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条例試案 はじめに

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


条例試案

はじめに -試案を作成した考え方について-
1 “市民参加”の考え方について

(1)「市民参加」とは「市民が参加すること」であるが、では市民が「何」に参加するのか?…今回の検討を開始するに当たり、市民参加制度研究班(研究班)は、まずこうした観点から、この条例で取り扱う「市民参加」の考え方について検討しました。その結果、市民参加の対象として考えられたのは、次の2つでした。

【1】行政参加:市の機関(ここでは「市」という。)が行う行政活動のプロセスに市民が参加すること

【2】地域づくり参加:より良い地域づくり(住民福祉の向上を目指す活動)に市民が参加すること。

(2)行政参加と地域づくり参加を比較すると、次のような違いがあると考えられました。

 

参加の性質、参加成立の条件

市の関与指向性関連施策
行政参加・参加は、市の活動の枠内で実現される(参加の広がりは比較的小さい)

・市による「参加の場」の設定が必要になるため、参加の成否は、「参加の場」の設定いかんやその方法により左右される

比較的強い住民自治(主権者による行政コントロール)行政手続の適正化
地域づくり参加・参加は、市の活動の枠内はもとより、その枠を超えても成立する(参加の広がりは比較的大きい)

・市による「参加の場」の設定は必ずしも必要でない。市民の参加意欲が参加の成否に大きな影響を与える

比較的弱いパートナーシップ(公共活動への市民進出)ボランティア・NPO活動の振興

市民参加の考え方の図

(3)上記の違いを踏まえた上で、今の石狩市において条例により定める「市民参加」としては、どちらがより適当かについて検討しました。

・最終的に目指すべき市民参加は?→広がりが大きい地域づくり参加であろう。

・石狩市民がより強く関心を持っているのは?→現時点では行政参加により強い関心を持っているのではないか。

・条例により定めることによる効果がより大きいのは?→市の関与が比較的強い行政参加である。

(4)以上から、研究班としては「この条例で取り扱う市民参加とは行政参加であるということを基本としつつ、最終的な到達点としての地域づくり参加の実現も視野に入れる」 ことを方針として試案を作成しました。

2 なぜ今“市民参加制度”なのか

「行政参加」としての市民参加制度が、なぜ今必要とされるのでしょうか?その答えは、一般的に地方分権の進展、市民意識の多様化などに求められるでしょうが、石狩市においてはさらに地域社会の成熟化という要素が挙げられると、研究班では考えます。

(1)地方分権の進展

地方分権の進展により、国と自治体との関係が「主従」から「対等」へと変わり、自治体に対する国の関与が減らされました。これは自治体の権限が拡大すると同時に、自治体の活動に対する「国による監督機能」が弱められたということも意味します。では国に代わって誰が自治体の活動をコントロールするのか?それは主権者である市民以外にはあり得ません。市民が自治体活動をコントロールする制度としては、すでに選挙や直接請求、住民訴訟などがありますが、これらを補完し、市民がさらに的確に自治体の活動をコントロールするための仕組みが市民参加制度であるということができます。ただし、市民のコントロールに服するということは自治体の機関が市民にただ操られていればよいということではありません。自治体の機関には、地域の発展という目的に向けて、責任をもって市民から信託を受けた権限を行使するとともに、その権限行使の内容について市民の理解を得る責務があることは言うまでもありません。

(2)市民意識の多様化

市民意識の多様化ということが言われて久しいところですが、市民意識の多様化は行政活動に対する多種多様な市民ニーズを生むことにもつながります。例えば市街地での道路の新設に対して野生の小動物の生活圏を分断しないような配慮が求められるなど、これまでであれば全く問題にならなかったようなことについて、さまざまな立場からの意見が寄せられることが多くなりました。こうした状況に対応するためには、市の情報収集のアンテナをさらに高くしなければなりません。市民参加制度は、こうした面からも必要なものであるといえます。

(3)地域社会の成熟化

石狩市の65歳以上人口の比率は、今後5年間で大きく上昇し、その傾向はさらに続くことが予想されます。これは昭和50年代の飛躍的な人口増加を支えた市民層がいっせいにシルバーエイジにさしかかることによるものです。これを単純に表現するなら「地域社会の急速な高齢化」ということになりますが、もう少し違う角度から見ると、これまで社会の第一線で勤務や子育てなどに活躍してきた(でも身の回りのことに関心を向けるには忙し過ぎた)市民が、そこで培った知識と経験を携えて地域に戻ってくることであるともいえます。またこれとは別に、石狩市でもNPO活動が盛んになりつつありますが、これは市民が社会に関心を持ち、自ら主体的に活動しようという意識が表面化してきたことを示しています。こうした市民が地域に関心を向け、行政活動に対して発言をしようとしたときに、それを真摯に受けとめ、行政活動に生かすシステムを用意する必要があります。それが市民参加制度なのです。

3 市民参加推進条例と“パートナーシップ”あるいは“協働”との関係について

(1)次に研究班は、一般に「市民参加」と関連した意味を持つものと理解されている「パートナーシップ」や「協働」と市民参加推進条例との関係を明らかにしておく必要があると考えました。

(2)研究班は、他の文献等も参考として、市民と市との「パートナーシップ」とは、市民活動が、市の行政活動と共通の目的(より良い地域づくり)のもとに、相互理解に立ち、行政活動と対等の関係で、自主的・自立的に進められる状態、又はそうした状態にある関係を指すものと考えました。また、「協働」とは市民と市とのパートナーシップが成立している状況のもとで、市民活動と行政活動とが、相互に影響を及ぼし合いながら進められることを指すものと考えました。このように整理すると、1で挙げた「地域づくり参加」とは、市とのパートナーシップに基づいて行われる市民活動あるいは市の関与を全く受けずに行われる公益実現を目指す市民の自主的な活動に、市民が加わることに他ならないということが分かります。

(3)ところで、なぜ市民の活動と行政活動とのパートナーシップが重要視されるのでしょうか。地方分権時代の自治体の最終目的は、地域の創意と工夫で豊かな地域社会を作ることですが、市民ニーズの多様化が進むとともにスリムで効率的な行政運営が求められる今の時代に、行政活動だけで「豊かな地域社会」を実現することは不可能だということが明らかになってきました。つまりこれからは、「豊かな地域社会を石狩市に築く」という目標を持って、ときには市と協力し、ときには市を厳しく批判し、ときには市の関与をまったく受けずに行動する、というような市民の活動が必要となってくるのです。NPO法が成立し、NPO活動促進のための条件整備が進められているのは、こうした認識が一般化してきたことと深い関係があります。このような市民活動と行政活動との関係を表す言葉が「パートナーシップ」であると、研究班は整理しました。

(4)パートナーシップ成立のためには、さまざまな要素が満たされることが必要と考えられます。例えば、市民と市との信頼関係の構築、市民と市との情報の共有、市民活動の活発化などがそうですが、市民が主権者として市の活動に関与することもそのひとつであると考えられます。

(5)以上を前提として、研究班としては、主に「市民が主権者として市の活動に関与すること」について定める市民参加推進条例は、石狩市におけるパートナーシップ成立を目指す施策のファーストステップと位置付けました。この考え方を示したのが、下の図です。
市民参加推進条例と“パートナーシップ”あるいは“協働”との関係図

 

石狩市市民参加推進条例試案

この試案は、市役所の職員7人から成るプロジェクトチーム「市民参加制度研究班」がまとめたものです。以下には、試案の本文とその考え方、および研究班内の少数意見を掲載しています。

