令和8年度教育行政執行方針
令和8年度:教育行政執行方針
令和8年2月19日(木曜日)
令和8年第1回石狩市議会定例会
令和8年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。
はじめに
文部科学省が定める教育課程の基準で、全国どこの学校でも一定水準の教育が受けられるようにするための指針である学習指導要領の改正はおよそ10年ごとに行われており、次期学習指導要領は、小学校は令和12年度、中学校は翌令和13年度から導入される予定です。文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会では、昨年9月に、改訂に向けた重要な方針を示す論点整理の素案を発表しています。今回の改訂では、「情報活用能力の育成」「柔軟な教育課程」「探究学習の質の向上」「学習評価と入試の見直し」など、これまで以上に「個別最適な学び」や「自律的な学び」を重視する方針が打ち出されました。
今回の学習指導要領の改訂は、こどもたちの未来を見据えた学びの在り方の大きな転換期です。AIやグローバル化が進む社会では、情報を選び、考え、表現し、協働する力が求められるようになります。こうした力を育てるために、教育現場では今までにない挑戦が始まります。そしてこれは、家庭の理解とサポートがあってこそ、こどもたちの成長に繋がります。
基礎自治体である石狩市においては、大きな流れを的確に捉えつつ、学校と家庭が手を取り合いながら、こどもたちが伸びる芽を信じて、未来を生きる力を最大限伸ばせるよう取組を進めてまいります。
以下、令和8年度の主要な施策について、教育プランで掲げる基本方針に即して、順次申し上げます。
基本方針1 未来を切り拓く力の育成
複雑化し、変化の激しい社会の中で生き抜くためには、確かな学力を身に付けることが大切です。こどもたちが社会の担い手として成長していけるよう、取組を行っていきます。
学校では、引き続き「主体的・対話的で深い学び」という視点から授業改善を進めるため、単元を通じて育成を目指す資質・能力を明確化し、その評価規準を設定するほか、系統性を押さえ、学習活動をバランスよく位置付ける単元計画を作成し、授業を実践していきます。また、この取組を広く教員間で理解を深めるため、教職員研修の充実を図り、授業研究を推進します。
引き続きAIドリルを活用した児童生徒の習熟度に応じた学習活動に取り組み、学力の底上げを図ります。
電子黒板を計画的に更新するほか、未配置の特別教室で活用する電子黒板を各校に増台配置します。また、学校がオンラインでも迅速・円滑にICT活用に向けた助言・支援を受けられる体制を構築するなど、児童生徒の学びが深まるよう、教職員へのサポート体制の充実を図り、授業改善を支えます。
東京都立杉並工科高等学校との連携協定に基づき、同校生徒が教師役を務める授業を花川北中学校で行い、また、本市生徒が首都圏を訪問する際は同校生徒が案内する交流事業を行うなど、石狩市ならではの資源や交流関係を活用して特色ある教育活動を推進します。
基本方針2 学校・家庭・地域の連携・協働による地域教育力の向上
家庭において適切な生活習慣や学習習慣を身に付けることが、教育活動の前提となることから、引き続き家庭教育の支援に取り組みます。加えて、学校以外でも学びの機会を提供することや、地域の特色を教育活動に反映することを目指し、学校・家庭・地域が一体となるよう地域全体の教育力の向上を図ります。
「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によると、全国・全道平均に比べ、本市の学習時間以外でのスマートフォンやパソコン等のデジタル機器の視聴時間は、長時間に及ぶ傾向が続いています。令和7年度より開始したスマートフォン依存改善プログラムの実施校を拡大し、児童生徒、保護者、教職員など、児童生徒に関わる全ての人がこの問題を自分事として捉えることで、児童生徒の自己管理能力を育む環境を家庭や学校と連携して整えるよう努めてまいります。
1人1台端末を適切に使い家庭学習をはじめとした補充学習にAIドリルを活用するなど、その充実を図ります。
市長部局と連携し、厚田・浜益地域における放課後の子どもの居場所づくりの取組を行い、学習支援や体験活動の充実を図っていきます。
コミュニティ・スクールに関しては、地域の特色を活かした独自の取組を行う協議会が増加しており、着実に地域全体の教育力が向上していることから、今後も学校運営協議会における熟議の促進と地域学校協働活動の一層の充実に向けて支援してまいります。
基本方針3 学びを繋げる学校づくり
