令和7年度教育行政執行方針

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ページID 1005789  更新日 2025年3月14日

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令和7年度:教育行政執行方針

令和7年2月19日(水曜日)

令和7年第1回石狩市議会定例会

令和7年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに

中央教育審議会においては、5年後からと言われる次の学習指導要領に向けた議論が始まりました。社会経済の不確実性の高まりや生成AIなどデジタル技術の急激な発展など激動する社会の状況と、児童生徒の学びへの向き合い方や現行指導要領の浸透が道半ばであるなどの教育課題等を踏まえ、これから新たな時代にふさわしい教育の在り方が幅広く検討されていくことになります。

「人づくりは国づくり」との言葉もありますが、人口減少が進む我が国において、一人ひとりが豊かな人生を送り、持続可能な社会を創っていくためには、教育は欠かせない基盤です。本市においても、複雑化・多様化する教育ニーズも踏まえつつ、「主体性」「挑戦」「成長」「思いやり」「ふれあい」「協働」「自立」などを基本理念に据える新たな教育プランのもと、各種の施策に取り組んでまいります。

以下、令和7年度の主要な施策について、新教育プランで掲げる基本方針に即して、順次申し上げます。

基本方針1 未来を切り拓く力の育成

確かな学力の育成は、本市学校教育の大きな課題であるとともに、こどもたちが持続可能な社会の創り手として成長していくための大切な要素です。学校においては、児童生徒が主体となる授業構築に向けた授業改革の取組を推進するほか、AIドリルや協働学習ツールなどICTの有効活用と対話による価値交換により、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を図ります。

「全国学力・学習状況調査」では、ICT機器を活用する効果を実感している児童生徒ほど、挑戦心・自己有用感・幸福感などが高いと分析されています。GIGAスクール構想は、更なる効果的な利活用の促進に向け、次のフェーズであるいわゆる「NEXT GIGA(ネクストギガ)」に移ります。令和3年度に導入した1人1台端末の更新や高速で安定した通信が可能となるようネットワーク基盤の強化を進めるほか、学校へのICT支援体制を増強するなど、ICT教育の一層の向上に向けて着実に施策を推進します。

グローバル化に対応するとともに地域の課題解決に主体的に参画する態度を育成するため、外国語教育や探究学習などの充実を図るほか、社会の中での役割を果たしながら自分らしい生き方を追求する力を育むため、職場体験活動や社会人講話などキャリア教育の充実にも取り組みます。

小中学校での手話出前講座の実施や、脱炭素社会の実現に向けた取組の学習など、石狩市の先進的取組や豊かな地域資源を活用した特色ある教育を推進します。

基本方針2 学校・家庭・地域の連携・協働による地域教育力の向上

家族形態の変化、ライフスタイルの多様化や、少子高齢化による地域社会の担い手不足などを背景として、学校・家庭・地域が連携・協働してこどもたちを育むことが求められています。

「全国学力・学習状況調査」によると、全国と比べ、本市の児童生徒の朝食摂取率は低く、スマートフォンやゲームによる映像の視聴時間は長い傾向が続いています。望ましい生活習慣について考える契機を提供するため、「家庭教育チャンネル」での家庭教育講座やいしかりふれあいDAY(家庭教育支援用リーフレット)により啓発を行うほか、スマートフォン依存改善のプログラムを開始するなど、家庭教育の支援に取り組みます。

また、学校以外でも学びの機会を創出するため、地域学校協働活動において放課後学習支援等を行うほか、「あい風寺子屋教室」では、児童を対象とした体験活動等を行います。

市内全校が導入して5年目を迎えるコミュニティ・スクールに対しては、先進事例・優良事例の情報提供を行うほか、自由度が高く創意工夫を活かせる交付金の活用を促すなど、学校運営協議会における熟議の促進と地域学校協働活動の一層の充実に向けて支援してまいります。

基本方針3 学びを繋げる学校づくり

学習活動の基盤となる学校の施設を整備し、安全・安心な教育環境を作り出すことが教育活動に不可欠です。小学校の普通教室等への冷房設備を速やかに整備するとともに、中学校への冷房設備の整備に向けた実施設計を行うほか、紅南小学校の長寿命化を図るための実施設計を行うなど、計画的に学校施設・設備の整備に取り組みます。