石狩市市民参加推進条例試案

考え方

少数意見

石狩市

市民参加推進条例試案

前文

  • 石狩市におけるまちづくりの主体は石狩市民であり、市の機関が行うあらゆる活動は、市民の意思に立脚することなしには正統性を持ち得ない。これは、地方自治、さらには民主主義の根本理念である。
  • 地方分権の進展により、市民に身近な広い範囲にわたる行政を自主的かつ総合的に推進するという市の権能が明らかになった今、われわれ石狩市民は、この根本理念をもういちど確認し、新たな世紀にふさわしい石狩市づくりへのみちすじを示す必要があると考える。
  • これからの石狩市づくりは、まちづくりの主体としての市民の地位を絶えず確認しながら進められなければならない。すなわち、明確なルールに基づいて、より多くの機会に、市民相互あるいは市民と市の機関とが率直な議論を重ね、これにより形成された市民の健全な意思に基づいて進められるものでなければならない。
  • さらにわれわれは、こうした実践を通して、市民と市の機関とが互いに切磋琢磨する協働関係で結ばれた地域社会を築き上げることにより、石狩市をさらに個性豊かで活力に満ちたまちとして発展させていくことを構想する。
  • このような考え方と展望のもとに、この条例を制定する。
  • 地方分権一括法による地方自治法の改正により、基礎自治体である市町村が地域における行政の第一義的な実施主体であることが明確にされた。また、分権一括法により国や都道府県の関与が大幅に縮減されるいっぽうで市町村の事務処理権限が拡大されたが、こうした動きは、今後も進むと思われる(分権一括法附則250条)。

    このような時代の市町村行政を旧来の方法で進めることは、地方分権を「官官分権」で終わらせてしまうことにもなりかねない。地方分権の果実を市民が分かち合うためには、住民自治の基本に立ち帰り、市民一人ひとりが自治の主体であることを確認し、市民の意思をより良く反映した行政活動が行われなければならない。

    しかしこのことを現実に即して考えると、「市民の意思」とは決して個人個人のばらばらな考えの集合体ではない。「市民福祉の向上を図るためには何が最善か」という問題に対して、個人個人の相反する考え方がぶつかり合い、昇華して、一個の普遍的な「市民の意思」が生まれ、行政活動はそれを体現して行われる。従って、「市民の意思」を反映した行政活動を行うためには、市民同士あるいは市民と市の機関とが議論する場の設定が必要であり、場の設定方法や議論の進め方についてのルールが必要になる。

    また、近年、市民意識の多様化・成熟化、NPO活動の活発化、簡素な行政体制の実現への要請などから、地域住民福祉は行政だけが実現するのではなく、住民も主体的に一定の役割を担う必要があるとの認識が高まっている。この条例に基づく取組みを展開することにより、地域社会への市民の関心を高め、市民と市の機関との信頼を醸成するなどの効果が期待できるが、このことは、このようなパートナーシップ型地域社会を実現するための基礎的条件が成就することをも意味する。つまり、この条例は、パートナーシップ型地域社会を石狩市に構築することも視野に入れて制定するものである。

  • タイトルについて
  • 条例の内容をより的確に表現するためには「行政活動への市民参加を推進するための条例」としたらどうか。
  • より積極的な参加のイメージを出すために「行政活動への市民参画を推進するための条例」としたらどうか。

  • 前文の内容について
  • 「はじめに」で触れているような研究班の検討過程を直接的に表現し、【(1)パートナーシップ構築が必要→(2)だが直ちにはできない→(3)地道な取組みの第一歩として条例制定】という構成にしたらどうか。

  • 「市の機関」という表現について
  • 市の機関とは、市長や教育委員会などの執行機関と議決機関である議会の両方を指す。「協働関係」という概念は、協働する者同士は別物であるということを前提とすることは明らかである。こうして考えると、「市民」と「市民の代表である議会」との「協働」という表現はおかしいのではないか。
  • 1 総則的事項

    石狩市市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    1-1 目的

    趣  旨:石狩市における行政活動への市民参加についてその理念を明らかにするとともに、行政活動への市民参加のために市の執行機関が行う手続についての基本的な事項を定める。

    直接目的:行政活動に市民の意見を反映するとともに行政活動の透明性を高める。

    最終目的:市民と市が信頼関係に基づき、まちの在り方についてともに考え、行動する地域社会の実現を目指す。

    この条例では、(1)行政活動への市民参加の理念と(2)市民参加の手続、の二つの事項について定めることを明らかにしている。ここで「行政活動」を市民参加の対象としたのは、(1)執行機関による企画立案→(2)議会による審議承認→(3)執行機関による執行→(4)議会による確認、の一連の市の活動サイクルのうち、(1)と(3)の部分はボリュームが大きい上、その内容が複雑多岐にわたることから、市民の意見を反映するシステムを導入することが最も求められると判断したこと、(1)と(3)への市民参加が実現すれば、議会によるチェックも含め、市の活動のすべての局面で市民意見の反映を図ることができる上、行政活動に市民意見が反映されているかどうかを、市民代表から成る議会によりチェックできるためである。

    「市」とは議会と執行機関が代表する「法人としての市」を指す。市民の代表により構成される議会に加え、執行機関が市民意見を反映した活動をすれば、市民と市との信頼が生まれ、ともにより良い地域づくりを目指す活動をするようなパートナーシップ型地域社会の実現につながるという考え方を示したものである。

     
    1-2 定義

    (1)執行機関:

    地方自治法に規定する市の執行機関をいう。

    (2)行政活動:

    執行機関がその担任する事務を管理し、及び執行することをいう。

    (3)市民参加:

    市民が、市の行政活動(その者を名宛人とする処分及びその者を相手方とする契約を除く。)に自分の意思を反映させる目的で、執行機関に対して意見を表明することをいう。

    (4)市民参加手続:

    市民参加の機会を設けるために執行機関が行う審議会等からの意見の聴取、パブリックコメント手続、公聴会の開催その他の手続をいう。

    (5)審議会等:

    執行機関の附属機関及び執行機関が設置する合議制の機関でこれに類するものをいう。

    (6)パブリックコメント手続:

    行政活動のうちの特定の事案について市民の意見を考慮して決定する目的で、必要な情報を公表した上で広く市民の意見を募集する手続をいう。

  • 地自法138ノ4;市の執行機関は市長、委員会(教育委員会、農業委員会、選挙管理委員会、固定資産評価審査委員会、公平委員会)、委員(監査委員)である。
  • 「行政活動」には、市の執行機関が行うすべての活動が含まれる。
  • 「意見を表明」と明記し、「声なき声」による市民参加はあり得ないという考え方を明確にした(「1-6市民の責務」を参照のこと)。なお「意見の表明」には、執行機関の求めに応じて表明した意見と、市民が自発的に表明した意見の両方が含まれる。
  • 市民参加の対象となる行政活動から「その者を名宛人とする処分」を除いたのは、処分の名宛人は、行政手続法(条例)や行政不服審査法ですでに権利主張の機会が保障されていることによる。
  • 同様に「その者を相手方とする契約」を除いたのは、この条例の理念や目的に照らし、市に対する営業活動等までを市民参加に含めることは適当でないと判断したことによる。
  • 「手続」という言葉を使うことにより、あらかじめ定められたルールにのっとって意見を聴くというイメージを表現している。
  • 「その他の手続」としては、原案作成前に行うパブリックコメント類似の意見募集、ワークショップ、説明会などが考えられる。
  • 「これに類するもの」とは、執行機関が外部の意見を聴くために置いている懇話会、懇談会などを指す。

