第2次石狩市男女共同参画プランの策定
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- 第2次石狩市男女共同参画プランの策定について
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提言内容
平成22年10月14日開催の第3回男女共同参画推進委員会で結審し、同日、下記のとおり答申されました。
平成22年10月14日 石狩市長 田岡 克介 様
石狩市男女共同参画推進委員会
委員長 南 槇子
第2次石狩市男女共同参画計画の策定について(提言)
石狩市男女共同参画推進委員会(以下「推進委員会」)は、平成22年3月29日付石市声第39号により市長から、第2次男女共同参画計画(以下「第2次計画」)の策定について、時代の変化に対応した適切な施策を推進するため、先行して行なわれている国の第3次男女共同参画計画の策定の動きや、「いしかり男女共同参画プラン21」(以下「プラン21」)に基づく各種施策の進捗達成状況、市民意識調査の結果などを検討・評価の上、提言するよう依頼されました。
その後、提言の検討にあたって専門部会(委員6名、部会長:南槇子男女共同参画推進委員長)を設置し審議を重ねた後、この部会で作成した提言書の原案について推進委員会で審議を重ね、まとめたのが本提言です。
- 1.審議における留意点
- 提言内容の審議にあたり、推進委員会が留意した点は次の5点です。
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- 効果的に施策を推進するため、国の次期計画と方向性を共有すること
- 実効性あるアクション・プランとすること
- 国と自治体の役割を意識すること
- 実際に市民が感じ、必要としている課題を踏まえること
- 第4次男女共同参画推進委員会からの申送り事項
「計画の体系については、再掲が多いので精査してスリム化したほうがよいと考える。また、女性ががんばるだけでなく男女が協力するという視点に変え、男女共に暮らしやすい視点を持つこと、多様な選択が可能になる社会をめざすことを盛り込んでいただきたい。」
- 2.石狩市における男女共同参画の現状
- 昨年度行った「男女平等に関する市民意識調査」(以下「意識調査」)の結果及びプラン21に掲載された事業のこれまでの取り組み状況を検討し、次の内容を確認しました。
- (1)プラン21の実施期間中に推進された点
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- 男女平等感の上昇
「男女の地位は平等である」と感じる割合は、18.3%(H10)、27.0%(H15)、33.4%(H21)と調査毎に毎回上がっています。 - 男性の固定的な性別役割分担意識の改善
固定的性別役割分担に対して否定的な人の割合が、女性は平成10年度調査時からずっと4割台なのに対し、男性は26.2%(H10)、35.5%(H15)、42.0%(H21)と大きく増加し、昨年度調査では女性とほぼ同じになりました。 - 市の体制整備と関連施策の推進
市がこども室や地域包括支援センター等を設置したこともあり、子育てや介護など「自立を支える社会環境の整備」に関連する施策の取り組みが推進されました。
- 男女平等感の上昇
- (2)課題
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- 男女共同参画社会という言葉の認知度が低く、また、イメージが曖昧
意識調査の結果、調査対象者全体の約半数にしか知られていない現状が分かりました。また、男女共同参画社会のイメージが確立されていないことも、周知が進まない要因の1つです。 - 依然として男性優遇感及び固定的な性別役割分担意識が強い
意識調査によると男性優遇感を感じている人は、平成10年度からは減少しているものの、昨年度時点でも全体の約5割に上っています。また、固定的性別役割分担意識についても、同感しない人が増えるなど男女共同参画を志向する意識が強まっている反面、実際の行動では未だに性別による役割分担が根強く見られます。特に、私たちが生きていく上での基本である家庭生活における意識のあり方は、個々人の思考や行動に大きく反映され、中でも子どもへの影響力が大きいことから、男女共同参画社会の実現に向け、家庭における意識改革が重要であると考えます。 - 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が図られていない
