教育プランに基づき、平成25年度の教育施策に取り組んで参ります。


第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育

確かな学力を育む教育

 学校教育の現場では、子どもたちの学力向上のみならず、不安定な生活習慣、社会性の欠如や問題行動など、多くの課題に直面しており、指導力・授業力の向上はもとより、家庭や地域との連携も含め、総合的に、学校が持つ教育力の向上が必要です。
 このことから、花川小学校が中心となり、近隣の3つの小学校と協働で「学校力向上に関する総合実践事業」を昨年に引き続き取り組み、その成果を市内全校に波及させながら、包括的な学校改善を推進します。
 学校教育においては、昨年をもって、新学習指導要領が小学校、中学校全面実施となりましたが、その定着状況をみる「全国学力・学習状況調査」の結果、北海道においては、全国平均を下回る状況にあることから、昨年より「オール北海道の目指す目標」が設定され、計画的に取り組んでいるところです。本市においても同様に厳しい状態にあることから、学力向上を喫緊の課題と捉え、市内各校において、多くの取組を進めています。
 これまで課題となっている「基礎基本の定着・活用する力の育成」、「学習意欲の向上」、「自主的な学習習慣の育成」などに対応するため、エキスパート・サポーターや学力向上サポーターを活用し、チーム・ティーチング授業や少人数による習熟度別指導など「個に応じたきめ細やかな指導」を推進するとともに、指導方法の工夫改善を行い「分かる・楽しい授業」を推進し、「授業と家庭学習の連続性」を高める指導を推進します。
 教育の情報化では、市内全小中学校・全普通教室へ書画カメラを整備するほか、各校のICT環境の有効活用のためICT支援員を新たに配置するなど、学校へのサポート体制を強化し、「分かりやすい授業づくり」を支援します。
 英語教育の推進では、一層グローバル化する社会の中で活躍できる人材を育成するために、子どもたちがより早い段階から英語に触れ、進んでコミュニケーションを図ろうとする意欲や、外国の文化への興味関心が高まる環境が必要です。
 このため、新学習指導要領で定められている小学校5年生からの外国語活動に加え、市独自の施策として、小学校3、4年生にも、英語指導助手を活用した英語教育を推進します。
 また、将来の厚田区の学校のあり方については、引き続き、地域の方々と検討を進めていきます。

一人ひとりのニーズに合わせた教育

 いじめ、不登校、家庭や学校生活での不安をはじめ、非行・不良行為への対応や未然防止には、学校だけではなく、地域の見守りのほか、児童福祉関係機関などとも連携が必要です。
 また、特別支援教育では、支援の必要な児童生徒が増加傾向にあることから、幼児期から途切れのない支援を図る「サポートブック」の活用と併せ、支援システムを構築するなど、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を、これまで以上に推進していかなければなりません。
 このことから、教育支援センターを市役所本庁舎へ移転し、関係機関をはじめ市長部局との連携をより強化します。
 さらに、人的な支援については、児童生徒の問題行動等の対策の一つとして、青少年育成支援アドバイザーを、また、特別支援教育においても、特別支援教育相談員をそれぞれ新たに配置するなどし、保護者を含めた小中学校への相談体制の充実を図ります。

安全・安心な環境

 学校施設は、子どもたちの活動の場であり、非常災害時には地域の方々の避難場所となることから、その安全性の確保は極めて重要です。
 本市においては、本年、望来小学校と浜益中学校の屋内体育館の工事をもって、全ての学校の耐震化が終了します。また、天井材や外壁などのいわゆる「非構造部材」については、早期に点検を実施します。
 災害による被害を少しでも減らすためには、学校施設の安全性の確保はもちろん、子どもから高齢者まで、一人ひとりが日頃から防災意識を持ち、自分のできる具体的な行動に着手することが大切です。学校が地域と一体となり、津波なども想定に入れた避難訓練を行うなど、継続して防災意識の醸成を図ります。

第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

豊かな心の育成

 子どもたちが、「ふるさと」への愛着を深め、誇りを持てるよう、地域のボランティア活動や郷土学習など学校が主体的に行う「特色ある教育活動」や「環境・人権・平和・国際理解」をテーマとする取組を支援し、また、芸術文化に直接触れ、感動を体験できる機会の確保に努めるなど「情操教育プログラム」を実施し、学校の教育活動全体を通じて、子どもたちの豊かな感性を醸成するとともに、規範意識、高い道徳性などを育みます。

子どもの読書活動の推進

 子どもの読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより豊かに「生きる力」を身に付けていく上で欠くことのできないものです。
 このことから、「ブックスタート事業」や「朝の読書」とともに、子どもたちが自らの疑問を調べ、まとめ、発表する「調べる学習コンクール」など、学校・家庭・地域の連携のもとで子どもの発達段階に応じた読書活動を推進します。
 また、学校図書館の蔵書整備を推進し、学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、花川南小学校に学校司書を新たに配置するなど、「学校図書館等整備方針」に基づき、子どもたちにとって魅力のある学校図書館づくりを推進します。

