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平成26年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


平成26年度教育行政執行方針

平成26年度 教育行政執行方針
平成26年2月26日(水曜日)
平成26年第1回石狩市議会定例会


 平成26年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。


はじめに


 情報通信技術の進展や交通手段の発達、市場の国際的な開放などにより、人、物、情報など、様々な分野で国際的な移動が活発化している今日、自分とは異なる文化や歴史に立脚する人々と共生して行くためには、自らの国や地域の伝統や文化についての理解を深めて、尊重する態度を身に付けることが重要であります。そのような中、郷土の歴史、鮭の文化、石狩川をはじめとした自然などに学び、「ふるさと石狩」をしっかりと心に持ち、地域のことを大切に思う「石狩人」を育てることが肝要であり、このことが国際的に通用する人材の育成につながると考えます。
 平成26年度は、本市教育プラン前期基本計画の最終年であり、これまで継続してきた事業や施策の集大成の年であるとともに、次の基本計画へ向けた準備の年と位置付けられます。
 学校教育においては、「学習規律の確立」、「生活習慣の改善」、「体験活動の推進」を図るとともに、教員の熱意が活かされ、きめ細やかな指導ができるよう、学校、家庭、地域の連携をより一層進めることはもとより、市長部局と一層の連携のもと、多様な学校支援の充実を図るなど、より良い学校教育の実現を、まちぐるみで目指したいと存じます。
 また、学びを通じて支え合い高め合いながら、多様な個性・能力を伸ばし、一人ひとりが充実した人生を自ら切り拓いて行けるよう、さらには、「ふるさと」に愛着を持ち主体的にまちづくりに参画する市民が育成されるよう、本市の豊富な教育資源を活かした生涯学習の推進に努めて参りたいと存じます。

 以上の認識のもと、次に述べます3つの重点を軸に、平成26年度の教育施策に取り組んで参ります。


第1の重点 自ら学ぶ意欲を育てる教育

確かな学力を育む教育

 平成25年度の全国学力・学習状況調査の結果、本市の子どもたちの学力は、依然として厳しい状況にあることは否めませんが、全体として全国との差が縮まり、改善が見られています。
 このことは、教員の指導力向上はもとより、家庭や地域との連携も含め、総合的に学校の持つ教育力が向上されてきた結果と考えていますことから、これまで、花川小学校を中心とした「学校力向上に関する総合実践事業」で明確になった、「習得に重点を置いた授業」や「基礎学力の保障」などの効果的な取組を、市内全校に波及させながら、包括的な学校改善を推進します。
 また、様々な人的支援を継続し「個に応じたきめ細やかな指導」を推進するとともに、「授業と家庭学習の連続性」を高める指導、さらなる指導過程の工夫改善の取組などを推進し、「基礎基本の定着と活用する力の育成」、「学習意欲の向上」、「自主的な学習の習慣化」を目指します。
 英語教育については、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や外国文化への興味関心を高めるため、子どもたちがより早い段階から英語に慣れ親しめるよう、英語指導助手を活用した教育を推進します。
 教育の情報化については、先導的な役割を果たしている紅南小学校をはじめ、市内各校へのサポート体制やICT環境の充実に努め、教育活動全体の中で位置付けられ、効果的な活用が図られるよう推進して参ります。

一人ひとりを大切にした教育

 昨年、「いじめ防止対策推進法」が施行されるなど、国を挙げてのいじめ対策が進められています。本市においては、同法の趣旨を鑑み、全ての小中学校において「学校いじめ防止基本方針」を策定するとともに、未然防止のため、地域と連携を図り、市の公認キャラクターを活用した啓発活動や、子どもたち自らがいじめを考える取組など、効果的ないじめ対策を推進します。
 また、学習や生活面での支援が必要な児童生徒には、通級指導など一人ひとりのニーズに応じた、幼児期から途切れのない支援が必要であることから、地域、児童福祉関係機関や市長部局との連携を図りながら、特別支援教育の充実に努めます。