学校施設を適切に整備し、安全・安心な学習環境を提供することが、教育活動の前提となります。令和7年度の小学校への冷房設備の整備に続き、令和8年度は中学校の普通教室等へ冷房設備を整備します。
市内の学校施設の多くは、建設から40年以上が経過しており、児童生徒が安全・快適に学校生活を送ることができるよう必要な改修を行っていく必要があります。紅南小学校の大規模改修工事に着手するほか、生振小学校の校舎及び体育館の屋上・外壁の改修工事や、花川中学校の校舎・体育館屋上改修工事、樽川中学校の体育館屋上改修工事を行います。
用途廃止となる浜益小・中学校、厚田給食センターについては、地域の安全や景観に配慮し、解体工事を行います。
小中の教育課程の接続を加速させるため、中学校区で授業を公開し、小中の教員間で情報共有を図る取組を進めるほか、多くの教職員が参加できるよう、参加機会の確保を図る仕組みを導入します。
教職員が担う業務の適正化を図り、働き方改革を更に進めるため、学校経営の改善を進め、学校組織マネジメントサイクルの充実に取り組みます。
部活動の地域展開・地域連携については、少子高齢化が進む中、生徒がスポーツや文化活動を継続する機会を確保することと合わせ、教職員の負担軽減を図るため、新たに部活動の拠点校方式の導入を進め、引き続き本市にふさわしいあり方を検討してまいります。
基本方針4 豊かな心と体の育成
変化の著しい社会を切り拓いていくために、人間関係を形成する力や社会性の育成、自己有用感や自己肯定感の醸成を、教育を通じて図っていくことが求められています。こどもの権利について学ぶ授業や教職員研修を継続し、理解の深化を図ります。
校則の見直しにあたっては、単なる校則の改定作業ではなく、児童生徒が主体的に関わる仕組みづくりをより一層進め、主体性や自己肯定感の向上、課題発見・解決能力などの社会的資質の発達を促します。
こどもの読書活動の推進のため、市内の認定こども園・保育園等と連携し、絵本の読み聞かせや貸出機会の充実、家庭での読書を促す啓発、職員向け研修などを通じて、幼少期からの読書習慣の定着と読書環境の向上に努めます。
今年度、1人1台端末を活用して蔵書の検索などができる「タブレット版図書検索システム」を市内小学校7校と電子書籍を市内全小中学校で導入しました。今後は、これらの活用促進を図り、紙とデジタル双方を活かしたハイブリッド学習環境を整備し、児童生徒の主体的・対話的な学びを支えるとともに、情報の収集、選択、活用能力を育成するため、学校司書による専門的な支援を行うなど学校図書館機能の向上に取り組みます。
音楽を通じて演者と参加者が感動を分かち合える機会を提供するため、市役所ロビーや市民図書館でミニコンサートを開催するほか、市民の日頃の活動の成果を発表する石狩市民文化祭、こどもたちの情操を育むプログラム「おしゃべランド」「あい風コンサート」「The Music」を開催します。
こどもたちの豊かな心を育むためには、健康な体が育まれていることが大切です。新体力テスト等の結果分析に基づく「体力向上プラン」を推進します。
令和7年度から実施しているフッ化物洗口を引き続き実施し、学童期の虫歯罹患率の改善を図ります。
健康な心と体には、適切な食事が不可欠です。開設から10年を迎える学校給食センターでは耐用年数を経過する設備を計画的に更新するほか、調理や配送業務を行う委託先と連携し、衛生管理や食の安全を重視した体制の充実を図り、こどもたちに安全・安心な給食を安定的に提供します。
物価高騰に伴う家計への影響を抑制するため、国や北海道の交付金を活用して、小学校の給食費を無償とするほか、中学校の給食費を現行水準に据え置きます。
基本方針5 学ぶ機会の保障
こども一人ひとりの教育的ニーズが多様化する中で、その資質を最大限育むための環境整備が求められています。
特別支援教育においては、教職員の専門性の向上が求められます。児童生徒の多様な教育ニーズに対応できるよう、引き続き、研修の充実や資質向上のための取組を進めていきます。
通常学級に在籍しながら、特別な指導を受けることができる通級指導教室を新たに紅南小学校に設置し、児童生徒の学習上・生活上の困難を改善・克服します。
本市の不登校児童生徒は、11年連続で増加しています。学校復帰などに向けたステップとして、教育支援センター「ふらっとくらぶ」を運営するほか、在籍する学級以外で、自分のペースで学習したり相談ができる場所である校内教育支援センターを、新たに石狩八幡小学校、生振小学校、石狩中学校に設置します。また、人に会うことに抵抗のある児童生徒に、安心できる居場所を提供することや孤立感・自己否定感を緩和することなどを目指し、北海道教育委員会が提供する仮想空間「メタバース」に参画することで、将来の社会的自立に向けた多様な学びを可能にします。
