石狩浜のすぐれた自然

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ページID 1003823  更新日 2025年3月17日

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石狩海岸は、北海道自然環境保全指針(1989年策定)における「すぐれた自然地域」に抽出されるとともに、各地で自然海岸が減少、消失した現在、大規模な自然砂浜海岸として、全国的にも希少な存在となっています。また、背後に大都市札幌を控え数多くの人が訪れる中、海浜特有の豊かな自然環境が残る海岸として、レクリエーションの他、海・海辺の自然を学ぶ場としても大変貴重な存在です。
ここでは、石狩浜の「すぐれた自然」を代表する要素を紹介します。

「海岸砂丘」という地形

石狩海岸は、小樽市銭函から石狩川河口をはさみ、石狩市厚田区無煙浜まで延長約25kmにわたって連なる「海岸砂丘」という地形です。石狩川から海に運ばれた砂が、北西の季節風によって陸側へ寄せられることでできたこの海岸砂丘は「石狩砂丘」と呼ばれ、日本の地形レッドデータブック第1集(1994,日本の地形レッドデータブック作成委員会)では、「日本の地形を代表する典型的かつ希少、貴重な地形」に準じ、「地形学の教育、研究において重要な注目すべき地形とされて、今後保全を怠り破壊が継続されれば消滅が危惧される」とされています。

イラスト:海岸砂丘

海から内陸への連続性

砂浜海岸は本来、海からの距離に応じて和らいでいく環境条件に対応して、植生の帯状構造(ゾーネーション)が見られ、海から内陸へ連続的に植生が変化していきます。しかし、全国各地の砂浜海岸で、護岸・堤防建設、植林等により、本来の植生の連続性が断ち切られています。石狩海岸は、砂浜海岸本来の植生の連続性が大規模に残る全国的にも希少な自然海岸です。

イラスト:海から内陸への連続性

カシワの天然生海岸林

小樽市銭函から厚田区聚富まで、延長約20km最大幅約500m以上のカシワの天然生海岸林は、日本最大規模。環境省が選定する「特定植物群落」のうち、郷土景観を代表する植物群落であり、人為的影響により極端に少なくなる恐れがある群落とされている。
カシワは、厳しい海岸砂丘の環境に適応した樹種で、東北から北海道の天然生海岸林を代表する樹種。

イラスト:カシワの天然海岸林


写真:開葉と開花
5月、開葉と開花
写真:風衝樹形
風に耐える風衝樹形
写真:実り
9月、実り
写真:冬のカシワ
冬、葉を落とさない

写真:オオミドリシジミ
ゼフィルスと呼ばれるミドリシジミの仲間が多数生息。カシワの葉を食草とする絶滅危惧種カシワアカシジミ(キタアカシジミ)も生息。(写真はオオミドリシジミ)
写真:キタホウネンエビ
キタホウネンエビ
日本固有種で石狩海岸と青森県下北半島の一部のみに生息。カシワ林の中に春から初夏にかけてできる融雪プールに生息。孵化、成長、繁殖。夏から冬にかけて、乾燥に耐える卵で過ごす。

大規模な海浜植物群落

全国35,000kmの海岸線のうち自然の砂浜海岸は約10.5%(第5回自然環境保全基礎調査(1998,環境省)より)。
全国1308か所の砂浜海岸のうち、人工物のない海岸は8.8%(植物群落から見た海岸白書(2008,財団法人日本自然保護協会発行)より)。全国各地の砂浜海岸で、護岸、堤防建設、内陸からの耕地や宅地の拡大等により、本来の自然海浜の姿が失われたとされています。
「植物群落レッドデータ・ブック」(1996,財団法人日本自然保護協会・WWF-JAPN発行)では、「海浜草本群落」は特に危機に瀕している」群落として掲載されています。

写真:テンキグサ・コウボウムギ
テンキグサ・コウボウムギ群落
写真:ハマナス
ハマナスの群生

写真:ハマボウフウ
ハマボウフウの群生
写真:ハマヒルガオ
ハマヒルガオの群生
写真:ハマエンドウ
ハマエンドウの群生
写真:ハマナス・ミヤマアキノキリンソウ
ハマナス・ミヤマアキノキリンソウの混生

野鳥の繁殖地・中継地

広大な海岸草原は、春から夏にかけて、草原性の野鳥の繁殖地となっています。

写真:草原性の野鳥1
ノビタキ
写真:草原性の野鳥2
ノゴマ
写真:草原性の野鳥3
ホオアカ

生物豊富な長大な砂浜・渚は、春と秋、北から南へ移動する渡り鳥が羽を休める場所となっています。

写真:渡り鳥1
ホウロクシギ
写真:渡り鳥2
アオアシシギ
写真:渡り鳥3
ハマシギ

多数の絶滅危惧種

複数の絶滅危惧種の生息・生育の場となっています。以下の添付ファイルもご覧下さい。

植物

  • イソスミレ(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定希少種(R))
  • ハマハナヤスリ(北海道指定希少種(R))
  • エゾナミキ(環境省指定絶滅危惧IB類(En))
  • ヤマシャクヤク(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定希少種(R))
  • ベニバナヤマシャクヤク(環境省指定絶滅危惧IB類(En)、北海道指定危惧種種(En))

野鳥

  • オオワシ(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定絶滅危惧種(En)、天然記念物)
  • オジロワシ(環境省指定絶滅危惧1B類、北海道指定危惧種種(En)、天然記念物)
  • ハヤブサ(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定絶滅危急種(Vu))
  • チュウヒ(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定絶滅危急種(Vu))

その他

  • イソコモリグモ(環境省指定絶滅危惧2類(VU))
  • アカダマスッポンダケ(環境省指定絶滅危惧1類)
  • スナヨコバイ(環境省指定準絶滅危惧 (NT)、北海道指定希少種(R))
  • ニッポンハナダカバチ(環境省指定絶滅危惧2類(VU)、北海道指定留意種(N))

海浜生態系・生物多様性

海浜植物群落を基盤とし、海と陸を結ぶ生命のつながりが石狩浜では見られます。

イラスト:海辺特有の生態系・生物多様性

私たちが受ける恩恵

砂丘の植物は海岸の厳しい環境を和らげます。
天然の防波堤として、高波などから背後を守ります。
すぐれた景観と快適なレクリエーションの場を提供します。

イラスト:私たちが受ける恩恵
海から離れるにつれて、風、飛砂、塩分、乾燥等の厳しい環境は和らいでいく。

写真:天然の防波堤
海浜植物の根は天然の防波堤
写真:レクリエーションの場
快適なレクリエーションの場

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このページに関するお問い合わせ

環境市民部 石狩浜海浜植物保護センター
〒061-3372 北海道石狩市弁天町48番地1
電話:0133-60-6107 ファクス:0133-60-6146
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。