意識調査によると、男女とも多くの人が「仕事」「家庭生活」「地域・個人の生活」のうちのいずれか複数を優先したいと考えていますが、現実には男性は「仕事」、女性は「仕事」または「家庭生活」のいずれか1つを優先している人が多く、ワーク・ライフ・バランスが図られていない状況が明らかになりました。 - 男性を巻き込めていない
男女共同参画は女性の問題であるという偏ったイメージが未だに根強く、男性の当事者意識がなかなか広がっていかない現状が社会全体の取り組みにも影響を及ぼしています。 - 方針決定過程への女性の参画状況
石狩市役所における各種審議会等への女性の登用状況は全体の登用数の25.4%で、プラン21で設定した目標値の50%を大きく下回っています。 - 依然として存在する女性に対する暴力
石狩市における配偶者等からの暴力の存在について、意識調査で回答した女性全体のうち、女性のうち10人に1人が「被害を受けたことがある」という結果が出ました。また、女性の4人に1人が「DV被害者を知っている」と回答しています。 - 介護及び子育てに関する取り組み
石狩市の介護・子育て環境の整備は進みましたが、高齢者世帯及びひとり親・共働き世帯の増加といった家庭環境の変化に伴い、地域ケア体制の整備や仕事と子育ての両立支援等へのニーズは高まっています。
- 男女共同参画社会という言葉の認知度が低く、また、イメージが曖昧
- 3.第2次計画で目指す男女共同参画社会のイメージ
- 男女共同参画社会の実現は、一方の性別だけでなく、社会を構成する男女一人ひとりが、自分にとって大きく関わりのある課題であると認識し、皆で対等に作り上げる必要があることを広く周知し、浸透させなければなりません。そこで前出の課題を踏まえ、石狩市において目指していただきたい男女共同参画社会の具体的なイメージを考えました。
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- (1)自立した男女がしなやかに支え合う豊かな社会
- 家庭に始まり、地域社会や職場など、あらゆる場面で男性と女性は互いに支え合い、助け合いながら生活するのが一般的です。その際、どちらかの依存度が高くなったり、特定の人への負担が大きくなると、結果的に互いに生きづらい状況を生じ得ません。男女一人ひとりが固定的性別役割分担意識にとらわれず、人間として精神的にも経済的にも生活的にも自立し、対等な立場で、状況に応じて柔軟に支え合うことが、誰もが生きやすい豊かな社会を築くのだと考えます。
- (2)男女が活かされ活躍する社会
- これまでは様々な分野で、特定の性に偏って固定的に役割を担うことが多くありました。しかし豊かな社会を形成するには、多様な意見が反映されることが重要です。更に社会は男性と女性から構成されていることを考えると、男女が互いの意見を出し合いながら決定し、共同で参画することの重要性を大いに感じます。中でも、これまで主に男性が担ってきた、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大を進め、女性の関心・知識や経験に基づく新たな視点を持つことで、多様化する社会の課題解決や活性化に繋がると考えます。同様に、子育てへの男性の参画等、女性がこれまで担っていた分野へ男性が参画し、その視点が活かされ活躍することは、男女共同で創る豊かな社会を目指す上で大変重要です。
- (3)「私とあなた」から始まる、お互いの違いを認め、思いやることで、誰もが生きやすい社会
- 私たちの社会は、男性と女性の違いをはじめ、若者と高齢者、障がいの有無、個性や能力の秀でている分野の違いなど、異なる性質や能力を持った様々な人間が集まって形成されています。こういった互いの違いを認め、誰もがそれぞれの生き方を偏見無く受入れ、個々人が持つ特性や「らしさ」を活かし、そして思いやり補い助け合うことで、より良い関係が築かれ、誰もが生きやすい社会が実現するのであり、ひいては困難な状況に置かれている人たちへの配慮と理解が広がり、幼い子どもや高齢者といった弱い立場の人たちに対する虐待の根絶にも繋がるのだと考えます。そしてこの社会をつくるのは、私たち一人ひとりであり、まず自らが周囲の人との関係性の中で始めることが大切です。この小さな輪がだんだんと増えて大きくなることで、家庭や地域社会、職場が変わり、やがて社会全体が変わって男女共同参画社会が実現するのだと考えます。
- 4. 第2次計画の理念及び基本目標、実施期間