    ここでは「市民」の定義は特に置いていないが、「1-1目的」から、市がその意見を聴いて活動する必要があることが制度上明確な者(=市内に住所を有する個人又は法人)が含まれることは明らかである。しかしそのことは、その他の者の意見を聴く必要がないということを意味するのではなく、例え市外に住んでいても、行政活動に利害関係を有する者が自らの立場を主張する意見や、利害関係がなくても市の行政活動をより良いものにしたいと願って発言する意見は、積極的に聴く必要があると思われる。どこまでの範囲の者に参加してもらうかについては、事案の性質や内容を勘案し、個別の市民参加手続の中で画定されるものである。

  •  
    1-3 基本理念

    (1)市民参加は、行政活動が多様な価値観を反映しながら市民福祉を総合的に増進するものとなるよう、まちづくりの主体である市民が執行機関に積極的に働きかけることを基本として推進されなければならないこと。

    (2)市民参加は、市民と執行機関との情報の共有に立脚して推進されなければならないこと。

    (3)市民参加は、自主的かつ自立的な市民の活動と行政活動とが、目的を共有し、対等の立場で、相互の理解のもとに展開されるような関係の構築に寄与するものとして推進されなければならないこと。

  • この条例では市民参加を市民による行政活動のプロセスへの参加ととらえていることを踏まえ、その全体的な理念を(1)で明らかにしている。
  • 市民参加は、市民が「まちづくりの主体」としての立場から、行政活動をコントロールすべく積極的な意見表明により執行機関に働きかけをすることが基本である。そしてこのコントロールに際しては二つの視点が必要になるということを、ここで明らかにしている。
  • ひとつめは、多様な価値観を反映することである。このことは、石狩市を市民の創意と工夫により発展させていくための必須条件といえる。
  • ふたつめは市民福祉の総合的な増進である。これは地方自治法上の自治体の責務である【地自法2(14)】。そしてこのことから、全体福祉の向上とは相容れない100%住民エゴのような主張は市民参加の理念とは異なることも明らかになる。
  • 市民と執行機関とが同質の情報を得ることなしに市民参加を進めても、執行機関にとっては「市民の勝手な要求」が増え、市民にとっては「意見がまったく反映されない」という結果に終わりかねない。パートナーシップの確立も見据えた市民参加を意義あるものにするためには、「情報の共有」という精神がまず必要とされることを(2)で明確にしたものである。
  • (3)は、前文で示した「協働関係」の構築に向けての展望をさらに具体的に表現したものである。
  •  
    1-4 制度運用上の解釈

    市民参加の推進は、行政活動を行うに当たり執行機関が有する義務を軽減することにつながると、これを解してはならないこと。

  • 執行機関が担任する事務は、(1)住民福祉の増進(2)最少の経費で最大の成果(3)組織運営の合理化(4)法令適合性など【地自法2】を基準として、執行機関の判断と責任において管理執行される【地自法138ノ2】。市民参加制度のもとでもこの原則は変わるものではなく、行政活動に市民参加を得ることが執行機関にとっての責任の軽減や回避の理由にはならないこと、逆に言えば、執行機関が市民参加の結果に盲従することは許されないということを明らかにする趣旨の規定である。
  •  
    1-5 執行機関の責務

    (1)市民参加の推進と発展のために必要な施策を講じること。

    (2)市民参加手続を、この条例の目的・理念に即して適正に運用すること。

  • 市民参加は、市民のアクションの上に成立するものだが、市民側が容易に市民参加できるようにする施策(情報提供など)を講じることは、執行機関の責務である。
  • 市民参加の手続は、執行機関のアクションの上に成立するものなので、これを条例の目的や理念に即して適切に運用することは、執行機関の責務である。
  •  
    1-6 市民の責務

    行政活動に関して意見があるときは、市民参加手続への参加その他の方法により、これを積極的に表明するよう努めること。

  • 市民参加を進めるためには、市民がその意見を積極的に表明することが必要である。行政を変えるのは市民の意見であるということを、市民みずからが認識する必要がある。
  • 「その他の方法」とは、苦情要望の申出、直接請求など。
  • 市民が意見を表明する対象について
  • 市民と市の協働関係は、執行機関はもちろん、議会と市民との良好な関係なしには成立しない。前文の考え方や目的を踏まえると、「行政活動」では範囲が狭い。ここは行政活動と議会活動の両方を指す「市政」としたほうが良いのではないか。
  • 1-7 制度の改善

    この条例は、行政活動への市民参加及びまちづくりについての市民の役割のあり方に関する市民の考えを適切に反映するように、随時必要な見直しを行う。

  • この条例は、市民参加を「市民による行政活動のプロセスへの参加」ととらえて内容を検討したが、今後は市民参加に対する市民ニーズは刻々と変わることに加え、市民自らが(場合によっては行政抜きで)まちづくりに主体的に関わるようになることも予想される。この規定は、そうした市民意識の変化を的確に反映し、条例を時代遅れの内容にしないという決意の表明である。
  • 見直しの期間について
  • 条例をより良いものに改良していく担保規定とするために、「随時」ではなく、「少なくても4年ごと」と、見直し時期を明記したほうが良い。
  • 2 市民参加推進のための施策等

    石狩市市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    2-1 市民参加推進のための施策

    執行機関は、市民参加を行おうとする市民に対する支援、市民参加についての市民意識の啓発その他市民参加を推進するために必要な施策を総合的に講じなければならない。

  • 市民参加を本当の意味で推進するためには、市民参加手続を条例の規定にしたがって運用するだけでは足りず、市民と市職員の双方が、市民参加の重要性を理解し、積極的にこれに取り組む必要がある。このためには、2-1から2-3までに定めている各般の施策を市が講じることが極めて重要になる。
  • 市民に対する支援等として考えられる施策としては、次のようなものが挙げられるが、これらはいずれも予算措置に基づく要綱等で定めることを想定している。

    (1)市民参加教育の実施(学校教育、社会教育)

    (2)コーディネーター、ファシリテーター養成講座の実施又は講座受講者への補助

    (3)市民グループによる自主研究(執行機関の原案に対する対案の検討含む)に対する情報提供などの支援

    (4)広報いしかり、石狩市ホームページ、市民参加用掲示板(3-1-(1)イ参照)などを、市民参加を目的とする市民間の情報交換に開放すること

  •  
    2-2 市民参加手続に関する研究等

    執行機関は、市民参加手続をより効果的に運用するために、調査研究、職員の研修その他の必要な措置を講じなければならない。

  • この条例は、市民参加手続については、その外形的な基準を定めるだけ(ここに条例の限界がある)であり、市民参加の手続を、いかに多くの市民の参加のもとで効果あるものとしていくかは、最終的にはその手続に携わる職員の手腕にかかってくる。このため、先進事例の研究や職員研修などにより、市民参加の手続の運用に関する市役所全体の熱意とスキルの向上が必要不可欠であるとの認識のもとに、この規定を設けたものである。
  •  
    2-3 市民意見の積極的な把握

    執行機関は、行政活動に対する市民の意見を把握するため、定期的な意識調査の実施その他の必要な措置を講じなければならない。

  • 市民参加は、市民側の積極的な意見表明を前提とするものであるが、市民参加手続が市民参加に関するすべての市民ニーズを満たすとは限らないし、市民の中にはさまざまな事情により市民参加手続の際に意見を寄せることができない者がいることも予想される。そのため、市民参加手続による以外にも、日常的な市民意見の把握の措置を講じることを執行機関に義務付けたものである。その方法としては、本文で例示した意識調査(住民アンケート)のほか、市長室開放、地区懇談会などの、主として公聴部門の活動が想定される。
  •  

