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令和2年度教育行政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月25日更新

 

令和2年度教育行政執行方針

 

 令和2年度 教育行政執行方針
 令和2年2月25日(火曜日)
 令和2年第1回石狩市議会定例会

 令和2年第1回市議会定例会の開会に当たり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要を申し上げます。

はじめに  

 いよいよ新年度から、新しい小学校学習指導要領が施行されます。新要領では特に前文が置かれ、これからの学校が目指すべき児童育成の方向性が示されております。「自己肯定感」「他者の尊重」「協働」そして「社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となり得るようにする」ことであります。情報と知識がグローバルに、そして瞬時に行き交う一方で、日本では少子高齢化と人口減少が急速に進む今日、私たちは、誰でも否応なしに、多様化する社会の中で変化の波をくぐり続けて行かなければなりません。受け身ではなく、主体的・能動的に変化に向き合おうとする姿勢が大切になります。このように考えるなら、新学習指導要領が示す方向性は、子どもたちだけでなく、全ての現代人が生涯を通して目指すべき人格形成の姿と重なるとも言えるでしょう。

 教育委員会は、子どもたちはもとより、全ての市民が生涯にわたって質の高い学びを重ね、それぞれの成長に向けチャレンジすることができる環境を、この石狩市でしっかりと整備していくため、学校、家庭、地域と連携しつつ、鋭意取り組んでまいります。

 こうした認識は、新年度スタートの次期教育プランでも共有し、本市教育の基本理念に「可能性への挑戦」を加えるべく最終調整を進めているところであります。以下、新年度の重点的な施策について、新プランの柱立てに即して、順次申し述べます。

目標1 自ら学ぶ意欲をもって、主体的に社会に関わり、新しい時代を生きる力を育てる

(新しい社会で生きる力の育成)   

 新学習指導要領の趣旨を踏まえ、確かな学力の育成のため、「基礎的・基本的な知識及び技能の習得」「個に応じた指導の充実」「言語活動の充実」「学習習慣の確立」の4点を念頭に、全ての学習の基盤となる国語において、「正確に理解し適切に表現する資質・能力」を着実に身に付け、外国語教育や理数教育などの充実につなげます。また、小学校5教科の指導者用デジタル教科書導入や、エキスパート・サポーターの増員などで「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を進めるとともに、「学力の1校1プラン」の実施により、基礎学力の定着を一層確かにするよう努めます。

 特別支援教育については、一人ひとりのニーズに応じた途切れのない一貫した教育支援や、高い専門性に基づく特別支援教育の推進を図るため、小学校の通級指導教室増設を検討するほか、就学前からの教育相談の実施や、「個別の教育支援計画」の充実、特別支援教育支援員の適切な配置など、よりきめ細やかな支援を行います。

 小学校5・6学年で教科化される外国語教育については、これまで小学校外国語活動巡回指導教員を配置し、学級担任とのティーム・ティーチングや模範授業、教員研修の企画や教員への指導助言等により、小学校教員の外国語活動等の指導力と英語力の向上に努めてまいりました。新年度は、その成果を授業で発揮していくとともに、外国語を用いて主体的にコミュニケートする態度の育成と、英会話に繰り返し挑戦できる機会の拡充を図るため、外国語指導助手(ALT)を各学校に配置し、言語モデルの提示や、児童生徒との会話、母国の言語や文化についての情報提供など、生きた外国語を学ぶ機会を充実します。

 このほか、教育の情報化と情報活用能力の育成を図るため、電子黒板をはじめとするICT機器の整備拡充を行うとともに、これまでの先行実践の成果を活かしてプログラミング教育を教科横断的な視点から教育課程に位置付け、情報モラルや情報手段の基本的な操作技能なども含めたトータルな情報活用能力を育成する中で、プログラミング的思考の育成を図ります。

 また、石狩小学校と八幡小学校の統合により開校する石狩八幡小学校では、SDGsも強く意識しつつ、郷土の歴史と地域の特性を活かした「ふるさと教育」を進め、同じく4月に本市初の義務教育学校として開校する厚田学園では、乗り入れ授業を行うなどその特色を最大限活かしながら9年間の学びをつなぎ、夢と自信を持ち、可能性に挑戦する児童生徒の育成を目標に、地域と学校が一体となってふるさと厚田を愛する心を醸成する教育を進めます。

(学びを支える家庭・地域との連携・協働の推進) 

 家庭教育支援を充実させるため、子育てに不安や悩みを持つ保護者のサポートに、市長部局と連携しながら引き続き取り組むほか、中学校の試験期間に合わせて小学校の家庭学習強化週間を設定するなど、家庭学習時間や生活規律等の小中連携を継続します。また、「いしかりふれあいDAY」や「生活リズムチェックシート」を引き続き活用し、基本的な生活習慣の定着を図ります。

 学びのセーフティネットの構築については、就学援助などによる経済的支援を進めるほか、生活困窮等を要因とした学習面での支援ニーズへの対応や補充学習の充実、スクールソーシャルワーカーと家庭生活支援員による教育と福祉が連携した支援を継続して進めます。