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- (1)理念
- 男女共同参画の根底には、「女性も男性も平等であること」及び「それぞれが自立していること」というテーマが厳然としてあり、それは第1次計画を進めてきたこの10年を経た現在でも全く変わらないことから、「男女平等の確立」と「自立社会の形成」という2つの理念を第2次計画でも踏襲することが適当であると考えます。また計画に記載する際には、この2つの理念の意味する内容が、市民の皆さんに広く受入れられ、浸透するような配慮が必要です。
- (2)基本目標
- 第1次計画の基本目標も、理念同様に第1次計画のものを踏襲するのが適当であると考えます。ただし基本目標5は「生涯にわたる健康支援」に変更することとし、第1次計画に引き続き「リプロダクティブヘルス/ライツ」の視点に十分配慮し、取り組みの中心に女性を置いた上で、男女共同参画を推進するには、男女ともお互いに健康である必要があることから、男女の健康保持を視野に入れ、男女の性差に応じた健康支援が必要です。
- (3)実施期間
- 第1次計画では10年でしたが、社会情勢の変化の早さとそれに伴う対応の重要性、また国が5ヵ年としている状況なども踏まえ、今回の計画は5ヵ年計画とすることが適当と考えます。
- 5.第2次計画で重点的に取り組む視点
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- (1)男女共同参画についての認知度の向上
- 本提言の3であげた男女共同参画のイメージが広く浸透するよう、大いに周知を推進させるべきだと考えます。その際、親しみやすく感じられるような表現や、事業実施の際に男女共同参画との関連について意識されるような配慮など、様々な工夫が必要です。
- (2)女性・男性それぞれの自立
- 男女が共同で生活する中で、お互いに生きやすくするには、柔軟に助け合えるよう、一人ひとりができることを増やし、精神的、経済的、生活的に自立していることが重要です。中でも私たちの生活の基盤である家庭生活において、「男は仕事、女は家庭」というような性別による役割分担を見直し、これまで女性も男性もできることなのに、女性、男性それぞれが担ってこなかったことができるようになって、男女とも自立を進めることが大切であると考えます。特に高齢者世帯や共働き家庭が増えている現代社会において、男女それぞれの自立は重要な課題です。
- (3)男性の男女共同参画
- これまでの男女共同参画は「男性の領域に女性が入っていくもの」という偏ったイメージから偏見が生まれ、男性が拒否しがちな面がありましたが、男女共同参画は男女共に重要な課題であり、その実現には、女性側だけの一方的な推進ではなく、男性側の推進も当然必須であり、男性の理解・協力が不可欠です。またこの10年来、男性の自殺者増といった深刻な状況をもたらしている要因の1つとして考えられる、固定的性別役割分担意識が男性にもたらす重圧を緩和し、男性にとって生きづらい環境を生きやすくするための1つの方策としても、男女共同参画は大変重要な視点だと考えます。男女共同参画社会は男性にとっても生きやすい社会であることの周知に努め、男性の理解と参画を進めることが必要です。
- (4)子どもの男女共同参画
- 子どもの時から男女共同参画に慣れ親しみ、理解を深めることは重要であることから、子どもに対する取り組みが必要です。その中で、家庭における子どもへの親の影響力の大きさを考慮し、親に対する男女共同参画の推進にも配慮すると共に、親からの虐待等により支援が必要な子どもに対しても、男女共同参画の視点からの支援をすべきだと考えます。
- (5)女性の社会における活躍
- 行政や地域における政策・方針決定過程への、女性の参画拡大が引き続き必要です。これまでは社会における政策・方針決定の場は男性が大多数を占めていましたが、社会を共に構成している女性の意見を取り入れていくことは、多様な人材の能力の活用、多様な視点の導入、新たな発想の取入れ等につながり、社会の活性化をもたらす重要な観点と考えます。また、決定する場に参加する女性を増やすためには、女性の意識改革を促す取り組みが必要だと考えます。
- (6)地域に根ざした男女共同参画
- 家庭と共に私たちにとって身近な暮らしの場である地域社会での推進は、男女共同参画の実現にとって重要です。地域では高齢化、過疎化の進行や、人間関係の希薄化、単身世帯の増加等の様々な変化が生じており、男女が共に担わないと立ち行かなくなる状態になっていることから、これらの課題を解決する1つの手法として、積極的な男女共同参画の推進が効果的であると考えます。その際、石狩市の地域性に配慮し、また細かな単位で働きかけることが有効です。