令和8年度に開校予定の浜益学園については、ハード面の整備を着実に進める一方、ソフト面での検討を加速させ、学校が地域と一体となって経営方針や教育課程の編成に取り組めるよう支援していきます。

幼児教育と学校教育を円滑に接続し、生涯にわたる人格形成の基礎や学びの基盤を形成するため、「スタートカリキュラム」に引き続き取り組みます。

学校では、教職員が児童生徒と十分に向き合える時間を確保できるよう、学校経営方針、重点目標の策定に引き続き取り組むほか、「個」から「組織」での対応へと進化させる学校組織マネジメントの充実を図ります。

北海道の校務支援システムのゼロトラスト化に伴い、教職員の校務用端末と指導用端末を統合し、職場外からも校務系及び学習系の情報へのアクセスを可能とするなど、セキュリティを強化しながら教職員の業務を効率化する校務DXを推進します。

また、学校が保有する情報資産の漏洩を防ぐため、情報セキュリティポリシーを適正に運用し、教職員研修の充実を図り、情報セキュリティに関する事故・事件の発生を未然に防ぐための体制強化を進めます。

部活動の地域移行・地域連携は、引き続き教職員の負担軽減を図るため、部活動指導員を拡充しつつ、生徒が継続してスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保できるよう、拠点校方式などの導入可能性などを含め、本市が目指す地域移行のあり方を模索して参ります。

基本方針4 豊かな心と体の育成

多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会の構成員が幸せや豊かさを感じられるようになる主観的ウェルビーイングの向上を、教育を通じて図っていくことが求められます。学校でこどもの権利について学ぶ授業を実施し、また、こどもの権利に関する教職員研修を実施するほか、校則の見直しに児童生徒が主体的に関わったり、生徒会・児童会活動の充実を図るなど、児童生徒が自発的・主体的に成長発達する過程を支えることができるような指導に取り組みます。

読書活動に関しては、新年度にスタートする次期こどもの読書活動推進計画を踏まえ、ブックスタートやおはなし会、調べる学習コンクールなど発達段階に応じて読書習慣を育む取組や、本にまつわる様々な体験の機会を増やし、ものの見方・感じ方・考え方を広げる取組を進めます。

また、学校図書館の利用促進に向け、1人1台端末を活用して蔵書の検索、感想の共有、読書記録などができる「タブレット版図書検索システム」を導入するとともに、調べ学習に活用できる電子書籍を全校に導入するほか、学校司書がICT機器を活用し、教職員や児童との学校図書館に関する旬な情報の共有・発信を行うなど、学校図書館の「学習・情報センター」機能の強化を図ります。

こどもたちの豊かな心を育むためには、健康な体が重要な要素となります。関係機関と連携して、メンタルヘルスや生活リズムの改善等について学ぶ健康教育の充実に努めるほか、体力・運動能力の向上を目指し各校において定める運動計画「1校1プラン」の取組や「放課後すこやかスポーツ教室」を継続して実施します。また、全国・全道よりも高い水準で推移している本市小学生の虫歯罹患率改善に向け、小学校において希望者へのフッ化物洗口を実施します。

健康な心と体には、適切な食事が不可欠です。食に関する知識を深め、食が健康・成長に与える影響などの正しい理解を図るため、「いしかりデー」の実施や、家庭教育にも資するよう大人向けの食育講座を実施するなど、食育に取り組みます。

新年度からは石狩市学校給食センターが厚田区・浜益区へも学校給食を提供することも踏まえ、引き続き安定した学校給食の提供に努めるとともに、国の物価高騰対策に係る交付金を活用して、本来なら値上げが避けられない給食費を据え置きつつ、安全・安心な学校給食を提供していきます。

基本方針5 学ぶ機会の保障

こどもが抱える困難が多様化・複雑化する中で、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の重要性が増しています。

学校において、特別な教育的支援が必要な児童生徒一人ひとりの実態に応じた切れ目のない一貫した支援に努めるとともに、医療的ケアが必要な児童も安心して学校生活を送ることができるよう、学校看護師や教育支援員の配置など医療的ケア児の受け入れ体制を整備します。

また、通常学級で教科等を学習しながら、障がいによる学習や生活の困難を改善・克服するための特別な指導を受けることができる「通級指導教室」を、新たに小学校3校に設置します。

