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令和5年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年6月12日更新

令和5年度教育行政執行方針

 

 令和5年度 教育行政執行方針
 令和5年6月9日(金曜日)
 令和5年第2回石狩市議会定例会

 令和5年第2回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに  

 明治6年、公立石狩教育所と花畔教育所の開設とともに、石狩の地における公教育が始まりました。以来こんにちまで有為の人材を多数輩出してきた石狩の公教育は、今年、150周年の節目を迎えます。時を重ねる中では幾多の変革がありました。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミック等を契機として、先行きが不透明で将来の予測が困難という、現代のVUCA(ブーカ)性が誰の目にも明らかになるとともに、デジタルトランスフォーメーションの機運や、多様性を尊重し合う共生社会づくりへの問題意識の高まりに象徴されるここ数年の社会状況の変化と、それによりもたらされつつある教育の方法論の変貌ぶりは、150年の歴史の中でも戦後教育改革に次ぐほどの激しいものと言えるのかもしれません。

 こうした変化にもしっかりと対応するとともに、計画期間の折り返し点を過ぎた石狩市教育プランが掲げる「自律とチャレンジの精神、主体性と協働意識を持った市民の育成」に向けて、次期計画への展望をも意識しつつ、関連施策に鋭意取り組んでまいります。 

 以下、新年度の主要な施策について、教育プランの柱建てに即して、順次申し述べます。

目標1 自ら学ぶ意欲をもって、主体的に社会に関わり、新しい時代を生きる力を育てる

(新しい社会で生きる力の育成)   

 新学習指導要領の趣旨を踏まえ、本市学校教育の大きな課題となっている確かな学力の育成のため、「基礎的・基本的な知識及び技能の習得」「個に応じた指導の充実」「言語活動の充実」「学習習慣の確立」の4点を念頭に、教育課程の実施状況に基づく改善などを通して教育活動の質を向上させ、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントの確立を図ります。特に、「国語科の読むこと領域の課題解決」、「教科指導における小中連携の推進」、「伸びしろ層・中間層・定着層の各層に応じた指導と対話重視の指導」を重点に取組を進めます。

 ここ数年間での学校教育の最大の変革は、情報化の飛躍的進展です。1人1台端末や電子黒板が整備され、教育活動におけるICTの効果的活用が本格化しました。

 さらに、AIの技術革新など、変化の激しい時代の中で、今、子どもたちの学びも大きく変わろうとしています。

 1人1台端末は、これからの時代に欠かせない文房具です。この活用の場を家庭にも広げることにより、家庭学習への新たな動機付けや臨時休業等における学びの保障、家庭との連絡ツールとするとともに、テレビゲームや動画等の視聴時間、いわゆるスクリーンタイムを学習の時間へと置き換える機会の創出を図ります。さらに、新たな「AIドリル」の導入により、児童生徒一人一人が学習進度や理解度に応じた復習を効率的に行えるようにし、個別最適な学びのより一層の充実と基礎学力の定着につなげてまいります。

 新時代の学びを支える指導体制の充実を図るため、小学校で学級編制標準の段階的な引き下げや新たな教科担任制の導入が進められています。市としては、引き続きエキスパートサポーターや外部指導者、スクール・アシスタント・ティーチャー(SAT)等の効果的な配置などにより、子どもたち一人一人に対するきめ細やかな指導体制を確保し、学習意欲の向上を図ります。

 特別な支援を必要とする児童生徒の実態や保護者の意向を踏まえた上で、一人一人の教育的ニーズに応じた途切れのない一貫した支援を行うため、就学前からの教育相談の実施や、「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の活用により、子どもたちの未来を見据え、計画的・組織的な教育活動を推進いたします。

 また、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒が地域で教育を受けることができるよう、看護師等を学校に派遣する体制を整備いたします。

 グローバル社会を生きる子どもたちには、視野を広く持ち、自ら考え行動する力、未知なる時代を切り拓く力を身に付けることが求められています。義務教育段階から外国の言語や文化について理解を深め、語学力とコミュニケーション能力を高めることができるよう、外国語指導助手(ALT)を活用し、生きた外国語教育を行ってまいります。

(学びを支える家庭・地域との連携・協働の推進) 

