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平成29年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月27日更新

 

平成29年度教育行政執行方針

 

 平成29年度 教育行政執行方針
 平成29年2月27日(月曜日)
 平成29年第1回石狩市議会定例会

 平成29年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに 

 「変化」、「激動」、「変革」・・・。時代を象徴する枕詞としてこれらの言葉が使われるようになって久しいところでありますが、その使用される頻度は高まる一方と感じられます。グローバル化や情報化が加速する中で、社会のあらゆる分野における変化の速さ、大きさ、影響度合いは増大し、その予測はますます困難になっております。
 こうした時代背景も踏まえ、昨年暮れに公表された次の学習指導要領改定に向けた中央教育審議会答申の中には、時代の変化という「流行」の中で子どもたちが未来を切り拓く力の基盤は、学校教育が永年にわたり目指してきた「不易」たるものの中で育まれるという趣旨の記述がありました。この指摘は学校教育にとどまらずあらゆる教育の意義を端的に表していると考えます。
 現代人は、時代の変化に応じて常に学び続け、自らをアップデートしていくことが求められております。こうした営為を、時代に翻弄されてではなく、能動的・主体的に続けていくためには、ふるさとを愛し、社会において自立的に生きていく力を備え、生涯を通して自らの知・徳・体をバランスよく育む意欲を持ち続けることが欠かせません。そして、そのような人間形成を目指すのが教育の不易たる目標のひとつであります。
 新しいチャレンジと粘り強く地道な取組を体系的・効果的に展開して、笑顔と元気あふれる子どもたちや豊かで充実した毎日を送る大人をこの石狩市でさらに増やすべく、引き続き努めて参ります。

 以上のような基本姿勢のもとで平成29年度に取り組む主要な施策につきまして、教育プラン基本構想で定める3つの柱の項目ごとに申し述べます。

第1の柱 自ら学ぶ意欲を育てる教育

(確かな学力を育む教育)  

 学校教育の現場では、子どもたちの学力については、改善傾向にあるものの、一方で、判断の根拠や理由を明確にしながら自分の考えを述べることなどについては課題が指摘されております。また、自分の価値を認識しつつ他者と協働することの重要性などを実感し、理解できるような機会が限られているとの指摘もあります。
 子どもたち一人ひとりの可能性を伸ばしていくためには、指導力・授業力の向上はもとより、家庭や地域との連携も含め、学校が持つ教育力の総合的な向上が必要であります。
 このことから、市内6校での「学校力向上に関する総合実践事業」に引き続き取り組み、成果の普及に努めます。また、学校内の情報をデータ化し教員間で共有する「校務支援システム」の導入をさらに進め、教職員の事務負担を軽減するとともに、子どもたちの育ちを教職員全体で見守るきめ細かな指導の充実を図って参ります。
 平成28年度の「全国学力学習状況調査」では、小学校、中学校ともに、改善傾向にはあるものの、残念ながら全国平均には届いておりません。そのため、課題を焦点化するとともに指導過程を見直し「基礎基本の定着と活用する力の育成」、「学習意欲の向上」などを図ります。さらに、増員するエキスパート・サポーターや学力向上サポーターも活用し、「個に応じたきめ細やかな指導」を推進するとともに、家庭学習を含めた学習の連続を、家庭との連携を図りながら推進いたします。また、平成32年度の学習指導要領改定の動きから、小学校英語の教科化に備え、新年度から低学年に外国語活動を導入するとともに、本市の地理的特性を踏まえた防災教育を計画的に推進して参ります。

子どもの総合支援 

 すべての子どもたちが等しく学ぶことができる環境の整備については、平成28年度に開始した退職教員の協力による中学校への学習支援の取組や「スクールソーシャルワーカー」による学校への巡回支援を継続するほか、福祉部局との連携を一層強化するとともに、教育委員会事務局に臨床心理士を配置し、困難に直面している子どもや家庭の悩みの緩和、困りごとの解消に取り組む体制を整えます。

(一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育) 

 学習や生活面での支援が必要な子どもたちが増加する中、一人ひとりのニーズに応じた支援を行うことはますます重要となっております。子どもたちの将来の自立と社会参加に向け、個別の教育支援計画の充実に力を入れ、きめ細やかな支援ができるよう特別支援教育支援員の増員を図ります。また、教育や福祉関係者のみならず、保護者、地域などの理解が深まるよう特別支援学級に協力するボランティアの研修を引き続き行うなど、様々な場面において、子どもたちへの支援の輪が広がるよう努めて参ります。

(安心・安全でより良い教育環境の整備)  

 厚田地区の小中学校統合については、設立準備委員会において、基本計画の検討が進められておりますが、新年度はこれを踏まえて基本・実施設計を行い、小中一貫教育を目的とした義務教育学校の平成32年度開校に向けて取り組んで参ります。また、市民も利用可能な厚田小学校プールを、平成30年度夏の供用に向けて建設して参ります。
 
過日の教育委員会会議において、石狩・八幡両小学校の統合を決定いたしました。新年度は、コミュニティスクール、ふるさと教育など地域の特色を活かした学校づくりに向け、学校や地域の方々と検討を開始いたします。
 また、本年4月にオープンする新たな学校給食センターでは、自家炊飯機能やスチームコンベクションオーブンなど最新の設備を取り入れるとともに、食器の種類を充実させるなどして、安全・安心でおいしい給食の提供と食育の推進に努めて参ります。

第2の柱 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

(豊かな人間性を育む教育)  

