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平成30年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月23日更新

 

平成30年度教育行政執行方針

 

 平成30年度 教育行政執行方針
 平成30年2月23日(金曜日)
 平成30年第1回石狩市議会定例会

 平成30年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに 

 目下、国においては、新年度からスタートする第3期教育振興基本計画の策定に向けた議論が大詰めを迎えております。その課題意識は、人類が経験したことのないわが国の人口減少と超高齢化、グローバル化の進展、急速な情報化や技術革新などの社会の大転換を乗り越え、誰もが自らの可能性を最大化すること、そして誰もがそれぞれの志を立て頑張ることができるチャンスを最大化すること、この二つの最大化を実現する方策を確立することにあります。
 新年度から移行措置が始まる小学校の新学習指導要領も同様の課題意識をバックボーンに、子どもたちが未来社会を切り拓くための資質・能力とは何かということを社会と共有・連携しつつ、その資質・能力を一層確実に育成することを主眼としております。
 本市においても、国レベルの教育の方向性と軌(き)を一(いつ)にした取組を展開するとともに、石狩をふるさととして誇りにし、石狩の地で暮らすことを喜びとするような市民意識を育むという、石狩ならではの課題にも挑んで参ります。

以上のような基本姿勢のもとで平成30年度に取り組む主要な施策について、教育プラン基本構想で定める3つの柱の項目ごとに申し述べます。

第1の柱 自ら学ぶ意欲を育てる教育

(確かな学力を育む教育)   

 新学習指導要領では、社会で生きる力を育むため、子どもたちがどのように学ぶかという学びの質を重視した授業改善が求められています。未来を拓くために必要な資質・能力を、子どもたちに身に付けさせ、個々の可能性を伸ばしていくためには、教員の指導力の向上はもとより、家庭や地域社会と連携し、学校全体の教育力を総合的に引き上げていかなければなりません。
 そのために必要なことは、まず、確かな学力の向上です。平成29年度「全国学力・学習状況調査」の教科に関する結果では、小学校、中学校ともに全国平均には届かないものの、各教科の個別の領域や生活・学習習慣に関する結果では改善傾向が見られます。このことから、各学校では引き続き「学校改善プラン」を策定し、指導をさらに改善充実するとともに、社会に開かれた教育課程の編成により学校・家庭・地域等が連携した取組を推進します。
 また、花川北地区では「学校力向上に関する総合実践事業」に引き続き取り組むとともにその成果の普及に努め、花川南地区においても質を一層高める「授業改善等支援事業」を進めます。
 さらに、エキスパート・サポーターや学力向上サポーター等も引き続き活用し、基礎学力の定着と学習指導の充実を図ります。
 そして、外国語教育の充実です。小学校低学年からの外国語授業は既に行っていますが、2年後の小学校外国語の教科化に備え、外国語指導助手(ALT)の一層の活用や英語の免許を持つ教員による巡回指導を実施し、小学校教員の指導力の向上を図ります。
 次に、新指導要領に新たに盛り込まれた小学校におけるプログラミング教育についてです。市内に拠点を持つデータセンター事業者の協力を得て平成29年度から行っている出前授業をさらに一歩進んだ内容にするとともに、教員の指導力を育成する研修も実施します。
 またこれまで、子どもたち自身が、自然災害から命と地域を守るために必要な知識と判断力を養うことをねらいとし、北海道開発局と協力して、本市を題材とした防災教育の教材を作成してきたところですが、2年後の新指導要領の完全実施を前に、この教材を使った授業を試行するほか、北海道と連携し、市内の3校において「一日防災学校」を実施します。
 これらのほか、新指導要領に基づく確かな学力を育む教育の推進に必要となる授業時間を確保するため、土曜授業を実施します。
 さらに、退職教員の協力による中学校への学習支援を拡充するほか、これまでの幼保小中連携教育で培った、発達段階に応じた教育を推進する取組も一層充実させます。

(子どもの総合支援) 

