地域福祉計画の策定
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石狩市社会福祉審議会からの答申とその検討結果
【答申】
平成17年2月23日開催の第4回審議会で結審し3月11日付け次のとおり答申された。
石社審第 3 号
平成17年3月11日
石狩市長 田岡 克介 様
石狩市社会福祉審議会
会 長 後藤 昌彦
「石狩市次世代育成支援行動計画、石狩市障がい者計画
及び石狩市地域福祉計画」に関することについて(答申)
石狩市社会福祉審議会条例第2条の規定の基づき、平成15年10月3日付け石福総第940号で石狩市長から諮問を受けた次の事項について、当審議会は、現状における社会状況と課題等を踏まえ、石狩市における各計画についてこれからの望ましい方向について審議した。
諮問案件(1)から(4)(略)
(5)「地域福祉計画」、「次世代育成支援計画」及び「障がい者計画」に関することについて
以上の諮問された事項について、下記のとおり答申する。
記
石狩市社会福祉審議会(以下「本審議会」という。)は、平成15年10月17日に石狩市長から「次世代育成支援行動計画、障がい者計画及び地域福祉計画に関することについて」諮問を受け、本審議会に設置された児童福祉、障害者福祉、地域福祉の各専門部会及び全体会議において1年余りにわたり慎重に審議を重ねてきました。
石狩市では、これまで平成10年度にスタートした高齢者福祉、障がい者福祉、児童家庭福祉、地域福祉の4分野を総合した「石狩市総合福祉計画」の下に、総合的・計画的な福祉行政の推進が図られてきていますが、この計画が平成16年度で終了するため、新たに平成17年度を初年度とする福祉計画が策定されるもので、今回の策定は、前計画の「総合福祉計画」の改定ではなく、既にスタートしている「石狩市高齢者保健福祉計画」(平成15年度~平成19年度)を除く、次世代育成支援、障がい者福祉、地域福祉の3分野の個別計画に関することについて、本審議会に諮問されました。
近年、加速する少子高齢化、家族形態の変化、地域住民のつながりの希薄化、市民の価値観の多様化、景気低迷の長期化など、福祉を取り巻く社会経済環境は大きく変容する中で、介護保険制度をはじめ、福祉制度そのものも、従来の「措置」から「契約」へと変わり、利用者本位の諸制度の再構築が進んでおります。平成12年6月の社会福祉法の改正では、地域福祉計画の策定に関して法制化されました。
本審議会は、このような社会経済情勢や福祉諸制度の変化に対応し、石狩市の地域特性や社会資源に立脚した福祉システムの再構築を目指し、将来を見据えた福祉施策等の基本的な方向を示すために答申するものです。
本答申に示す各計画の基本理念、基本目標、策定の視点、施策の方向などが十分に尊重され、行政・地域住民・事業者が主体的な参画の下で、協働し継続して推進されるとともに、計画の推進にあたっては、その進捗状況の把握や事業評価を行うなど、適切な進行管理に努め、必要に応じて事業内容の見直しを行うなど改善されるよう、委員一同願いつつ見守ってまいりたいと思います。
【石狩市地域福祉計画についての基本的な考え方】
昭和26(1951)年に制定された社会福祉の基本法である社会福祉事業法が50年を経て、平成12(2000)年6月、新世紀の福祉にふさわしいものに全面改定され、名称も社会福祉法となった。新しい社会福祉の理念の基本は、個人の尊厳の保持、利用者の自立支援、選択する福祉であるが、地域福祉の推進が社会福祉の目的と位置づけられ、高齢者、障がい者、児童等各分野の福祉活動が地域社会で統合化された地域福祉を形成することが重要な課題となっている。地域福祉の目的を社会福祉法は「福祉サービスを必要とする地域住民が、地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように」することであると規定した。人々が地域で安心して、生き生きと暮らし続けられるよう、共に支えあいながら、共に生きる社会づくり、すなわちノーマライゼーションとソーシャル・インクルージョンの実現を目指すものといってもよい。
このような地域福祉の実現のためには、社会福祉サービスの整備・充実を図るともに、地域住民、サービス事業者、各種団体、ボランティア団体による自主的・自発的な福祉への取組みが重要である。高齢社会を迎えた今日、幸い多くの団体が各々社会的使命を発揮し、社会福祉事業の整備、充実を自らの課題として取組む例が増えている。ボランティアやNPOの分野において、社会福祉を主な活動分野にあげる団体が、他の分野と比べて高い割合を示している。地域住民が専ら福祉サービスの利用者であり消費者であることから脱却し、福祉の生産者であり担い手であるという状況がつくり出されている。各種福祉団体とボランティア・市民団体とが協働し、地域に根ざした地域福祉の新しい創造性と推進の主体となることが期待される。今後、石狩市が目指す計画の「理念と目標」、「地域福祉計画の基本的な方向」を市民が共有し、子どもから高齢者まで、市民一人ひとりが安心して生活を送ることができるよう、地域住民を中心に、地域に存在する公私の多様な団体が協働して諸問題に対応する「地域福祉ケアシステム」の構築が重要な課題となる。
本審議会は、石狩市に暮らす住民が地域社会で自立して、生き生きとした生活を営めるような個性ある地域社会を形成することを目指して審議・検討を重ねてきた。その結果を「石狩市地域福祉計画素案」として答申する。
なお、本答申は石狩市の「地域福祉の基本的な方向性」を重視して示したものだが、その方向に沿って、事務局(石狩市保健福祉部)において作成された別冊「石狩市地域福祉計画素案」に対してはおおむね妥当なものと判断する。