安全・安心な環境

 学校施設は、子どもたちが安心して活動できる場であることはもちろん、災害時には地域の避難場所にもなることから、その安全性の確保は極めて重要です。
 本市においては、平成25年度において、全ての学校の耐震化が終了しましたことから、今後は「非構造部材」への対応を進めるとともに、花川南小学校の大規模改修を実施します。
 また、学校給食センターの老朽化が著しいことから、安全・安心でおいしい給食を提供するとともに、食育を推進できるよう、施設整備の具体的な検討を進めて参ります。

魅力ある学校づくりの推進

 各学校においては、教育課題への取組や地域との連携の中で、自主的に、様々な特色ある教育活動が進められています。
 引き続き、各学校へ奨励プログラム推進事業による支援を行うとともに、本市へ赴任する教員には、本市の教育の特色や、地域の歴史や文化が理解されるようセミナー等の充実を図り、地域に根ざした魅力的な学校づくりを推進します。
 また、少子高齢化、過疎化の進行は、本市にとっても重要な課題であり、特に、子どもの数が減少している地域では、それぞれの地域の特徴を活かした魅力的な学校づくりを目指し、学校のあり方を、地域と共に検討して参ります。

第2の重点 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

豊かな人間性と健やかな成長を促す教育


 子どもたちが、変化の激しい社会へ羽ばたいて行くためには、「確かな学力」、「豊かな心」、そして「健やかな体」の全てがバランスよく育まれることが重要であり、「生きる力」の基礎となります。
 子どもたちが、音楽、舞台などの芸術に直接触れ、心を揺さぶられる感動を体験する「情操教育プログラム」を継続して実施するとともに、「ふるさと」への誇りや愛着を深める学習、ユネスコ活動や地域でのボランティア活動など、特色ある教育活動への支援をはじめ、学校の教育活動全体を通じて、規範意識、高い道徳性や、豊かな感性を育みます。
 平成25年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果において、北海道の子どもたちの体力は全国最低水準であり、本市においても課題であることから、体力・運動能力向上に向けた各学校独自の「1校1プラン」を推進するとともに、体育の授業、放課後や行事にバランスよく各種の運動を位置付けるよう推進します。また、学校においても、市民のスポーツであるソフトボールに興味・関心が持てるよう、指導の充実に努めます。
 年齢に応じた望ましい生活習慣などの形成と確立に向けては、テレビの視聴時間が長いなどの課題があることから、PTAと連携を図りながら「生活リズムチェックシート」の活用や、「早寝早起き朝ごはん」運動などを推進します。
 食育については、栄養教諭を中心とした学校、家庭、地域の連携により、食に関する指導体制の充実を図るとともに、地元食材を使った学校給食を作る「いしかりデー」の中で食育DVDを活用する取組や、家庭や学校へ向けての食物アレルギー講演会の実施など、子どもたちが食への理解を深め、常に感謝の心を持てるよう取り組みます。

子どもの読書活動の推進

 子どもの成長過程において、「本」は、非常に重要な役割を果たすものであることから、ゼロ歳児と保護者への「ブックスタート事業」と、そのフォローアップを行うとともに、学校における朝の読書活動や、親子での読書活動、子どもたちが自らテーマを持って調べ、発表する「調べる学習コンクール」などを推進し、学校・家庭・地域の連携のもとで、子どもの発達段階に応じた読書活動の充実を図ります。
 また、「学校図書館等整備方針」に基づき、学校図書館の蔵書整備を行うとともに、花川小学校に学校司書を新たに配置するなど、子どもの興味関心に応じた本の活用や授業支援を図り、魅力的な学校図書館づくりを推進します。

地域全体で子どもを見守り育てる体制づくり

 子どもたちの健やかな成長は、学校や家庭の教育のみならず、多くの人との「ふれあい」により、支えられています。そして大人たちは子どもたちを「地域の宝」として、とても大切に思っており、その温かい気持ちは、様々な形で支援となり、子どもたちを見守り、支えています。
 地域ボランティアが学校を支援する「学校支援地域本部事業」においては、これまでの実績を踏まえ、事業定着に向けた取組を進めるほか、スクール・アシスタント・ティーチャー、中学校の部活動指導など、地域や学生の力を活かした取組を推進します。
 また、子どもの安全・安心については、学校、家庭、地域の連携のもと、子どもの見守りが行われておりますが、今後とも、関係機関との連携を密にし、スクールガードや声かけ運動などが円滑に取り組まれるよう推進して参ります。