 すべての子どもたちが等しく学ぶことができる環境の整備については、「スクールソーシャルワーカー」を増員し、担当校区を決めて定期的に学校を訪問します。これにより、情報の共有をさらに進め、子どもや家庭が抱えるいじめ、不登校、その他の問題を早期に把握してその解消に努めるほか、市教委に配置する臨床心理士の知見を活用し、市福祉部局とも連携しながら、学校と一体となって取り組む体制を構築します。

(一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育) 

 学習や生活面での支援が必要な子どもたちに対しては、早期から一人ひとりのニーズに応じた途切れのない支援を行うため、関係機関と連携しながら、就学前からの教育相談を実施します。入学後は、将来の自立と社会参加に向け、個別の教育支援計画を充実させ、特別支援教育支援員を適切に配置して、きめ細やかな支援を行います。また、教職員などの研修会の実施や地域理解を深めるための特別支援教育サポーターの養成など、様々な場面において子どもたちへの支援の輪が広がるよう努めます。

(魅力ある学校づくり)

 学校における「働き方改革」には、学校給食費の公会計化や校務支援システム導入など、先行して取り組んできましたが、新年度は、学校閉庁日の設定やQ-U検査のコンピューター診断を実施するなど、教職員の負担軽減を一層進め、限られた時間の中でも子どもたちに向き合う時間を確保できるよう取り組みます。
 現在、統合に向け準備を進めている石狩・八幡地区の小学校と厚田地区の義務教育学校については、統合校の教育課程やカリキュラムのあり方、校名や校章・校歌など、地域の方々のご意見も踏まえながら鋭意検討を深め、コミュニティ・スクールやふるさと教育など、地域の特色を活かした新しい学校を作っていきます。
 特に、厚田地区については、現厚田中校舎を解体し、新校舎の建設に着工するとともに、新年度から配置教員が減ることによる教育環境への影響を心配する地域の声を尊重し、「望来小学校」の「厚田小学校」への統合を先行するよう取り進めます。

(安心・安全でより良い教育環境の整備)  

 小学校入学に際しての保護者の負担軽減を図るため、就学援助の入学準備金の支給前倒しを実施します。
 石狩地区の小中学校を対象に、アレルギー対応給食の提供を開始します。
 厚田地区でスクールバスを1台更新するほか、厚田小学校プールの供用を開始します。

第2の柱 思いやりと豊かな心・健やかな体を育む教育

(豊かな人間性を育む教育)   

 子どもたちの豊かな心を育むために、子どもたちが「人の役に立てる・必要とされている」と感じられるような取組を通して自尊感情の醸成を図ります。また、道徳の時間を基軸とした「考え、議論する道徳科」への転換を図り、家庭や地域との連携を強化するため、保護者等へ道徳授業を公開します。心の教育の充実を図り、子どもたちの規範意識を向上させることで、いじめの未然防止に努めます。
 また、「いじめ問題対策連絡協議会」及び「いじめ問題調査委員会」の二つの組織を設け、新たないじめ防止基本方針に基づく取組を展開します。
 子どもの読書活動を推進するため、ゼロ歳児と保護者を対象とした「ブックスタート事業」、すべての小学校の図書館への学校司書の配置・派遣や学校図書館図書費の増額を継続します。加えて新年度は中学校を担当する学校司書を新たに配置し、巡回により中学校図書館の整備を進めます。
 また、「あい風コンサート」や「情操教育プログラム」を継続し、芸術文化に直接触れる感動を体験する機会を通じて、子どもたちの「豊かな心」を醸成します。

(心身の健やかな成長を促す教育)   