ただし、本計画は『計画の策定がゴールではなく、地域住民やサービス事業者などと一緒にスタートする』という視点に立ち、何よりもこの「地域福祉」という考え方を、地域福祉の形成に参画するすべての市民と関係諸機関が共有することが大切であり、その意味からも計画策定後において、地域住民等が主体となった計画推進体制を整備されるよう申し添える。
- 石狩市における地域福祉の取組み
平成12年6月に社会福祉法が改正され、その中で、利用者の立場にたった社会福祉制度の構築、サービスの質の向上、社会福祉事業の充実・活性化、そして「地域福祉の推進」が基本理念の一つとして明確に掲げられた。
石狩市では、これまで平成10年3月に、市の基本的な行政計画の指針である「石狩市新総合開発計画」の福祉分野における具体的な計画として、高齢者福祉、障がい者福祉、児童家庭福祉及び地域福祉の4分野を体系的・総合的推進を図ることを目的とした「石狩市総合福祉計画」を策定し、社会福祉の向上が図られてきている。
この間、石狩市においても少子高齢化の進行に伴い、核家族化の進展や市民のライフスタイルの多様化などにより、保健・福祉サービスの基盤整備の確保とともに、地域におけるきめ細かなサービス提供の仕組みづくり(地域福祉システムの構築)が重要な課題となってきている。
今こそ、共に生きるまちづくりの精神を発揮し、人々が手を携えて、生活の拠点である地域に根ざして助け合い、生活者としてそれぞれの地域で誰もがその人らしい安心で充実した生活が送れるような地域社会を基盤とした福祉(地域福祉)の推進に努める必要がある。
地域福祉の推進は、一人ひとりの住民に対して、社会福祉を限られた社会的弱者に対するサービスとしてではなく、身近な日々の暮らしの場である地域社会で生活している人々の多様な生活課題に地域全体で取組むシステムとしてとらえて、地域住民がこれらの多様な生活課題に目を向けて自発的、積極的に取組んでいただけるよう望むところである。本審議会では、石狩市において地域福祉を形成していくために下記の4つを重点課題として確認した。
1.地域福祉に係わる人材育成に関する課題
2.住民主体による福祉活動の促進に関する課題
3.総合的な地域ケア体制の確立に関する課題
4.住民参加型の福祉のまちづくりの推進に関する課題
以上4つの重点課題のうち、特に地域住民、行政、関係機関等の福祉活動の組織化を通じて、身近な地域でいつまでも安心して暮らすことのできる地域ケアシステムの確立が重要であると考え、「総合的な地域ケア体制の確立に関する課題」について集中的に審議を行なった。
その結果、石狩市に暮らす市民一人ひとりが安心して生活を送ることができるよう、地域住民、行政、福祉事業体をネットワークした「石狩市地域福祉ケアシステム」と取りまとめた。
石狩市地域福祉計画(案)(PDF形式:1,128KB)石狩市社会福祉審議会への諮問事項
平成15年10月17日開催の第1回審議会で次のとおり諮問する。
石福総第 940 号
平成15年10月3日
石狩市社会福祉審議会
会 長 様
(会長は、第1回審議会で委員の互選により選任)
石狩市長 田岡 克介
次の事項について、石狩市社会福祉審議会条例第2条の規定に基づ
き、貴審議会の意見を求めます。
記
諮問案件(5件)
(1)乳幼児医療費助成事業の受給対象者年齢の引き上げについて
(2)重度心身障害者及び母子家庭等医療費助成事業の所得制限導入について
(3)平成16年度保育料等の改定及び設定について
(4)今後の高齢者福祉施策のあり方について
(5)「地域福祉計画」、「次世代育成支援計画」及び「障がい者計画」に関することについて
【諮問要旨】
(1) 計画策定の趣旨
本市では、21世紀に向けたまちづくりの指針となる「新総合開発計画」の福祉分野における具現化した計画として、平成10年度にスタートした高齢者、障がい者、児童及び地域福祉の4分野の施策を盛り込んだ「総合福祉計画」のもとに、施策の推進に努めていますが、本計画が平成16年度で終了となることから、新たに平成17年度を初年度とする計画の策定に向けて、本年度計画の策定に着手することとしています。
この度は、既に本年度スタートした法定の「高齢者保健福祉計画」を除き、社会福祉法の施行により「市町村地域福祉計画」の策定等に関する規定が設けられたことに加え、児童・障がい者福祉の分野における新たな課題に的確に対応していくため、本市の地域特性や社会資源に立脚した福祉システムの構築を目指す「地域福祉計画」と、この地域福祉計画のビジョンを包含した「次世代育成支援計画」及び「障がい者計画」の3分野の個別計画を策定するものです。
≪答申の時期≫ 平成16年12月中(3計画共通)
(2)地域福祉計画の性格及び期間
今日の少子高齢化、成長型社会の終焉、長引く深刻な経済不況を背景に、児童や要介護者への虐待、引きこもりの増加など、生活課題が多様化している中、児童福祉、障がい者福祉、高齢者福祉といった従来の「福祉の枠組み」を超えた分野横断的な対応が必要とされ、地域福祉の新たな展開が求められています。
こうした状況を踏まえ、地域福祉計画は、社会福祉法の規定に基づき、福祉分野の個別計画、施策を推進する上での共通理念とともに、地域福祉の実現を具現化するための施策及び地域実態に即した福祉課題に対応する施策を盛り込んだ計画として策定するものです。
本計画の期間は、1期5か年とし、平成17年度から平成21年度までとし、次期計画は平成21年度までに必要な見直しを行い、平成22年度から平成26年度までとします。