ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 分類でさがす > しごとの情報 > 産業振興 > 指定管理 > 指定管理者制度に係る考え方

指定管理者制度に係る考え方

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新

【指定管理者制度に係る考え方】

1.指定管理者制度の意義
 近年、公的主体以外の民間主体においても十分なサービス提供能力が認められる主体が増加してきており、また、多様化した住民ニーズに効果的、効率的に対応するため、民間の事業者の有するノウハウを活用することが有効であると考えられるようになってきた。
 そこで、受託主体の公共性に着眼してきた従来の考え方を転換し、受託主体を法律上制限せずに、公の施設の目的を効果的に達成するため、必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に当該公の施設の管理を行わせることができることとした。
 この制度では、指定管理者は処分に該当する利用許可も行うことができ、その指定管理者の範囲にも制約がない。地方公共団体は管理権限の行使自体は行わず、設置者としての責任を果たす立場から、必要に応じて指示を行い、その指示に従わない場合等には指定の取消し等を行うことができることとなった。ただし、使用料の強制徴収、不服申し立てに関する決定、行政財産の目的外使用許可の権限はない。
  • 制度の導入の理由
     公の施設は、公共の利益のために多数の住民に対して均等に役務を提供することを目的として設置されるものであり、その適正な管理を確保することが必要なため、公の施設の管理受託者について、従来は、その受託主体の公共性に着目し、公共団体、公共的団体、政令で定める出資法人に委託を限定されていた。
     しかしながら近年では、集会スペース、福祉施設、体育施設など、公的主体以外の民間主体においても十分なサービス提供能力が認められる主体が増加しており、住民ニーズ自体が多様化していることなどから、これらにより効果的、効率的に対応するためには、民間の事業者の有するノウハウを活用することが有効と考えられ、公の施設の適正な管理の確保のため、受託主体の公共性に着目してきた従来の考え方を転換し、管理の受託主体を法律上制限することとせず、(1)住民の平等利用の確保や差別的取扱いの禁止を法律上直接に義務付ける、(2)管理を委ねる相手方の選定の手続を条例により定め、議会の議決を得る、(3)管理の基準を条例で定める、(4)指定管理者は、毎年度終了後、事業報告書を提出する、(5)地方公共団体の指示に従わないとき等には、指定の取消しができる、とした上で、その適正な管理を確保しつつ、住民サービスの質の向上にも寄与するよう指定管理者制度が導入された。
  • 管理委託制度と指定管理者制度の違い
     管理委託製度は、地方公共団体との契約に基づき、具体的な管理の事務又は事業の執行を行うものであり、当該公の施設の管理権限及び責任は、設置者の地方公共団体が引き続き有するものである。また、管理受託者となり得るものも地方公共団体が一定の出資をしている法人等に限定されており、具体的な管理委託者を条例において規定することが原則とされていた。
     一方、指定管理者制度は、公の施設の管理に関する権限を指定管理者に代行させるものであり、指定管理者は、行政処分に該当する使用許可も行なうことができることとなるとともに、指定管理者の範囲についても特段の制約を設けず、出資団体に限られない民間事業者も議会の議決を経て指定管理者となれるものである。この場合、設置者たる地方公共団体は管理権限の行使自体は行わず、指定管理者の管理権限の行使について、設置者としての責任を果たす立場から、必要に応じて指示等を行い、指示に従わない場合等には指定の取消し等を行うことができることとされている。
2.公の施設の利用拒否及び差別的取扱の禁止に関する事項
 公の施設の利用に関し、住民に対して不当に利用を拒否し、不平等な取扱いをすることは、地方自治法第244条第2項及び第3項により禁止されており、指定管理者が行う管理についても、当該規定の適用を受け、指定管理者がこれに違反した場合には、指定の取消し等の必要な措置が地方公共団体側に担保されている。
3.指定管理者による管理ができる場合
 公の施設の指定管理者による管理が認められるのは、「公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるとき」に限定されている。
 このことは、公の施設が「住民の福祉を増進することの目的をもってその利用に供するための施設」であることから、公の施設が指定管理者制度になることにより地方公共団体が自ら管理することよりも一層向上したサービスを住民が享受でき、ひいては住民の福祉が更に増進することとなる場合を指すとされる。
 また、指定管理者は、清掃、警備など個々具体的な業務を第三者に委託することは差し支えないが、管理に係る業務を一括して第三者へ委託することはできない。
  • 指定管理者による管理ができない場合
     道路法、河川法、学校教育法等、個別の法律において公の施設の管理主体が限定されている場合には、指定管理者制度を採ることができない。しかし、個別の法律において公の施設の管理主体が限定されていない場合は、法令上、指定管理者制度を採ることは可能である。ただし、その管理業務の範囲や職員の設置等について個別の法律において制約がある場合には、当該個別の法律の規定が地方自治法に優先することになる。