    3 情報の公表及び意見の取扱い

    石狩市市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    3-1 市民参加手続に関する事項の公表

    (1)市民参加手続に関し、この条例の定めるところにより行う一切の事項の公表は、他の法令又は条例に定めがあるときはその方法によるほか、次に掲げる方法により行う。

    ア 市役所情報公開コーナー及び担当窓口に公表事項のすべての資料を備え付ける方法

    イ 市内主要施設に設置する掲示板に公表事項のすべて又はその概要を掲示する方法

    ウ 石狩市ホームページに公表事項のすべて又はその概要を掲載する方法

    (2)前項イ又はウにより公表事項の概要を掲示し又は掲載する場合は、そのすべての事項を知ることができる方法を、あわせて表示する。

    (3)市民参加手続に関する事項を公表するときは、同時に、広報いしかりへの掲載、報道機関への情報提供その他適当と認める方法で、公表内容の周知に努める。

    (4)市長は、(1)イの掲示板を設置したときは、その設置場所を告示する。

  • 情報の共有は市民参加の重要な基本条件なので、「公表」の方法について詳細に定める必要があると考え、この規定を設けた。この条例の中で「公表する」と定めている場合は、3-1に定める方法で公表しなければならないものである。
  • 「他の法令又は条例に定めがあるときはその方法によるほか」とは、例えば計画を策定するときに法律で原案の告示縦覧が義務付けられているときは、告示縦覧をし、さらにこの項に定める方法で原案を公表するということである。
  • この項に定める3つの公表方法は、必ずしなければならないものである。ただし、「情報公開コーナー」「ホームページ」などの固有名詞を明記することは条例では困難か?
  • 「市内主要施設」とは、コミセン、図書館、出張所などの公共施設のほか、銀行、スーパーなどの人が集まる民間施設も想定している。こうした場所に、新たに掲示板を設け、ここに掲示することにより、格段に広い範囲への周知が期待できる。
  • ホームページは今後リアルタイムで更新できるようになるため、必ず行う公表方法の中に含めることとした。
  • 掲示板やホームページには、スペースや情報内容の制約があるため、概略しか掲示掲載できない場合も予想されるため、その際は、どうすれば全体内容を知ることができるかについての表示を義務付けることとした。
  • 「その他適当と認める方法」としては、パンフレット類の配布、住民説明会の開催などが考えられる。なお、周知に当たっては、視覚に訴える以外の方法をとることも考慮する必要がある。
  • なお、公表資料の複写については、要望に応じて行うものとするが、その際の料金をすべて無料とすることは、情報公開請求に対する実費徴収の考え方と整合が図られなくなるため、難しいと考える。なるべく無料で配布するための資料(簡易なパンフ)をあらかじめ作成しておき、これについては無償で、それ以外のものは有償で配布するという考え方で整理したい。
  •  
    3-2 市民参加手続の予定及び実施状況の公表

    (1)市長は、毎年度少なくても1回、市民参加手続の実施予定をとりまとめ、これを公表しなければならない。

    (2)市長は、毎年度、市民参加手続の実施状況をとりまとめ、これを公表しなければならない。

  • 市民参加手続の予告をすることにより、市民が関心のあるテーマについて事前に検討することができるようにした。「毎年度少なくても1回」とは、基本的に時期を定めて(毎年5月など)公表するが、その後の事情により中止になったり追加されたりした事案については、随時に公表することをイメージしている。
  • 市民参加の手続の適正な運用を確保するため、実施状況を公表することとした。
  •  
    3-3 意見の取扱いに関する原則

    (1)執行機関は、市民参加手続を経て提出された意見については、これを総合的かつ多面的に検討しなければならない。

    (2)執行機関は、前項により検討した意見について、その内容、検討結果及び理由を公表しなければならない。ただし、公表することにより特定の個人又は団体に不当な不利益が及ぶことが明らかな場合など、公表することが適当でないと認められる場合は、この限りでない。

  • 市民参加手続は、基本的にその事案の担当課が行うことになるが、提出される意見は縦割りの事務分掌を超えるものも多くなることが予想される。こうした場合でも、担当課限りで安易に「募集したテーマの範囲を超えている」などと切り捨てるのではなく、オール市役所体制で検討する必要がある(そのためには所管課相互の意見を、より広い観点から調整をするためのセクションが必要になることも考えられる)。このことを、「総合的」という言葉で示した。
  • 市民参加手続は、執行機関があるアクションを起こす場合に取られるものなので、そこには既に一定の方向性が存在しており、これに合致しない意見は簡単に切り捨てがちである。しかし、市民参加は行政側が見落としがちな情報や価値観を行政の意思決定に反映するという効果もあることを考えると、行政側の既定方針に合致しない意見についても、その実現可能性について検討することが必要である。このことを「多面的」という言葉で示した。もっとも、既に市民参加手続を経て決定した事項について合理的な理由もなく蒸し返すことを認めるという趣旨ではない。
  • 提出された意見の誠実な検討を担保するとともに、意見提出者の参加努力に応えるためには、検討結果の公表が必要である。公表内容は、意見の内容(こういう意見があった)、検討結果(検討の結果、採用又は不採用とした)及びその理由(なぜならば…だから)の3点は最低限必要と考えられるので、その旨を義務付けた。
  • ただし書は、公表によりプライバシー、営業秘密、行政運営上の秘密が保たれなくなる場合を想定している。実際の判断は、公表する内容が、情報公開条例で定める不開示情報に該当するか否かで行うことになる。
  • なお、市民参加手続を経て提出された意見の検討結果等については、本項による公表とは別に、できる限り意見提出者本人にも直接通知するように努めることが望ましいことは当然である。
  •  
    (3)執行機関は、市民参加手続を経ずに提出された意見であっても、この条例の理念に合致すると認める意見については、(1)及び(2)に準じて取り扱うよう努めなければならない。

    (4)市長は、市民参加手続を経た行政活動について議会の議決を求めるときは、(2)により公表した事項を記載した書面を議会に提出しなければならない。

  • 市民参加手続を経ずに、市民から自発的に提出された意見であっても、誠実に検討する必要がある場合が多々考えられる。既に当市で行われている町内会が主体となっての空き地の草刈りのような取組みはパートナーシップ型地域社会を作る上で是非とも必要な市民側の動きであるが、例えばそのために市から不在地主に文書を送ってもらいたいというような意見を市民参加手続に乗せて検討することは難しいと思われる。このため、この条例の理念に合致すると判断されるような意見については、誠実検討と公表をするよう努めることとした。なお、ここで「努める」としたのは、様々なケースが想定されるため、一律に義務付けるのは適当でないと考えたことによる。また、意見を公表する際には、本人にあらかじめ断りをいれておくことがマナーである。
  • 市民参加を経た事案の最終決定権を議会が持っている場合は、執行機関段階での検討経過・検討結果の情報を議会にも提供し、議会が判断するための情報チャンネルをより多く確保するとともに、市民代表としての立場から執行機関の判断が市民意見を踏まえて妥当かどうかをチェックすることが、石狩市としてのより良い決定をする上で効果的だと思われる。
  • 市民参加手続を経ない意見の取扱いについて
  • 市民参加手続結果の議会への提出について
  • 次の理由により、この規定は不要である。(1)市民参加手続の結果は公表されるのだから、わざわざ議会に提出するまでもなく議員もその内容を知ることができる、(2)こうした資料を提出することは、独自の見識に基づき執行機関の考え方をチェックする役割を持つ議会に対するプレッシャーになる
  • ・次の理由により、この規定は不要である。(1)市民参加手続の枠外にある事項について規定する必要はない、(2)こうした意見は公聴活動の中で対応してきており、あえて条例で定める必要はない。

