ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織・課名でさがす > 文化財課 > 石狩紅葉山49号遺跡/2000

石狩紅葉山49号遺跡/2000

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


日本最古のサケ捕獲施設

北海道石狩市・石狩紅葉山49号遺跡速報
(平成12年8月24日作成)
(平成14年6月28日修正)

石狩紅葉山49号遺跡で発見!

発見されたサケ捕獲施設の一部の写真

発見されたサケ捕獲施設の一部

ふるくから「鮭の町イシカリ」として知られる北海道石狩市の石狩紅葉山(もみじやま)49号遺跡で、縄文時代中期(約4,000年前)の川の跡から、日本最古のサケを捕獲するための施設が発見されました。
このような遺構は全国的にもほとんど例がなく、周辺からは「銛(もり)」を含む木製品も発見されていることから、当時の生活を知るうえで画期的な発見です。
サケ捕獲施設の想像図1 

これがサケ捕獲施設です

サケ捕獲施設の想像図2

2ヶ所で見つかったサケ捕獲施設のうち下流のものは、昨年発見された杭列とあわせて、幅20メートルにわたり20から50センチ間隔で打ち込まれた杭の列と、これに付属する「ドウ」とみられる仕掛けです。杭の長さは約90センチあります。「ドウ」は、杭を周囲に打ち込み、その中に太さ2センチほどの枝を使った仕掛けを置いています。
上流では、太さ10センチ以上、長さ130センチを越える杭が打ち込まれています(写真下)。杭はだいたい2列になっており、「コ」の字型に横木でつながっているようです。この2つの施設はほぼ同じ時期に作られたものと考えられ、セットで機能していたのではないかと考えられます。なお、昨年の調査では川の流路に直交する倒木に沿って打ち込まれた杭列を発見し、護岸などの土木工事の跡ではないかと推定して「河川遺構」と名づけました。しかし、今年の杭列と連続することから、これもサケ捕獲施設の一部であることがわかりました。このような魚を誘導する定置の装置を「エリ」といいます。
出土した「エリ」の写真  出土した「ドウ」とみられる写真

こんなものが出土しています

木製の銛(もり)
長さ2メートル、直径3センチ前後の丸木の先端を尖らせています。その大きさから、サケやマスのような大型の魚を捕るのに使われていたようです。
木製の銛(もり)の写真
櫂(かい)
丸木舟の櫂だと考えられます。先端はヘラのように細長く、反り返っており、柄は途中で折れています。裏には小さなコブ状の突起があります。道内では縄文時代の櫂の出土は初めてです。
丸木舟の櫂(かい)の写真
木棒(もくぼう)
用途はよくわかっていません。石棒に似て、片側に方形の作り出しを設け、反対側を尖らせた棒状の木製品です。太い材を割り、それから全体を削りだしており、ていねいな作りとなっています。
木棒(もくぼう)の写真
環状木製品
木のツルを円形に丸めたものです。直径約15センチのもの1点と5センチのもの2点、計3点が出土しています。用途はよくわかりませんが、装飾品か、おもちゃのようなものだったのかもしれません。
環状木製品の写真 

わかったこと

縄文時代にサケが捕獲されていたことは、出土する魚骨から知られていましたが、捕獲施設については発見例がなく、どのような捕獲方法をとっていたのか、わかっていませんでした。今回の発見で、約4,000年前の縄文時代中期にはすでに定置の捕獲施設がつくられ、盛んにサケが捕獲されていたことがわかりました。
また、木製の銛が同時に出土したのも初めてです。捕獲施設と銛がセットで出土したことから、捕獲施設で集めたサケを、銛で突いて捕る漁法が用いられていることもわかりました。

これからの課題

紅葉山49号遺跡の発掘調査は現在も継続中です。上流部の施設はまだ全体像がつかめていません。杭がどこまで続くのか、どのような配列になるのかが明らかになるのはこれからです。
上流部の施設と下流部の施設の間に何があるのか、という点も気になります。想像図では丸木舟を描きましたが、ほかにも木製の器など、当時の生活用具が発見されるかもしれません。
さらに縄文人は、このような規模の大きな施設をどのように建設し、どのように維持していったのでしょうか。紅葉山49号遺跡の調査によって、縄文人の生活や社会が、より明らかになることでしょう。

紅葉山49号遺跡とは?

石狩市紅葉山49号遺跡は、約5,000年前の海岸砂丘である紅葉山砂丘の内陸側にある遺跡です。砂丘から発寒川の氾濫原にかけて広がっています。
北海道と石狩市の位置関係の地図  紅葉山49号遺跡の地図
発掘調査は平成7年から始まりました。これまで(※平成12年8月現在)約15,000平方メートルを調査し、縄文時代前期、中期、続縄文時代、擦文時代、近世の各時代の遺構や土器・石器、木製品などの遺物約8万点が出土しており、復元された土器は240個にのぼります。このほか、縄文時代の住居などからクマ、シカなどの獣骨やサケ類、ウグイ科の魚骨が発見されています。
発掘調査の様子
今回、低地の氾濫原で「サケ捕獲遺構」が発見されましたが、砂丘上では、縄文時代の住居跡、石器埋納遺構、続縄文時代の墓、擦文時代の住居跡などが発見されています。