 家庭やPTAと連携しながら引き続き「生活リズムチェックシート」や「生活習慣改善チラシ いしかりふれあいDay」の活用促進、「早寝早起き朝ごはん」運動などに取り組み、望ましい生活習慣の定着を図ります。
 体力向上のためには、体育の授業や行事はもとより、新体力テストの全学年実施や各学校独自の「1校1プラン」を実施するほか、市内のスポーツクラブとの協働で、小学校で放課後の子どもたちに多様な運動メニューの実技指導や食育指導を行う「放課後すこやかスポーツ教室」を継続します。
 また、本年7月に市内で開催される「第46回北海道中学校ソフトボール大会」の運営を支援し、市のスポーツであるソフトボールの普及に繋げていきます。

(地域全体で子どもを守り育てる体制づくり) 

 昨年春の交通事故多発の教訓を踏まえ、新1年生を迎える年度当初からの交通指導を徹底するほか、子どもたちが危険を予測し、自らの身を守るための交通安全教育の推進に努め、地域の方々の協力も得ながら、交通事故の防止に継続して取り組みます。

第3の柱 地域で学び・育ち・活きる教育

(生涯学習の推進)

 今年、10周年を迎える「いしかり市民カレッジ」をはじめ、高齢者大学「石狩市シニアプラザはまなす学園」などには、多くの市民が集い、生涯にわたって多様な学びを実践しています。「いしかり市民カレッジ開校10周年記念事業」への支援をはじめ、社会教育支援スタッフの確保と育成を継続しながら、市民の「学び」を一層支援するとともに、情報発信を図り、市民と市がともに学びをつくる取組を推進します。

(図書館サービスの充実)

 学びを深め、また集い交流する場として、市民図書館には日々多くの方が来館しています。利用実態や市民のニーズを把握し、今後の図書館づくりに活かすために昨年実施した市民アンケートの分析を進めながら、期待に応える蔵書の構築や環境整備等、生涯学習の拠点として更なる利用の促進に向け、取組を展開します。

(石狩文化の継承) 

 北海道150年の節目に、石狩の俳句文化や歴史を現代に蘇らせ、俳句の楽しさや素晴らしさを後世まで伝えるため、当時の石狩尚古社の姿を学ぶ特別講演や石狩尚古社資料館と連携した札幌市での特別展示を開催します。子どもを対象として、 俳句教室や吟行、俳句相撲などのイベントを開催するとともに、小中学校の授業でも活用できる「俳句ガイド」を発行します。
 また、道の駅オープンに連動して厚田区・浜益区に焦点を絞り、その歴史・文化・自然等の魅力を学ぶ講座を開催してガイドボランティアの育成を図るとともに、北前船に関連した文化財や浜益ユーカラの調査、映像資料等の制作、史跡ハママシケ陣屋跡への解説看板設置等を行います。
 このほか、歴史的価値の高い「石狩小学校円形校舎」の跡利用につきましては、検討委員会を立ち上げて検討を開始します。

おわりに 

 「子どもは真実を映し出す鏡である。彼らには驕(おご)りも、敵意も、偽善(ぎぜん)もない。もし思いやりに欠け、嘘つきで乱暴な子どもがいたなら、罪はその子にあるのではなく、両親や教師、そして社会にあるのだ。」
 これは、インド独立の指導者マハトマ・ガンジー氏の言葉ですが、子どもは、大人の「言っていること」ではなく「やっていること」を真似するわけですから、すべての社会、大人がそのことをしっかり認識しながら、子どもの成長にきちんと責任を負うことが必要となります。
 今年は「明治150年」とも言われています。幕末から明治にかけて偉人を多数輩出した薩摩藩は、「子どもは国の宝」という考えを大切にし、近代国家に向けた学びと鍛錬を奨励したということであります。150年後の私達も、教育が持つ力を活かしてこの「宝」をしっかり磨き上げ、これからの時代を担い、さらに道しるべとなる人材も育んで行かなければなりません。
 「まちづくりは人づくり」を基底に、市長部局とも一層密に連携しながら、教育に関係するすべての方々と力を合わせて各種の施策に取り組んで参りたいと存じます。

 市民並びに市議会議員の皆さんの一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、平成30年度の教育行政執行方針といたします。