特別支援教育においては、教職員の専門性の向上が求められます。児童生徒の多様な教育ニーズに対応できるよう、引き続き、教職員研修の充実や資質向上のための取組を進めていきます。

本市の不登校児童生徒は、10年連続で増加しております。学校復帰などに向けたステップとして、教育支援センター「ふらっとくらぶ」を運営するほか、学校内の別室で教育・指導が受けられる校内教育支援センターを、新たに小学校3校に設置します。

いじめの未然防止や早期発見、早期対応を徹底するため、全児童生徒を対象に、学級生活での満足感や意欲などを測る心理アンケート「Q-U」やいじめ通報ホットラインなどによる相談を引き続き実施するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、学校の組織的な対応を支援します。

基本方針6 学び合いを通じ、持続可能な地域社会づくり

生涯を通して学ぶことは、生活全体を豊かにし、充実感を得たり、社会的つながりやネットワークを広げることにつながります。新たな知識やスキルを身に付けるリカレント教育として、誰もがその恩恵を実感でき、誰一人取り残されないようにするためのデジタルリテラシー講座など公民館講座の充実を図るとともに、「いしかり市民カレッジ」との協働により生涯にわたる多様な学習機会を市民に提供していきます。

また、公民館やふれあい研修センター、市民図書館八幡分館などの社会教育施設への冷房設備の整備を進めていきます。

市民が芸術・文化に接する機会の充実に関しては、市役所ロビーや市民図書館エントランスホールを利用してコンサートを実施するほか、児童生徒の豊かな感受性や情操を育むことを目指し、情操教育プログラム「おしゃべランド」「The Music」を実施します。

また、設立から50年を経過し、これからも本市の芸術・文化活動の充実を通じたまちづくりに取り組む「石狩市文化協会」への支援を引き続き行います。

北海道立図書館が所蔵する電子書籍やオーディオブックを市民が利用できるよう、市民図書館で道立図書館の利用登録を受け付けるサービスを開始します。

本年は、市民図書館が開館から25周年、沖縄県恩納村文化情報センターと友好図書館協定を締結して10周年という節目の年でもあります。関連イベントの開催などにより、市民に一層図書館に親しみを持っていただき、本やさまざまな情報に触れる契機となるよう取り組みます。

基本方針7 ふるさといしかりを学ぶ機会の充実

心豊かに暮らすことのできる地域社会を維持し、持続可能なまちづくりを進めていくため、いしかりの良さや魅力を知り、ふるさとへの誇りとふるさとを愛する心を育むことが大切です。

地域学校協働活動を通じて、児童生徒と地域の方々とのふれあいの機会を創出し、ふるさとに対する理解と愛着を育むほか、図書館を使った調べる学習コンクールでは、ふるさと石狩について興味関心を持ち、調べてみたくなるような仕掛けを検討していきます。

また、様々な世代が、いしかりがどのようなまちで、どのように発展してきたかを学ぶことができるよう、公民館、図書館、資料館等が連携して、それぞれの専門性を活かした学習機会を提供するほか、石狩油田をテーマに「石狩叢書」の第4巻を発刊します。

歴史的価値のある旧石狩小学校円形校舎の公開を行うとともに、文化財を将来にわたり適切に保存・管理するため、分散している資料を確認・整理し、集約化についての検討を進めます。

また、新たに市指定文化財を指定し、地域の歴史・文化を学ぶ機会を提供するための特別展や講演会などを開催するほか、引き続き次に指定する候補となる文化財の調査を続けます。

むすび

4月から「石狩市こどもの権利条例」が施行されます。この条例の下では、教育を通して「こどもまんなか」まちづくりを実現していくことが教育委員会の役割になります。未来社会の創り手に求められる資質能力を身につけながら、すべてのこどもたちが権利の主体として健やかに成長していけるよう、学習指導や生徒指導をアップデートするとともに、こどもたちと日々接する教職員を支え、こどもたちが過ごす学校の環境を向上させ、こどもたちが育つ地域社会の教育力、文化度やつながる力を高めていく-そうした使命をしっかりと果たすべく、市長部局とも緊密に連携し、全力で取り組んでまいります。

市民の皆さま並びに市議会議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和7年度の教育行政執行方針といたします。

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