いじめや不登校の未然防止や早期発見、早期対応を一層進めるため、1人1台端末を活用した「心の健康観察」を実施するとともに、学校に配置するスクールカウンセラーの時間数を市費により拡充することや、学校とスクールソーシャルワーカーが連携を図ることで、学校の組織的な対応を支援します。また、児童生徒自身が自発的・主体的に自らを成長させることを目指す「発達支持的生徒指導」やSOSの出し方に関する教育を推進します。
基本方針6 学び合いを通じ、持続可能な地域社会づくり
文化・芸術には人々の感性を刺激し、情操を豊かにするとともに、人を動かす力があります。文化・芸術活動に生きがいや情熱をもって打ち込む方々が活動を通じて繋がり、そのエネルギーが地域コミュニティを活性化させ、やがてはまちづくり、人づくりへの原動力にもなると考えます。
市長部局で検討が進められている、まちなかふれあい拠点機能の検討に関して、文化ホールの実現に向けて連携を図ってまいります。
公民館や図書館などの社会教育施設は、生涯学習と交流の場を提供することで社会的包摂など社会的課題の解決のための役割を担う地域拠点でもあります。
歴史文化などをテーマとした講座を企画、開催し、学びを通して仲間の輪を広げる「いしかり市民カレッジ」を始め、資料館学芸員が日頃の調査・研究の成果を伝える「石狩大学博物学部」、デジタル化の進展により生じている情報や活用機会の格差といった社会的課題の解消を図り、誰もが社会の一員として主体的に参加できるよう、デジタルリテラシーの向上を目的とした公民館講座などを実施します。
また、より快適に公民館での活動ができるよう、今年度に引き続き冷房設備の整備を進めます。
築25年を経過した市民図書館は、誰もが安心して利用できる環境を整えるためにエレベーターの改修工事を行うほか、収蔵スペースの逼迫を解消し、貴重資料を適切に保管するための書架を増設します。
また、様々な世代にとってのリラックスできる場所として、親しみを持って来館してもらえるよう「図書館まつり」や「科学の祭典」を始め「大人の図書館Jazz Night」などの様々な催しを開催し、市制施行30年となる節目を市民とともにお祝いします。
これらの取組により、市民の生活の中に文化・芸術に触れることのできる環境を整え、その力を活かして人づくりを進める社会教育に取り組んでまいります。
基本方針7 ふるさといしかりを学ぶ機会の充実
いしかりの良さや魅力を知り、ふるさとへの誇りとふるさとを愛する心を育むため、今年度、新たに紅葉山33号遺跡出土の「漆塗り弓」を市指定文化財に指定しました。
次年度も引き続き、市指定文化財の展示会や講座、小学校でのふるさと学習を行うほか、石狩の歴史、文化、自然を題材としたテーマ展や野外講座、体験講座、旧石狩小学校円形校舎の公開などを実施します。
また、市内各所に分散している資料を旧石狩小学校に集約し適切な保存・管理を図るとともに、一般公開などの活用を視野に検討を進めます。
学校での見学学習や市民カレッジの講座等を通じて、様々な世代の市民が石狩の産業について学び、まちの魅力を再発見できる機会を提供するほか、学校と地域が双方向で支援し合う地域学校協働活動では、児童生徒と地域の方々とのふれあいの機会を創出し、ふるさとへの理解と愛着意識を育んでまいります。
図書館を使った調べる学習コンクールでは、ふるさと石狩への興味・関心をより深めることを目的として今年度新設した「いしかりっこ賞」について、学校とも連携しながら周知等を図り、より多くの児童生徒の参加につながるよう取り組みます。
むすび
令和8年度は、これまでの「全員が同じペースで同じ内容で学ぶ」という日本型教育の常識が、「個々の特性とデジタルの力を掛け合わせ、自らの手でキャリアを切り拓く」という新しい常識へと、「構造」から変わる1年になります。
「全員」を誰一人取り残さず、過去の知識を習得するだけではなく、予測不可能な未来を生き抜く自立した力を育むことに主眼を置き、「将来」から逆算した学びを進めることに加え、生徒の学びだけではなく、教員の働き方改革や地域連携を含め、教育に関わる全ての人が幸福になれる「持続可能な教育システム」への転換を目指し、市長部局とも緊密に連携し、教育行政を「愚直」に、誠心誠意執り進めてまいります。
市民の皆さま並びに市議会議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和8年度の教育行政執行方針といたします。
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このページに関するお問い合わせ
教育委員会学校教育部 総務企画課
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