    4 市民参加手続

    市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    4-1 市民参加手続基準

    4-1-1 市民参加手続基準

    執行機関は、次に掲げる行政活動に関し、市民参加手続を実施するかどうか及び実施する場合にはいつ、どのような市民参加手続を実施するかについて明らかにした基準(市民参加手続基準)を設定しなければならない。

    ア 条例、規則その他の規程の制定改廃

    イ 市の計画の策定及び変更

    ウ 公の施設の新設改廃及び運営方針の決定

    エ 行政指導に関する基準の制定改廃

    オ 出資又は出捐を目的とする支出

    カ 国又は他の地方公共団体が行う活動に関し市の意見を求められた場合において、その求めに応じて執行機関が行う意見の表明

    キ 上記のほか、執行機関が特に市民参加手続を経ることを必要と認める行政活動

  • どういう行政活動について、いつ、どのような市民参加手続を設けるか、ということは、市民参加の重要なルールであり、条例で規定することが必要と考える。ただし、市民参加手続基準の内容を条例で直接規定することは、(1)行政活動の内容が多岐多様であることを考慮すると、一律に「義務付け」や「努力義務」を課すことは難しい(2)市民参加に対する市民ニーズは刻々と変化することが予想される(3)事業に対する予算執行面からのチェックという性格を持つ市民参加手続については、そのときどきの予算規模などを考慮して基準を設ける必要がある、などの観点から、条例では基準設定の原則についてだけ定め、基準の具体的内容は要綱等で定めるのが適当と判断した。なお、市民参加手続基準の具体的イメージは別紙(27頁)のとおり。

    ア 条例等は、行政活動についての基本ルールを定めるものであるので、計画と同様に市民参加の手続を経る必要があると考えられる。

    イ 「計画」は、長期にわたって行政活動の指針となるものである。「石狩市をどのようなまちとしていくか」は、住民共通の関心事であると同時に、計画を遂行していく際には市民の理解と協力(ときには強制)が不可欠な場面も多いことから、市民参加手続を経ることを義務付けるべきであると考えた。

    ウ 公の施設の設置等に当たっては、限られた財源の適正な執行のあり方や真に利用しやすい施設の内容など、市民参加を得て検討すべき事項が多いと思われる。

    エ 行政指導の中には、私権の行使方法に制約を加える内容のものも多いので、そうした制約の内容とそれにより確保される公益との適正な比較衡量を、市民の意見を反映して行う必要があると考えた。

    オ 第三セクターや公益法人の必要性に対する市民の関心が高まっていることを踏まえ、市が第三セクターや公益法人の設立に出資又は出捐という形で関与する際は、市民参加の手続を経ることが適当と考えた。

    カ 国や道が計画を策定する際などに、その計画により影響が生じる地元自治体の意見を反映する目的で市の意見を聴取する場合がある。これに対して、執行機関が市を代表して意見を述べる場合は、市民参加の手続を経た上で、石狩市民の考えを反映した意見を述べることが必要と考える。

    キ 条例制定の段階で予期できない事項に対応するために設けたものである。この条項は、臨時的突発的に市民参加の手続を経る際に適用されるものであり、そうした事項に対する市民参加の必要性がその後も継続することが明らかな場合は、条例中にその事項を追加するような運用を予定している。なお、近い将来は石狩市でも行政評価が導入されることが予想されるが、その導入のあかつきには本条例を改正し、行政評価についても市民参加の対象とすることを想定している。

  •  
    4-1-2 市民参加手続基準の原則

    (1)市民参加手続基準は、この条例の目的及び理念に合致し、かつ、市民参加に対する市民の要求に応え得るようなものとして設定され、及び適時適切に改定されなければならない。

    (2)市民参加手続基準で定める市民参加手続の実施時期は、その対象となる行政活動の種類に応じ、できる限り早い時期とするようにしなければならない。

  • 市民参加手続基準を設定する際の基本的な考え方を定めたものである。執行機関が市民参加手続基準を設定する際は、「行政活動への市民意見の反映」と、「行政活動の透明性の向上」という見地と、「刻々と変化する市民参加に対するニーズに応える」という見地の両面から見て妥当なものとする義務を課したものである。
  • 市民参加手続を行う際にもっとも考慮すべきことは、その時期である。市民の意見を十分に考慮し、行政活動に反映させるためには、できるだけ早期に市民参加手続を行うことが必要である。しかし対象となる事案の内容によっては、市民に提供できる情報の質や量が時間が経過するほど向上する場合があること、行政活動の効率化を図る上では執行機関がある程度の議論の道筋をつけてから意見を聴いたほうが効果的な場合があることも事実であるので、これらの事項も考慮すべきであると考える。
  •  
    4-1-3 市民参加手続基準の設定等の手続

    (1)執行機関は、市民参加手続基準を設定し、又は改定しようとするときは、市民参加協議会の意見を聴き、かつ、パブリックコメント手続を経なければならない。

    (2)執行機関は、市民参加手続基準を設定し、又は改定したときは、その内容を公表しなければならない。

  • 最初に市民参加手続基準を定める方法としては、(1)条例内容の検討と一緒に手続基準も定め、条例と同時に基準も設定する方法と(2)条例中のこの章の部分だけ施行を遅らせて、その間に市民参加協議会付議等の手続を行い、基準を設定する方法の2通りが考えられるが、条例の内容と基準の両方を一度に検討するのは時間的にかなり苦しく、内容の詰めが十分に行われなくなるおそれがあることを考慮し、(2)の方法をとることを前提として試案を作成した。
  •  
    4-2 審議会等

    4-2-1 構成員の選考等

    (1)執行機関は、審議会等の構成員の選任の区分に「公募」枠を設けるよう努めなければならない。この場合における公募及び選考の方法は、その都度執行機関が定める。

    (2)上記のほか、執行機関は、審議会等における審議が多様な意見を反映して行われるよう、委員の選考方法について配慮しなければならない。

    (3)執行機関は、毎年、各審議会等について、次の事項を公表しなければならない。

    ア 構成員の氏名、肩書及び選任の区分

    イ 構成員のうちに公募により選考した者が含まれないときは、その理由

  • 審議会等については、既に情報公開条例で、会議の公開と傍聴者に対する便宜の提供について定めている。しかし、審議会制度の運用の一貫性を確保する観点から、これらの事項を情報公開条例からこの条例に移すことを前提として試案を作成した。
  • 審議会等に対しては、行政側が都合の良い人選をすることによって、御用機関としているという批判があることを踏まえ、委員の一定数については公募努力をすることを義務付けた。既に個別の審議会条例で委員公募を定めている例があるが、この規定はすべての審議会等の委員選考に当たっての一般法となるので、個別条例等で特に定めがなくても、この試案により公募努力が義務付けられることになる。
  • 義務付けるのは「公募枠を設けるよう努めること」であり、「公募委員を加えること」ではない。これは、公募しても応募がなかったという場合があり得るほか、審議の中で情報公開条例の不開示情報が明らかになるケースや、審議会等の設置根拠となっている法律で委員の公募枠を認めていないケースがあるためである。
  • 審議会等の委員が固定化したり、委員の男女比が著しく異なることは、市民の知識、感覚を行政活動に反映させるというその目的に照らして適当ではない。このため、同一人の委員掛持ちや度を超すような再任はなるべく避けたり、男女比を考慮して委員を選任するなどの配慮をしたほうが望ましいが、条例で一律に線を引くことも困難なので、このことについて執行機関に配慮義務を課した。
  • 公募推進、再任重任回避を担保する方法として、委員氏名等を公表する措置を講じることとした。
  •  
    4-2-2 会議の公開等