第3の重点 地域で学び・育ち・活きる教育

生涯学習の推進

 社会環境が変化する中で、市民一人ひとりが、様々な学びに積極的に参加できるような環境整備に加えて、学びを核とした交流や連携を深め、コミュニティの中で地域課題の解決を図ることの重要性が高まっています。
 「協働」による学びの場「いしかり市民カレッジ」は5年を経過しましたことから、情報発信とともに、市民の高度な学習ニーズや、「ふるさと」をもっと知りたいという思いに対応する講座など、さらなる充実を目指します。
 また、公民館や図書館、資料館などの社会教育施設が連携を図り、効率的な学習情報の提供を図るとともに、施設間のさらなる有機的な連携を目指した新たな学びの拠点となる、総合的な施設の事業化の可能性について、調査、研究を進めて参ります。

図書館サービスの充実

 市民図書館では、昨年12月のシステム更新により、資料検索や予約などの利便性向上や、公衆無線LANの設置により情報発信機能の充実が図られたことから、これらの機能を十分に活かすとともに、雑誌スポンサー制度の導入や、地域資料の収集、整理に取り組み、図書館資料の充実を図ります。また、名取市、輪島市との友好図書館交流を進め、地域間の防災や文化などの相互理解を図るなど、市民の主体的な学びや活動を支援し、市民とともに考える図書館づくりを進めます。

石狩文化の振興と継承

 それぞれの地域に継承されてきた、「石狩文化」を形づくる、自然や歴史、市民の文化芸術活動などは、「ふるさと」への愛着や誇りの根源となるものであり、今後も積極的に振興し、継承して行くことが必要です。
 「NPO法人石狩市文化協会」が本市の文化・芸術団体の牽引役を果たせるよう継続して支援するとともに、市民文化祭やロビーコンサートの開催など、文化芸術に接する機会の充実や個性豊かな文化・芸術活動の支援などにより、石狩文化の創造と継承に努めます。
 縄文時代に始まる鮭と石狩の深い関わりは、日本各地にある鮭文化の系譜の中で重要な位置にあり、石狩のDNAとして、後世に残すため、鮭の博物誌刊行に向けた調査等を始めます。
 また、本市は道央地区最古の俳句結社「尚古社」が結成されるなど、俳句が盛んに行われていた歴史があります。その特色を活かしてきた「俳句のまち・いしかり」事業が、10周年を迎えることから、記念事業の実施を支援します。

おわりに


 一昨年の現内閣発足後、教育再生は、経済再生と並ぶ最重要課題とされており、既に教育基本法が改正され、今後は、学制改革や道徳の教科化、そして、教育委員会制度の改革など、大きな変革期にあると認識しております。
 教育は「人づくり」です。そして、教育は、これからのまちづくり、さらには、我が国の将来の根幹をなす重要な要素であります。子どもたちの能力は、多種多様で、無限の可能性を秘めており、この能力を着実に引き出すことが、教育の第一の使命と考えています。教育再生のもと示されている様々な改革については、子どもたちの可能性をさらに引き出し、輝く未来へ導くものとなることを期待したいと存じます。
 本市では、今年、石狩市手話に関する基本条例が施行されます。その理念は、多様性を認め、相互理解を図り共生社会の実現を目指すものであります。

 「いしかりを学ぶ」「いしかりで学ぶ」

 生涯にわたる学びを通し、地域でも、世界でも、誰もが相互に尊重し支え合い、多様なあり方を認め合える社会が創られて行くことを切に願い、市民の皆様と共に、誠心誠意、教育行政を推進して参りたいと存じます。

 市民の皆様、並びに市議会議員の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、平成26年度の教育行政執行方針といたします。