健やかな体を育む教育

 子どもたちが、変化の激しいこれからの社会を生きるためには、知・徳・体の全てがバランスよく育まれることが重要であり、健やかな身体が、「生きる力」の基礎となります。自らの健康に関心を持ち、健全な生活を送るためには、それに相応しい知識と実践力を身につけることが必要です。
 学校においては、体育の授業や行事にバランスよく各種の運動を位置付けるとともに、体力・運動能力向上に向けた各校独自の「1校1プラン」の取組を推進するなど、年齢に応じた望ましい生活・運動・食の習慣の形成と確立に向け、PTAと連携を図りながら「生活リズムチェックシート」の活用や、「早寝早起き朝ごはん」運動などを推進します。
 食育については、地元の食材を学校給食に積極的に活用する「いしかりデー」の実施や、生産者が出演するDVDを作製し給食時に活用するなど、石狩の産物や生産者への関心を高め、また、家庭と連携し食育講演会を実施するなど、子どもたちが食への感謝の心を持ち、理解を深めるよう取り組みます。

地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進

 子どもたちの健やかな成長を支えるためには、学校や家庭の教育はもちろん、地域の中で多くの大人が見守り支える環境づくりが必要です。
 このことから、地域ボランティアが学校を支援する「学校支援地域本部事業」において、花川地区全校に事業を拡充するとともに、事業定着に向けた取組を進めるほか、スクールガード、中学校の部活動指導、スクール・アシスタント・ティーチャーなど、地域の教育力を活用した取組を推進します。

第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育

生涯学習の推進)

 急速な高齢化や人口減少などが進む社会にあって、一人ひとりが生涯にわたって様々な学習経験を積む中で、自立した人間として、「生きがい」を持って生きていくことが求められています。また、地域を学ぶことで「ふるさと」への愛着を深め、より良いまちづくりへの取組に活かすなど「協働」の活力が生み出される一面もあることから、その役割は一層高まっています。
 5年目を迎える協働の取組である「いしかり市民カレッジ」は、広く情報の発信に努め、多様で高度な学習ニーズに対応するとともに、身近で魅力的な講座の充実を図ります。また、学び交流センターを核に、公民館や図書館などの社会教育施設が、引き続き「生きがい」づくりにもつながる講座の充実を図るなど、生涯学習の場の提供に努めます。
 市内の社会教育関連施設による「いしかり館ネットワーク」においては、「石狩さけまつり」が50回目という節目を迎える今年、「石狩の海と川」を共通テーマに、それぞれの施設の特性を活かし、石狩の鮭とともに歩んできた歴史や文化を振り返るなど、「ふるさと」の魅力を再発見する機会の提供に努め、生涯学習の広がりや地域づくりに向けた意識の醸成を図ります。

図書館サービスの充実

 市民図書館では、図書館資料の充実を図るとともに、システム更新による、資料検索や貸出などの利便性向上や、公衆無線LANの設置により情報機能を強化するなど、図書館機能の充実を図ることで、市民の主体的な学びや活動を支援し、市民とともに考える図書館づくりを進めます。
 昨年開館しました地域開放型の学校図書館である、厚田小学校「あいかぜとしょかん」については、新しい学校図書館のモデルとして、より一層地域に親しまれ、活用されるよう取り組みます。
 また、震災を機に支援・交流関係にある名取市や、友好都市である輪島市の図書館と協力し、地域の資料などを相互に、広く市民に公開することで、お互いのまちを知り、交流を深め、「ふるさと」意識の醸成や、防災・文化などの交流を図ります。

文化芸術活動の振興

 NPO法人石狩市文化協会が、自主講座や文化事業、情報発信などを通じ、新たな担い手の育成や会員の増加につながる取組を行うとともに、芸術団体の牽引役を果たせるよう支援します。
 また、市民文化祭は、「市民手づくり」の文化祭としての取組を進めるとともに、全市的な地域間交流などにより活発化を図るほか、ロビーコンサートの開催など、市民の文化芸術に接する機会の充実を図ります。

石狩文化の継承

 本市は、道央においても指折りの古い歴史を有するまちであり、石狩、厚田、浜益それぞれの特色ある地域文化は、先人の息吹と歴史の重みの中で継承されてきました。これらは、ふるさとへの愛着や誇り、また、まちづくりの根源となる大切なものであることから、今後も積極的に、保存・活用していくことが必要です。
 「まちの魅力再発見事業」においては、石狩紅葉山49号遺跡から出土した「木のうつわ」の復元製作とその活用により、縄文時代に始まる鮭と石狩の深い関わりについて、市民の理解を深めて行きます。
 また、地域の宝ともいうべき伝統芸能の記録を進めるとともに、市全体の地域資料の保存・活用については、市文化財保護審議会の答申を受け、ハード・ソフト両面から、さらに具体的な検討を進めます。

おわりに


 戦後の高度成長期を経て成熟した社会を迎え、我が国は、あらゆる分野で今までの思考や体制などからの転換が必要とされており、教育を取り巻く環境においても、現在、多くの課題が山積しております。
 地域の子どもたちの未来を預かる私たちは、そのような課題を真摯に受け止め、まちぐるみで解決の道を見つけ出すために、まず、教育委員会が自ら積極的に情報を発信し、保護者や学校、地域との共有・連携を図り、より一層、透明性の高い教育行政を遂行できるよう、弛まず努めて参ります。
 近年の本市の子どもたちは、太鼓、リコーダー、吹奏楽などの文化面や、野球、少林寺拳法、柔道などのスポーツ面で、子どもたちを支える熱心な教師や地域の指導者の下、見事な成果を上げており、未来のいしかりを担い、まちづくりの礎となる「人育て」が着実に実を結んでいるものと実感しております。
 夢と希望にあふれた未来に大きくはばたく子どもの育成と、市民一人ひとりが心豊かに、活き活きとした人生を送ることのできる、石狩市の教育を目指し、誠心誠意努めて参りたいと存じます。

 市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成25年度の教育行政執行方針といたします。