 家庭教育支援を充実させるため、市長部局と連携しながら、子育てに不安や悩みを持つ保護者のサポートに引き続き取り組むほか、中学校の試験期間に合わせた小学校の家庭学習強化週間の設定など、小中の連携による生活規律の確立に向けた取組を継続します。

 本市の児童生徒の家庭での過ごし方は、各種調査の結果により、スクリーンタイムが増加する一方で勉強時間が減少していることが明らかになっています。「生活リズムチェックシート」を活用し、子どもたちの規則正しい生活習慣の定着を図る取組を継続します。特に、スマホ等の使用については、保護者と児童生徒が、家庭におけるルールを一緒に考えるきっかけとなるよう、「電子メディアに関する家庭のルールづくりシート」の活用などについて、学校と連携して保護者向けの情報発信を行います。

学びをつなぐ学校づくり 

 「中1ギャップの解消」や「義務教育9年間を見通した教育課程の編成」をテーマとして、中学校区を単位に小中一貫、小中連携の取組を一層進めます。また、幼児期の学びと育ちを義務教育へとスムーズにつなげるため、認定こども園等と小学校の連携をさらに深めながら、各小学校が策定するスタートカリキュラムの確実な実施と不断の見直しを図ります。これらの取組により、幼児期から中学校段階までを見通した教育を進めます。

 令和3年度をもって全校が移行したコミュニティ・スクールは、コロナ禍により活動に大きな制約を受けてきましたが、今年度からは、地域との連携・協働による教育活動の活発化が期待されます。地域と学校が力を合わせ、「開かれた教育課程」の実現に向けた取組が着実に実を結ぶよう取り組んでまいります。

 少子化を踏まえた部活動の在り方について、本市の実情も踏まえながら、将来にわたり持続可能な活動の場を確保するため、地域のスポーツ・文化関係団体、学校などからなる協議会を設置し、検討を進めてまいります。

 浜益区の子どもたちのより良い教育環境を確保するため、保育園を併設した小中一貫型の学校の整備に向けて、実施設計に着手いたしました。浜益の特色を活かすことも念頭に置きつつ、引き続き学校や地域と丁寧な対話を重ね、準備を進めてまいります。

 学校施設の維持整備につきましては、花川南中学校の大規模改修工事を完了させるほか、生振小学校と浜益小学校・中学校の通学支援に係るスクールバスを更新いたします。肢体不自由等の障がいを抱える生徒が、地域の学校で安心して学校生活を送ることができるよう、樽川中学校にエレベーターを新設するための実施設計を行うほか、南線小学校の校舎を増築いたします。

 教員の働き方改革の推進につきましては、アフターコロナを踏まえた業務の精選や校務へのICT積極活用を学校に呼びかけるとともに、外部人材の積極的な活用、1年単位の変形労働時間制の導入、時間外在校等時間の公表など、関連する取組を進めます。

目標2 思いやりと豊かな心・健やかな体をもって、多様な人々と共に支え合う人を育てる

(健やかな成長を促す取組の推進)   

 「特別の教科 道徳」を基軸とした豊かな心の育成、人権を尊重した教育による他者を思いやる心の育成のほか、地域の様々な人々との交流や体験活動などを通して、自己肯定感や自尊感情を醸成します。さらに、保護者や地域住民に道徳科の授業を公開し、学校、家庭、地域の連携強化を図ります。

 学校のルールである校則は、社会の変化を踏まえつつ、学校の教育目的に照らした妥当性について、定期的に見つめ直す機会を持つことが大切です。また、その過程に児童生徒自身が参画することは、校則の意義を理解し順守する意識や、身近な課題の解決に自ら取り組む主体性を育むことにつながります。このため学校に、児童生徒も参加する校則の見直し機会を設定するよう働きかけます。

 豊かな人間性を育む上で読書が果たす役割は重要であることから、引き続きブックスタートや家読(うちどく)の推進など、本との出合いや、本に親しむ機会の創出を図ります。また、学校図書館においては、学校司書の配置・派遣により児童生徒や教職員の情報ニーズに対応する資料購入、更新を進め、適切な蔵書構築を行うとともに、読書支援、授業支援などに努めます。これらの読書活動推進によって言葉を学び、考える力を育てるとともに、感性を磨き、表現力、創造力を豊かにする取組を継続してまいります。