- (7)行動のレベルで実感し、改善していくこと
- 意識変革は、まず毎日の生活の営みの中で、小さなことから始めることが重要です。男女一人ひとりに、男女共同参画を自分にとって現実的で必要な課題として認識してもらうには、実生活に即したレベルで、実際に体験してイメージを具体化し、その必要性を感じてもらうことが重要だと考えます。特に男性に対しては、男女で共に豊かな生活を継続するための技術として、家事や介護といった、生活に関する実際的な学びを推進し、また取り組む際には、性別や団体、世代ごとといった細かな単位で働きかけることが有効と考えます。
- (8)女性に対するあらゆる暴力の根絶
- 女性に対するあらゆる暴力が、重大な人権侵害であることの社会的認識を推進するとともに、関係機関との連携を強化するなど、根絶するための取組を一層推進すべきだと考えます。また、防止の取り組みとして若年層への啓発は有効であるため、高校生、大学生に対する予防啓発の拡充、教育・学習の充実を図ることが重要です。
- (9)男女共同参画の立場に立った介護及び子育て
- 昨年度に行った意識調査でも、市民の関心が高く、また社会情勢からもその必要性が認められることより、介護及び子育てに関する石狩市役所の継続的な取り組みが必要だと考えます。
- 6.第2次計画の内容について(構成及び掲載する項目)
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- 高めるため、重要度及び優先度を検討し、項目数を選択して焦点を絞る必要があると考えます。
- 具体的に取り組む事業の掲載にあたっても、各事業の実施目的と体系上の位置付けをより分かりやすく明確にするために、重要度及び優先度を検討し、項目数を選択して焦点を絞り、また複数の推進内容に亘る事業の再掲を多用しないなどの見直しが必要です。
- 進捗状況を把握するとともに、目標を明確にして実効性を高めるため、数値目標の数を増やす必要があります。また、石狩市の現状を踏まえた上で、その数値を上げるための適切な目標を設定すべきだと考えます。
- 効果的な計画にするため、石狩市総合計画及び他の個別計画と整合を図り、市として総合的に推進するとともに、他の関連部署との連携を図る必要があります。
- 7.計画の運営について
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- 盛り込まれた各種施策が効果的に推進され、計画の実現が図られるよう、その進捗状況を定期的に把握・点検し、その上で取り組むべき施策を重点的・優先的に実施すべきだと考えます。
- 各種事業の取り組みにあたっては、担当セクションそれぞれが連携を強めるとともに、市民との協働も常に考慮し、効果的に実施することが重要です。
- 8.市役所における推進
- 石狩市役所はこの計画を作り実施していく元であることから、石狩市における模範として、市役所内部の男女共同参画の推進に努めるべきだと考えます。
- 9.市民意見の反映
- 今後行われるパブリックコメント等で寄せられる市民からの意見について、適切な検討を十分に行うことが重要です。
- 10.最後に
- 石狩市に男女共同参画を定着させるために、石狩の地域性を十分反映し、また日々の生活の視点を大切にして、誰もが男女共同参画と自分との関わりを感じられる、身近で親しみやすい計画にすることを希望します。
提言依頼
平成22年3月29日開催の第2回男女共同参画推進委員会で下記のとおり諮問する。
石市声第39号平成22年3月29日
石狩市男女共同参画推進委員会
委員長 南 槇子 様
石狩市長 田岡 克介
第2次石狩市男女共同参画プランの策定について(依頼)
本市では、男女共同参画社会の実現に向け、平成12年度から概ね10年間におけるアクションプログラム「いしかり男女共同参画プラン21」に基づき、総合的かつ計画的に様々な取り組みを行なってきたところですが、今般、時代の変化に対応した適切な施策を推進するため、平成23年度のスタートに向け第2次男女共同参画プランを策定します。
つきましては、国の動き、現行プランに基づく各種施策の進捗、達成状況や市民意識調査の結果なども検討・評価の上、第2次石狩市男女共同参画プランの策定についてご提言をいただきますようお願いいたします。