    (1)執行機関は、正当な理由がある場合を除き、審議会等の会議を公開しなければならない。

    (2)執行機関は、前項の原則に基づいて、審議会等の議事について定める条例等の中で、会議を公開するかどうかについて明らかにする。

    (3)執行機関は、審議会等の会議を傍聴しようとする者の利便を図るよう努めなければならない。

  • 現行情報公開条例と同趣旨の規定をさらに具体化したもので、現行の運用とほぼ同様の内容である。「正当な理由がある場合」とは、情報公開条例で定める不開示情報を保護する上で公開が不適当と認められる場合や、傍聴席が騒然となり議事の進行が妨げられる場合を想定している。
  • 利便の提供の内容は、傍聴者向け案内板の設置や会議資料の傍聴者への配布などを想定している。
  •  
    4-2-3 諮問事案等の公表

    (1)執行機関は、審議会等にその意見の提出を求めたときは、原則としてその都度、その旨及び意見の提出を求めた事案の内容を、速やかに公表しなければならない。

    (2)執行機関は、審議会等の会議の予定を公表しなければならない。ただし、会議を公開しない場合又は緊急を要する場合は、この限りでない。

    (3)執行機関は、必要に応じて審議会等における検討の経過及び結果の概要を公表するよう努める。

  • 審議会等に対しては、しばしば密室の議論という批判があることを踏まえ、諮問等をしたときはその内容を公表することとした。これにより、関心のある市民が会議を傍聴等する機会を確保し、こうした批判に応えようとするものである。なお、「原則として」とは、介護認定審査会のように、定型的な問題を毎週諮問するような審議会等については、毎年1回程度まとめてその旨を公表すれば足りると考えられることによる。
  • 会議予定は、現在、本庁舎電光掲示板と新聞社への情報提供により公開しているが、これをさらに徹底するため、「公表」義務を課した。
  • 現在、審議会等の議事録は市役所で公開しているが、その内容の周知を図る上ではどうしても限界がある。このため、検討の経過と結果の概要については、できるだけ公表することとしたものである。しかし、短期間で検討が終結する場合や検討結果が時間を置かず行政活動に反映されるような場合には、これらを公表する時間的余裕や必要性がないと考えられるため、比較的弱い表現とした。なお、審議会等からの答申を受けて執行機関が最終決定をしたときには、3-3(2)により、最終決定の内容及び理由と同時に審議会の答申結果も原則的に公表される。
  •  
    4-2-4 議事録の作成

    執行機関は、審議会等の会議の都度、次の事項を明らかにした議事録を作成しなければならない。

    ア 会議の日時・場所・出席者・傍聴人の数

    イ 会議の議題

    ウ 会議に使用した資料

    エ 会議における発言内容又は議事の経過

    オ 会議の結論

    カ その他必要な事項

  • 審議会等の議事録は、その会議の内容を明らかにする上で重要なものであるが、これまで石狩市では議事録の作成方法についてのルールがなかったため、この試案で統一的に定めるものである。作成された議事録は、情報公開条例に基づく開示を受けられることはもちろんであるが、従前どおり情報公開コーナーで閲覧に供することも予定している。
  •  
    4-3 パブリックコメント手続

    4-3-1 意見の提出方法及び提出期間

    (1)パブリックコメント手続においては、意見を提出しようとする者の便宜を考慮し、郵便、ファクシミリ、電子メールその他のできるだけ多様な方法により意見を募集することを原則とする。

    (2)意見の提出期間は、1月以上とし、意見の提出を求める事案の内容に応じて適切に定めなければならない。ただし、緊急の必要がある場合その他の理由により1月の期間を確保できない場合においては、その理由を公表した上で、1月未満とすることができる。

  • 意見の提出方法は、執行機関の職員が書面によりその内容を確認できる方法によることを原則とするが、視覚障害者についてはカセットテープによる提出を認めるなど、記録性を確保できる範囲で弾力的な運用を行うことを想定している。
  • 意見提出期間については、国のパブリックコメント手続においても1月を基準としていることを考慮し、最低1月とした。ただし、どうしても1月を確保できない場合があることも予想されるため、こうした場合には理由を示した上で1月未満とすることもできるようにした。
  •  
    4-3-2 パブリックコメント手続実施の公表

    執行機関は、パブリックコメント手続を行うときは、あらかじめ次の事項を公表しなければならない。

    ア 対象となる事案の内容

    イ 対象となる事案の処理方針に関する執行機関の原案及びこれに関連する資料

    ウ 意見の提出先、提出方法、提出期限

    エ 意見を提出することができる者の範囲

    オ 検討結果等の公表予定時期

    カ その他必要な事項

  • 「原案に関連する資料」の内容としては、原案を作成した趣旨、目的等、その事案の処理の根拠となる法令、その事案の処理により生じると思われる市民生活への具体的影響などが挙げられるが、具体的な内容は、意見を求める事案の内容(計画か条例等かなど)によって変わってくることが予想されるため、運用の中で具体化する方法が適当と思われる。
  •  
    4-3-3 パブリックコメント手続の準用

    特定の事案につき、執行機関が、その処理方針に関する原案を作成する前に市民から意見を募集するときの手続については、4-3-1及び4-3-2(イを除く。)を準用する。

  • パブリックコメント手続は、執行機関の原案を明らかにして行うものであるが、早期の市民参加を図るためには、原案作成前の段階で市民意見の募集を行う必要がある場合も考えられる。このため、こうした場合の意見の提出方法、提出期間、公表などについては、パブリックコメント手続に準じることとした。
  •  
    4-4 公聴会

    4-4-1 公聴会開催の手続

    (1)執行機関は、公聴会を開催するときは、次の事項を公表する。

    ア 日時及び場所

    イ 対象となる事案の内容

    ウ 対象となる事案の処理方針に関する原案及びこれに関連する資料(原案を作成した場合に限る。)

    エ 意見を申し出ることができる者の範囲及び意見の申出期限

    オ 検討結果等の公表予定時期

    カ その他必要な事項

    (2)前項の公表は、意見の申出期限の1月前までに行わなければならない。

    (3)執行機関は、期限までに意見の申出がなかったときは公聴会を中止し、その旨を公表する。

    公聴会の開催の公告期日に関する既存規定(調べた範囲)

    ○公聴会の14日前(不当景品類及び不当表示防止法)

    ●公聴会の10日前(工業標準化法、植物防疫法)

    ○意見申出の期限の7日前(火薬類取締法)

    ○意見申出の期限の21日前(電気用品取締法)

    ●原案公示10日、公示後20日以内に意見申出、意見申出から20日以内に公聴会(牧野法)

    (●は利害関係者等を、○は広く一般を対象とする公聴会)

  • 公表の時期は、市民が検討するために十分な時間を確保するとともにパブリックコメントによる意見募集期間との整合性も考慮し、上記で最も長い期日によることとした。なお、運用としては、パブリックコメント手続と公聴会開催を前提とした意見募集を組み合せて行うことも検討する余地があると思われる。
  • (3)は、公述希望者が実際はいないにもかかわらずセレモニーとして公聴会が開催されるようなことを防ぐという観点から設けた規定である。
  •  
    4-4-2 議長