 本市の不登校児童生徒は、8年連続で増加している状況にあります。多様で適切な教育環境の確保に向けて、市長部局と連携を密に、スクールソーシャルワーカーと家庭生活支援相談員による教育と福祉が連携した支援を継続するほか、学校復帰へのステップを踏み出そうとする不登校の児童生徒を後押しするため、教室とは別の場所を活用した「別室登校」を展開するとともに、個別の学習支援や相談支援に対応するための教育支援員を新たに配置します。

 学校が通常の活動へと移行するに際し、環境の変化に不安や悩みを抱える児童生徒をサポートする体制が必要です。いじめの防止や不登校児童生徒への支援も含め、学校がチームで対応しながら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用した教育相談につなげ、未然防止と早期発見・早期対応に努めます。

 児童生徒の体力と運動能力の向上を目指し、「体力の1校1プラン」や全学年での体力テストの活用を継続するとともに、中学校においては、専門的な知識、技能を有する外部指導者、外部指導員の派遣・指導により、個に応じた、きめ細やかな指導体制のもと、運動能力の向上、運動習慣の定着に努めます。

 関係機関と連携した健康教育や栄養教諭を中心とした食に関する指導により、健康で豊かな食生活に対する児童生徒の関心を高めるとともに、成人向けの食育講座を開催します。また、食材高騰対策として賄材料費を上乗せして、安心・安全な学校給食の安定的な提供に努めるとともに、今後も石狩産食材のより一層の活用を意識しながら、児童生徒の心身の健全な発達と望ましい食習慣の育成に努めます。

目標3 ふるさとへの愛着をもち、幅広い視野で新しい価値を創造し、活躍する人を育てる

(学びを活かす地域社会の実現)

 世の中のおよそすべての手続のデジタル化が進もうとする中、デジタルデバイドの解消は喫緊の課題です。このため、高齢者等を対象に「スマホ初心者講座」を開催し、スマホやSNSの基本操作の習得、ひいては、生活の利便性向上と高齢者の社会参加を図ります。​

 また、一人一人の学びへの意欲を喚起し、潤いのある生活と活力ある地域づくりを推進するため、市民が集い、生涯にわたる主体的で多様な学びを実践する「いしかり市民カレッジ」との協働、市内文化芸術の振興を通したまちづくりに取り組む「石狩市文化協会」への支援など、市民の学習機会の充実に向けた環境づくりを進めます。

 学校・家庭・地域が一体となって、次代を担う子どもを育てる体制の充実を図るとともに、学校を核とした地域づくりを推進するため、学校支援ボランティアの確保と、地域コーディネーターのさらなる人材の掘り起こしに努めます。

 市民図書館では、さまざまな主体との連携事業を推進し、その魅力発信に努めます。具体的には、オンラインにより、本市の魅力を再発見してもらう講座の開催、「子ども司書養成講座」の実施、「石狩観光アンテナコーナー」の新設、そして、社会教育関係団体に限らず広く市民の活動を紹介する「展示室」を開設します。また、来館が困難な方に向け、図書館の除籍本を市内全郵便局に常設します。

(ふるさとを学ぶ機会の充実)

 石狩で生まれ、育ち、学んだ子どもたちが、ふるさと石狩への愛着と誇りを持つことができるよう、総合的な学習の時間での学習活動やテーマ展、体験講座、野外講座などを開催します。また、歴史的価値のある旧石狩小学校円形校舎の公開や、資料館、道の駅の情報コーナーを活用した情報発信を引き続き進めるほか、市民図書館等と連携した講座や展示を行い、市民が文化財に親しみ、ふるさとを学ぶ機会を提供してまいります。

むすび 

 本年3月の中央教育審議会の答申は、国の次期教育振興基本計画の重要なコンセプトのひとつに、日本社会に根差したウェルビーイングの向上を掲げています。また、「こどもまんなか社会」の実現を目指し、4月に施行されたこども基本法は、子どものウェルビーイング向上を射程にとらえております。身体的・精神的・社会的に良い状態が続くとともに、個人を取り巻く場もまた良い状態が持続することを指すウェルビーイングは、教育など「人」を対象とする我が国の政策の大目標となることが明確になってまいりました。

 石狩市の子どもはもちろん、子どもを支える大人たちのウェルビーイングも高めていけるよう、市長部局とこれまで以上に連携を密にしながら、教育行政としての取組を進めてまいります。

 市民の皆さま並びに市議会議員各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、令和5年度の教育行政執行方針といたします。

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