4.条例で定めるべき事項
  • 指定管理者の指定の手続(申請手続、選定基準、事業計画の提出等)
  • 指定管理者が行う管理の基準(休館日、開館時間、利用制限の要件等)
  • 業務の範囲(施設・設備の維持管理、個別の利用許可等)
  • その他必要な事項
     指定管理者の指定は、行政処分の一種であり契約ではない。地方自治法第234条の契約に関する規定の適用はなく、「入札」の対象ともならない。また、指定管理者による管理は、地方公共団体からの管理権限の委任により当該地方公共団体に代わって行うものであって、「請負」には当らないと解されるので、兼業禁止の規定は適用されない。しかし、指定管理者の選定は、公正を期さなければならないので、兼業禁止など適切な選定手続を定めて対応すべきである。
5.指定の期間
 指定管理者の指定は、期間を定めて行うものであるが、その施設の特質・性格を勘案して適宜定めることとなる。
6.議会の議決
 指定管理者を指定しようとするときは、あらかじめ議会に諮り、議会の議決を経ておかなければならない。この際議決すべき事項は
  • 指定管理者に指定を行わせようとする公の施設の名称
  • 指定管理者となる団体の名称及び位置
  • 指定の期間等
7.利用料金の制度
 この利用料金の制度は、公の施設の管理運営に当って管理受託者の自主的な経営努力を発揮しやすくし、また、地方公共団体及び管理受託者の会計事務の効率化を図るために創設されたものである。(地方自治法第244条の2第4項)通知 第5 公の施設に関する事項2 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、公の施設の管理受託者に公の施設の利用に係る料金(以下「利用料金」という。)を当該管理受託者の収入として収受させることができるものとされたこと(平成3年4月2日 自治行37 自治事務次官通知)
8.利用料金を定める者
  • 公益上必要があると認めるときは、地方公共団体の条例で定める。
  • 上記以外のときは、地方公共団体の条例で定める基準により、指定管理者が予め当該地方公共団体に承認を得て定める。
9.必要経費の支出方法
 指定管理者が管理を行うために必要な経費は
  • すべて設置者たる地方公共団体からの支出金で賄う
  • すべて利用料金で賄う
  • 一部を地方公共団体からの支出金で、残りを利用料金で賄う という三つの選択肢があることになる。

10.監査委員等による監査
 監査委員は、指定管理者制度により管理運営している公の施設について、出納、その他事務の執行が適性かつ効率的に行われているか監査することができる。 なお、この監査では、指定管理者の管理業務そのものは対象とならないが、地方公共団体の事務を監査するのに必要があれば、指定管理者に出頭を求め、調査し、又は帳簿書類その他の記録の提出を求めることができる。また、地方自治法第98条の規定により、議会から監査委員、又は個別外部監査人に対し地方公共団体の事務に関する監査の求めがあった場合においても同様に可能である。
11.不服申立て
 公の施設を利用する権利に関する処分についての申立てについて、住民は、指定管理者の利用許可処分に不服がある場合には、当該地方公共団体の長に対して審査請求をすることができる