学びをつなぐ学校づくり 

 これまでの、地域が学校を支援するという考え方からさらに一歩進めて、義務教育の9年間で目指す子ども像を地域、保護者と学校が共有し、これらの協働により学校づくりを進めるコミュニティ・スクールが新年度からスタートします。まずは石狩八幡小学校と厚田学園の2校に導入し、その成果や検証をもって令和3年度に市内全校で一斉に導入できるよう取り進めます。

 また、南線小学校と紅南小学校のトイレの洋式化や花川南中学校の体育館床面の改修を行うほか、老朽化が進んだ校舎の長寿命化計画を作成し、将来を見据えた改修・整備を図ります。

 このほか、幼児期の学びと育ちを児童期の教育につなげるため各校で策定するスタートカリキュラムの実効性向上や、同一中学校区内の小学校と中学校の教育目標の要素を共有化するなど、幼児期から中学校段階までを見通した教育を進めます。

 教員の長時間勤務の解消に向けては、専門スタッフ等の配置やICT機器を活用した教材の共有化等による授業準備等の支援、校務支援システムによる勤務時間の管理のほか、「時間外勤務時間の縮減」「部活動休養日の実施」「定時退勤日・学校閉庁日の設定」などについて、引き続き「石狩市立学校における働き方改革推進計画」に基づき取り組み、教員が本来担うべき業務に専念できる環境の整備に努めます。

目標2 思いやりと豊かな心・健やかな体をもって、多様な人々と共に支え合う人を育てる

(健やかな成長を促す取組の推進)   

 特別の教科として位置付けられた道徳科を基軸とした豊かな心の育成、人権を尊重した教育による他者を思いやる心の育成のほか、地域の様々な人々との交流や体験活動などを通して、自己肯定感や自尊感情を醸成します。さらに、保護者等に道徳科の授業を公開し、家庭や地域との連携を図ります。

 豊かな人間性を育む上で読書は大切です。ブックスタートや家読(うちどく)など本との出会いをサポートするとともに、学校図書館の充実を図るため、学校司書の配置・派遣により適切な蔵書構築を行うなど、読書に親しみ、ものの見方・感じ方・考え方を広げ、深める活動を継続して進めます。

 いじめの防止や不登校児童生徒への支援については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用した教育相談体制の充実、ふらっとくらぶによる支援など、未然防止と早期発見・早期対応を進めます。

  本市の小中学生の体力・運動能力は向上傾向にありますが、この傾向をさらに定着させるため、「体力の1校1プラン」や新体力テストの活用を継続します。

 また、関係機関と連携した健康教育や栄養教諭を中心とした食に関する指導により、健康な食生活に対する児童生徒の関心を高めるほか、学校給食センターでは、石狩産食材のより一層の活用も意識しながら安心安全な学校給食を提供するとともに、大人を対象とした食育講座を開催し、本市食育の拠点としての役割も果たしてまいります。

目標3 ふるさとへの愛着をもち、幅広い視野で新しい価値を創造し、活躍する人を育てる

(学びを活かす地域社会の実現)

 市民一人ひとりの学びへの意欲を喚起し、潤いのある生活と活力ある地域づくりを推進するため、多くの市民が集い、生涯にわたる主体的で多様な学びを実践する「いしかり市民カレッジ」との協働、市内文化振興に取り組む「石狩市文化協会」への支援のほか、「シニアプラザはまなす学園」や「古老の話を聞く会」など市が主催する事業の内容充実に努めます。

 また、社会教育支援スタッフの確保と育成を継続するほか、老朽化している公民館については、改修や移転など様々な手法を引き続き検討し、最も適切な対策を見いだすよう努めます。

 開館20周年を迎える市民図書館では、図書館まつりや科学の祭典をはじめ、市民とともに歩んできた足跡を記念するイベントや講演会を開催するとともに、新年度スタートの次期石狩市民図書館ビジョンと子どもの読書活動推進計画に基づく施策を着実に進め、これからも幅広く多くの市民に愛される図書館を目指します。

(ふるさとを学ぶ機会の充実)

 将来、様々なステージで活躍する子どもたちが、ふるさと石狩への愛着と誇りを持つことができるように、総合的な学習の時間の活用やテーマ展、体験講座、野外講座などの開催により、ふるさとを学ぶ機会の充実を図ります。また、資料館や道の駅の情報コーナーを活用した情報発信を引き続き進めるほか、道内最古の円形校舎を有する石狩小学校の今後の活用を見据え、将来収蔵すべき資料の分類整理に着手します。

むすび 

 教育は、人づくりです。一人ひとりの市民が、個人の資質・能力を最大限伸長し、他者と協働し、自らの感性や創造性を発揮しつつ、新しい価値を創造する、その契機を提供することが教育の役割です。そしてそのような市民が育つということは、本市が、さまざまな課題を乗り越え、まちの未来を切り拓いていくために欠かせない基盤を築くことにつながると言えるのではないでしょうか。新年度におきましても、市長部局と緊密に連携しながら、各般の教育施策に全力で取り組むことを通して、現在そして将来における、より良い石狩市づくりに貢献してまいりたいと存じます。

 市民並びに市議会議員の皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、令和2年度の教育行政執行方針といたします。