 子どもが豊かな心を育むために、また知識を習得し、課題を解決する力を付けるために、読書は大きな役割を果たすことができます。子どもの読書活動を推進するため、0歳児と保護者を対象とした「ブックスタート事業」や、おはなし会の開催など、各発達段階に応じた取組を、家庭・学校・地域と連携しながら実施して参ります。
 また、学校図書館は子どもが本と出会える一番身近な場であることから、蔵書の充実を図るとともに、環境の整備を進めて参ります。
 子どもたちが「考え、議論する」教育を充実させ、「学びに向かう力、人を思いやる心」を育み、いじめなどの問題について、高い道徳心を持って一人ひとりが対応できるように、道徳教育を推進して参ります。また、「あい風コンサート」など芸術文化に直接触れる機会や「情操教育プログラム」を実施し、感動を体験できる機会を通じて、子どもたちの「豊かな心」を醸成して参ります。

(心身の健やかな成長を促す教育)  

 平成28年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果において、本市は、一部全国を上回る種目はありますが、全体的には課題が見られます。学校においては、体育の授業や行事、部活動を効果的に活用するなど、各学校独自の「1校1プラン」により体力の向上を図って参ります。また、市内のスポーツクラブと協働し、放課後の小学校体育館で子どもたちに多様な運動メニューの実技指導や食育指導を行う「放課後すこやかスポーツ教室」を開始いたします。
 また、年齢に応じた望ましい生活・運動・食の習慣の形成と確立に向け、PTAと連携を図りながら、引き続き「生活リズムチェックシート」や「生活習慣改善チラシ いしかりふれあいDay」の活用促進、「早寝早起き朝ごはん」運動などに取り組むとともに、Sns(ソーシャルネットワーキングサービス)について、危険性を伝えながら、同時に適切で望ましい利用の仕方を、児童生徒や保護者等へ啓発して参ります。

(地域全体で子どもを守り育てる体制づくり) 

 交通安全や不審者対策など、子どもたちの身の回りの安全を学校や子どもたちだけで確保することには限界があることから、子どもたちが安心して生活できる環境を整えるためには地域の中で多くの大人が見守り支えることが必要です。そのため、引き続き学校と地域が連携を深め、「スクールガード」や「声かけ運動」を推進するなど、学校をはじめ関係者の支援・協力のもと、地域力を活かしながら、地域をあげて子どもたちを育て見守る取り組みに努めて参ります。

第3の柱 地域で学び・育ち・活きる教育

(生涯学習の推進)

 「協働」による学びの場「いしかり市民カレッジ」は、魅力ある主催講座に加え、「まちの先生企画講座」など、多様な市民の「学び」を支えて参りました。また、高齢者大学「石狩シニアプラザはまなす学園」には多くの市民が集い、生涯にわたる学びを実践しております。今後とも、市民の「学び」を一層支援するとともに、情報発信を図り、市民と市がともに学びをつくる取組を推進して参ります。
 
また、「学び交流センター」については、特別支援学校や利用団体との交流を深めるなど、複合施設としての特性を活かした「学びの場」として、適切な改修などを施し、他の社会教育関連施設と機能分担を図りながら、生涯にわたる学びを支援して参ります。

(図書館サービスの充実)

 子どもから大人まで、様々な人々に開かれた施設である市民図書館には、本や雑誌を借りるほかにも、学びや交流の場として、日々多くの方が来館されています。その多様な来館目的に応えるべく、本や雑誌の継続的な購入による新鮮な蔵書づくりや、特集コーナーによる本の魅力の積極的な発信、また各種データベースの整備等により図書館機能を充実させることはもとより、ボランティアとの協働による読書活動推進事業の充実など、生涯学習の拠点として更に多くの市民に活用いただけるよう、環境整備を進めて参ります。

(石狩文化の継承)

 石狩、厚田、浜益それぞれの特色ある文化や歴史は、市民が改めてふるさとへの愛着や誇りを見つめ直す機会を提供し、子どもたちのふるさと学習に活用できる貴重な地域の財産です。
 
新年度は、鮭とともに歩んだ石狩ならではの取組として、石狩と鮭、人々の営みと鮭との関わりをまとめた博物誌を刊行いたします。また、厚田区の道の駅を、厚田・浜益の地誌に関する学びと情報発信の拠点と位置づけ、平成30年度のオープンに照準を合わせて、史跡ハママシケ陣屋跡に解説看板を設置するほか、厚田・浜益の自然、景観、歴史的建築物の調査及び映像資料等を制作するとともに、厚田・浜益の歴史、文化などの講座を開催し、この地を訪れる方々の案内に活用できる教本の作成準備を進めて参ります。

おわりに 

 昨年、囲碁で人工知能が人間のトップ棋士を打ち負かしたとのニュースが世界を駆け巡りました。また、日本で働く約49パーセントの人々が就いている職業が、あと20年もたてば人工知能やロボットで代替可能になると予測するシンクタンクもあります。しかし、人工知能がいかに進化しようとも、人間ならではの感性を豊かに働かせながら、どのように社会や人生をより良いものにしていくのかという「目的」を自ら考え出すことはできません。こうした時代だからこそ、社会や経済の変化に主体的に関わりあう過程を通して自らの可能性を切り拓き、より良い社会と幸福な人生を創り上げる意欲を持つことができる「ひとづくり」が求められていると考えます。
 教育に期待される役割を、一つひとつしっかりと果たして行くことができるよう、市長部局とも一層密に連携しながら、教育に関係するすべての方々と力を合わせて各種の施策に取り組んで参りたいと存じます。

 市民並びに市議会議員の皆さんの一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成29年度の教育行政執行方針といたします。