    (1)公聴会は、執行機関の長が指名する者が議長として主宰する。

    (2)公聴会の参加者は、公聴会の適正な進行を図るために議長が発する指示に従わなければならない。

  • 通常は、市職員が議長を務めることになると思われるが、事案の内容によっては中立的な学識経験者などを議長としたほうが良い場合もあるのではないかと考えたため、議長になる者には特に限定を設けていない。
  •  
    4-4-3 調書の作成及び公表

    (1)議長は、公聴会等を開催したときは、その都度、次の事項を明らかにした調書を作成し、執行機関の長に提出する。

    ア 日時及び場所

    イ 意見の申出を求めた事案

    ウ 出席した者の氏名及び傍聴者の人数

    エ 公聴会における発言の要旨

    オ 質問及び答弁の要旨

    カ 以上のほか議長が必要と認めた事項

    (2)執行機関は、公聴会等が終結したときは、必要に応じて前項の調書及び公聴会等で配布された資料を公表するよう努める。

  • 公聴会の記録の作成方法についてのルールもこれまで定められていないため、記録の作成を義務付けるとともに、その内容についての統一的な基準を作成した。
  • 公聴会の結果についての公表努力を定めるものである。努力規定とした理由は、4-2-4(3)と同様である。
  •  
    4-4-4 公聴会の実施細目

    公聴会の実施に関する細目については、規則で定める。

  • 実施細目としては、公述人の選定方法、選定結果の通知、公聴会の進行方法、意見に対する質疑に関する事項、公聴会の続行又は中止に関する事項などが考えられる。これらを条例で規定することも可能だが、ボリュームが膨大になって条例が分かりにくくなるおそれがあることを考慮し、規則で定めることとした。
  •  
    4-5 その他の市民参加手続

    (1)執行機関は、4-2から4-4までに定める以外の方法により、不特定の市民を対象として市民参加手続を行おうとするときは、次の事項を公表する。

    ア 対象となる事案の内容

    イ 市民参加手続の期日

    ウ 市民参加の手続の内容

    エ 対象となる事案の処理方針に関する原案及びこれに関連する資料(原案を作成した場合に限る。)

    オ 市民参加手続に参加することができる者の範囲

    カ その他必要な事項

    (2)前項の公表は、その市民参加手続が期日を定めて行われるときは、その期日の1月以上前に行わなければならない。ただし、緊急の必要がある場合その他の理由により1月の期間を確保できない場合においては、その理由を公表した上で、1月未満とすることができる。

  • この規定は、審議会等、パブリックコメント手続(これに準じる手続を含む)、公聴会等以外の、不特定多数を対象とするすべての市民参加手続(ワークショップ、説明会など)に適用される。適用範囲を「不特定多数対象」に限定したのは、対象者が狭い範囲に限定される場合には、それらの者に直接予告すれば足り、予定を公表する意味が薄いと考えられることによる。
  • 市民参加手続の結果を踏まえた検討結果については、「3-3意見の取扱いに関する原則」の中で公表が義務付けられている。
  • 公表の時期の決め方は、パブリックコメント手続に準じている。
  •  
    4-6 他の制度との調整

    4-1から4-5までの規定に基づき市民参加手続を行った場合に他の法令又は条例の規定に反することとなるときは、その反することとなる事項については、当該他の法令又は条例の定めるところによる。

  • この章の規定は、他の法令又は条例の定めにより市が行う審議会等、パブリックコメント手続、公聴会などにも適用があるが、その手続の内容(公表の方法、意見の提出期間等)についてその法令で別の規定をしており、かつ、その規定のとおりにしなければ法令等違反となる場合については、その範囲内で、この条例の規定を適用しないこととしたものである。
  •  

    5 市民参加推進協議会

    市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    5-1 設置

    次に掲げる事項について執行機関の長からの諮問に応じ、又は執行機関の長に建議するため、石狩市市民参加推進協議会(協議会)を設置する。

    ア この条例及びこれに基づく規則その他の規程の制定改廃

    イ 市民参加手続基準の設定及び改定

    ウ 市民参加の手続の運用に関する事項

    エ 上記のほか、市民参加の推進に関し必要な事項

  • 市民参加は、市民と市との共同作業であるので、その制度の適切な運用を図るためには、市民と市職員が共通の視点に立って率直な議論を行い、改善すべき事項を改善するなどしていかなければならない。こうした議論の場として、協議会を設置するものである。協議会は、諮問に応じるだけでなく、みずから必要と考える事項を執行機関に建議する権限も有する。また、協議会の所掌事項は、市民参加手続に関することだけでなく、市民参加の推進一般に関する事項を広くカバーするようにした。
  •  
    5-2 委員

    (1)協議会の委員は、15人以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

    ア 学識経験者

    イ 市内において活動する団体が推薦する者

    ウ 市内に居住し、又は通勤通学する者であって市長が行う公募に応じたもの

    エ 市職員(事務局を担当する部局に属する者を除き、2人を超えない数とする。)

  • 市民参加の推進に関する検討は、専門的な知識よりも市民の健全かつ多様な感覚の反映がより強く求められる。このため、委員は市における一般例よりも多い15人を上限とした。なお、行政との関わりを持ちながら活動する団体はすべて「市内において活動する団体」となり得ることから、特に団体の活動ジャンルは固定していない。委員改選期には選出母体となる団体の入替えも積極的に行うべきと考える。
  • 石狩市では市職員は審議会等の委員から除くことを原則としているが、この協議会は、市民と市職員が対等の立場で議論することが必要なので、例外的に、2人以下という限定を付けた上で事務局担当部以外の市職員を委員に加えることとした。
  •  
    5-3 任期

    (1)協議会の委員(市職員である委員を除く)の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

    (2)委員は、再任を妨げない。ただし、同一人は、4年を超えて引き続き委員となることができない。

  • 委員の任期は、市における附属機関の委員の任期の例にならい、2年とした。
  • この条例では委員の固定化はなるべく避けることを原則としているので、同一人は連続4年までしか委員に就けないこととした。
  • 委員の任期等について
  • 腰を据えて市民参加の推進状況を監視し、協議するためには、任期をもっと長くして、4年(再任制限8年)ぐらいにしたほうがいいのではないか。
  • 5-4 会長及び副会長

    (1)協議会に会長及び副会長を置く。

    (2)会長は、協議会を代表し、協議会の会議の議長となる。

    (3)副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、会長の職務を代理する。

    (4)会長及び副会長は、市職員を除く委員のうちから委員の互選により定める。

  • 役員、会議、事務局等の規定は、基本的に市の類似組織における例にならったものだが、市民と市職員との対等の議論を担保するため、会長と副会長は、市職員以外の委員から選任することとした。
  •  
    5-5 会議

    (1)協議会の会議は、会長が招集する。

    (2)協議会の会議は、委員の過半数の出席をもって成立する。

    (3)協議会の会議の議事は出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長が決する。

    (4)会長は、必要に応じ、協議会の会議に参考人の出席を求めることができる。

    (5)協議会の会議は、これを公開する。

     
    5-6 事務局

    協議会の庶務は、○○部で処理する。

     
    5-7 会長への委任

    上記のほか協議会の運営に関し必要な事項は、会長が協議会の会議に諮って定める。

     

    附則的事項

    市民参加推進条例試案

    考え方

    少数意見

    附-1 施行時期

    この条例は、平成13年4月1日から施行する。ただし、「4-1-1 市民参加手続基準」の規定は、平成13年10月1日から施行する。

  • 市民参加手続基準を定める部分の施行時期を遅らせた考え方は、4-1-3で明らかにしたとおり。
  •  
    附-2 適用関係

    この条例の施行の際既に明らかにされている特定の具体的な目的を達するために一連のものとして行われる行政活動については、この条例の規定は適用しない。ただし、執行機関は、当該行政活動を、できる限りこの条例の規定の例により行うように努めるものとする。

