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厚田の小説と本

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


厚田の小説と本

「厚田日記」

作:子母沢 寛

「函館戦争の敗残者、江戸の侍が、蝦夷石狩の厚田の村に、ひっそりと暮らしていた」という一節で始まる、「厚田日記」。祖父を主人公にして、そのなかで厚田の村を描いています。そして最後には、「こんな北の果ての漁村とは思われぬ豊かなところがあって、先住していたアイヌもいい人達ばかりであった」という思いをにじませて締めています。厚田への深い思いが感じられる作品です。

厚田日記の写真
厚田日記(北海道文学全集第四巻)

「南へ向いた丘」

作:子母沢 寛

「厚田日記」の姉妹篇。厚田の風土のなかで、七人の侍がひっそりと、しかしキビキビと生きていく様子がしっかりと描かれています。子母沢文学らしい、負け犬の開き直りと優しさの描写が印象的です。

「鰊場物語」

鰊場で生まれ育った著者が、大漁節もにぎやかだった鰊場の姿、親方や若い衆の生きざまなどを愛惜こめて描いています。とくに厚田が舞台というわけではありませんが、明治、大正、昭和と三代にわたって大規模な回遊をみせた鰊に沸いた漁場の様子からは、往時の厚田村をうかがうことができます。

「厚田村」

作:松山 善三

明治末期、北海凍る厚田で生まれ育ったヒロイン・セツの波乱の半生を描いた作品。「鰊きたる」の活気に満ちた情景描写や、必死に生きるセツと周辺の人々の懸命な姿が、深く心に刻まれます。
厚田村の写真
厚田村

「北海の女」

作:畑中 きい

著者の畑中さんが明治・大正・昭和と鰊場で生きた自分の一生を書いた本。とても健気な漁婦の姿が描かれています。この本の終わりに「北海の女」という歌詞が楽譜とともに掲載されていますが、この歌詞を読むと、「ヤン衆相手の荒波育ち」「鰊終われば昆布とり」など、「北海の女」である畑中きいさんの生涯をうたったものと思われます。主人公・漁場の女の一生を通して、厚田など鰊場として栄えた漁村の移り変わりが目に浮かぶようです。

「ルーラン」

作:河合 裸石

明治45年出版、裸石の名を一躍有名にした処女作。断崖絶壁の連なる秘境、日本海の荒波をのみ込む巨大な洞窟。ルーランの海岸と、その途中の濃昼(ごきびる)山道がいかにすごい魔境であるかをふんだんに盛り込んだ痛快本です。