  • この条例が施行された時点で既に一定の予定のもとに進められている行政活動に関してまでこの条例を適用すると、業務スケジュールなどの大幅な見直しなどが必要になる場合も考えられ、行政執行に対する影響が大きいことから、適用除外とした上で、可能な限りこの条例の例によって処理するよう努めるものとした。
  • 「特定の具体的な目的を達するために一連のものとして行われる行政活動」とは、例えば特定の施設の建設などを目的として、そのために行われる一連の行政活動(予算の検討、施設内容の検討、建設工事など)を指す。また、条例施行時にその目的が明らかにされているかどうかは、議会における答弁、予算書などにより、その目標年次や予算総額などについてすでにオーソライズされているかどうかにより判断することになる。
  •  

    補足説明

    1 住民投票について

    (1)住民投票には、次のような危険性があることが指摘されている。しかし、アとイについては、情報公開制度の導入、インターネットの普及、さらにこの条例のもとで行政活動への市民参加が促進されればこれらの危険性は軽微なものになり、ウについては、住民投票を行う案件についての制度設計を適切に行うことによって解消可能と考えられる。

    ア 大衆動員や煽動などによる不合理な決定を生み出す危険性(古くはアテネの陶片追放など)

    イ 判断をするにあたっての十分な情報の不存在と討論過程の欠落

    ウ 住民が判断することが可能ではないあるいは適当ではないような問題の存在

    (2)逆に、住民投票については、以下のメリットが指摘されている。

    ア 市民と市とのパートーナーシップ成立のためには、住民の地域に対する関心(自治意識)を高めることが不可欠だが、住民投票はそのための大きな契機となることが期待できる。

    イ 住民の意思が二分されるような場合に選挙やリコールが住民の意思表明手段としてしばしば使われるが、これは制度の本来の趣旨を考えると適切ではなく、こうした場合に住民の意思を明確にする方法として住民投票の導入が有意義である。

    ウ 地方分権の時代には、自治体運営についての住民による民主的統制の必要性が高まるため、より積極的な住民参加制度である住民投票が重要な機能を果たすことが期待できる。

    (3)以上を考慮し、研究班としては住民投票について制度化する方向が望ましいとの結論に達したが、次の理由により、今後、法改正の動向を踏まえながら改めて検討することが適当と判断し、この試案には含めなかった。

    ア 住民投票は、その結果の効力に着目すると決定型と諮問型に分けられるが、決定型は現行地方自治法に違反するおそれが大きい(現に前例がない)。いっぽう諮問型にはそういう問題はなく、市民の意見を参考として執行機関や議会が最終決定をする上で有用と評価できるが、諮問型住民投票は本質的にアンケートの一種であり、条例によらなくても実施できることから、住民意見が対立するような課題が存在しない今の石狩市で条例化する必要性は特に認められない。

    イ 住民投票を制度化するためには、(1)投票を行う要件、(2)投票を発議する権限者、(3)投票の成立要件、(4)対象事項、(5)設問の方式、(6)投票権者(国籍、居住地など)、(7)再投票の要件など、多くの解決すべき課題が指摘されているが、研究者の間でもこれらに対して一定の回答がなされるまでには至つていない状況である。

    ウ 報道によると現在、住民投票の制度化について自治省で検討中で、早ければ平成13年度にこの結果を踏まえて地方自治法が改正されると伝えられている。今住民投票を制度化しても、法律の規定いかんでは、見直しが避けられなくなる。

    2 オンブズマン(オンブズパーソン)制度について

    (1)オンブズマン(オンブズパーソン)制度は、一般に、執行機関から委嘱された識見者などが、執行機関からの独立性を比較的強く保ちながら、

    ア 市民から申し立てられた苦情について調査し、必要と認めたときは執行機関に改善を勧告するとともに申立者に処理経過を通知する

    イ 場合によっては自らの発意により事案を取り上げ、調査を行った上で、必要と認めたときは執行機関に改善を勧告する。

    などの活動を行う制度を指すものとされている(上記イについては、活動内容に含めない場合もある。)

    (2)この制度は、行政活動に市民の意見を反映するというこの条例の目的に合致しており、行政側が見落としがちな課題を発掘するという効果も期待できるため、積極的に検討する必要があると思われる。

    (3)しかし、研究班としては、以下の理由でこの試案に含めることは難しいと判断した。オンブズマン(オンブズパーソン)制度については、別条例等で措置することを早急に検討することが適当と判断する。

    ア 市政全般を広くカバーする制度とするか、福祉オンブズマンなど分野別の制度とするかなど、制度設計のあり方を含めて詳細な検討が必要であるが、この試案を検討する中でそこまで踏み込んだ議論を行うことは時間的に難しいと考えられる。

    イ 既に制度を導入している他自治体でも、独立した条例等に基づいて運用しており、ひとつの独立した制度としての認識が一般化していると考えられる。

    ウ 石狩市においてオンブズマン(オンブズパーソン)制度に対する市民のニーズがどの程度あるのかが不明確。この制度を導入すると、不可避的に相当の経費(オンブズマン報酬、事務局など補助体制整備費用)が必要になるため、市民アンケートなどで利用の見込みを把握した上で検討することが妥当と考えられる。

    3 イニシアチブについて

    イニシアチブには、直接イニシアチブ(住民が条例の制定改廃を発議し、住民投票で決定する)と間接イニシアチブ(住民が発議したとおりの内容で議会が条例を議決しない場合に、住民投票を行う)の2種類があるとされているが、現行の地方自治制度では、条例の決定権は議会又は首長(議会を開く暇がないときなど)しか有しないと解されており、住民の直接投票により条例を決定する余地はないものとして、試案の内容には含めていない。


    (市民参加手続基準のイメージ)

    1 条例、規則その他の規程の制定改廃

    (1)市民の権利を制限し、又は市民に義務を課すことをその内容とする条例等(次に掲げるものは除く。)の制定改廃については、市の原案を修正する段階において、少なくてもパブリックコメント手続をとる。

    ア 市税の賦課徴収、分担金、使用料、手数料の徴収に関する条例等。ただし、目的税の新規導入など、受益と負担の関係が明確なものについては、市民参加の手続を行うよう努めるものとする。

    イ 市民の権利又は義務に影響が生じない改正

    (2)市民参加推進条例及び市民参加推進条例に基づき定める規則その他の規程並びにその制定の趣旨又は目的の全部又は一部が市民参加推進条例と共通する条例等(軽微な改正の場合を除く)の制定改廃については、市の原案を修正する段階において、少なくてもパブリックコメント手続をとる。

    2 計画の策定及び変更

    次の表に掲げる計画の策定及び変更に際しては、同表に定めるところにより市民参加手続を行うものとする。

    計画の名称又は種類

    市民参加の手続を行う時期

    市民参加の手続の方法

    審議会等パブリックコメント手続公聴会説明会等アンケート等ワークショップ等
    市の基本構想、総合開発計画原案策定段階    
    原案修正段階

       
    総合開発計画実施計画(策定時のみ)原案修正段階   
    特定の地域の振興を目的とする計画原案修正段階

      
    行政改革に関する計画原案修正段階 

      
    石狩市交通安全計画原案修正段階

        
    石狩市総合福祉計画原案策定段階    

     
    原案修正段階

     

      

           

    注)○:必ず行う手続 △:どちらかを選択して行う手続 ※:有力な相反する意見があると認めたときに行う手続