結核・呼吸器感染症について
9月24日~30日は結核・呼吸器感染症予防週間です
厚生労働省は、毎年9月24日から30日までを「結核予防週間」と定めて、結核予防に関する普及啓発を行うこととしています。
結核は現在でも全国で年間約1万人以上、北海道でも年間数百人の新しい患者が発生しています。また、結核によって全国で年間1,500人以上が命を落としています。結核は決して過去の病気ではなく、日本ではいまだに主要な感染症の一つです。
結核は予防することもでき、また、感染しても早期発見・きちんと治療をすれば治る病気でもあります。
早期発見は重症化を防ぐだけではなく、周囲の人への感染予防にもなります。結核についての正しい知識を持ち、定期的な健康診断を受けることが結核の根絶につながります。
それに加えて今般、新型コロナウイルス感染症をはじめとした呼吸器感染症の脅威が再認識されており、基本的感染対策や予防接種の重要性等、呼吸器感染症に関する知識の普及啓発を図るため、令和6年度から「結核予防週間」に加え、「呼吸器感染症予防週間」が新設されました。
呼吸器感染症対策の基本は、「手洗い」や「マスクの着用を含む咳エチケット」です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前など、こまめに手を洗いましょう。また、感染を拡げないために、咳やくしゃみをするときにはマスク、ティッシュ、ハンカチ、袖などで鼻と口を覆いましょう。
結核のいま
結核はかつて「国民病」「亡国病」として恐れられており、1950年(昭和25年)頃までは死亡率1位の病気でした。その後、公衆衛生の向上、治療薬の進歩などによって患者数は減少の一途をたどりましたが、いまだに新登録結核患者数が年間1万人を超えており、1,500人以上が命を落としている日本の主要な感染症です。
2023年は結核罹患率(新たに結核患者として登録された人の割合、人口10万人対)が8.1(患者数10,096人)となり、前年度に引き続き「低まん延国」の水準となりました。他の先進国の水準に近づき、近隣アジア諸国に比べると低い水準にあります。
結核とは?
「結核菌」という細菌が体の中に入り込み、増殖することで様々な症状を引き起こします。
日本の結核の8割は肺結核です。肺結核は、菌が肺の中で増殖し結核特有の炎症が起こり、続いて肺が破壊されていき、呼吸困難を引き起こします。
結核は肺以外の場所でも炎症を引き起こす場合があり、肺外結核と呼ばれ、胸膜・咽頭・腸・腎臓・骨・皮膚等にまで拡がることがあり、脳に病巣を作った場合は適切な治療が遅れると、3分の1近くが命を落とし、治っても高い確率で脳に重い後遺症が残ってしまいます。
咳が止まらない |
痰が増えた |
体がだるい |
胸が痛い |
初期の症状は風邪と似ており、咳、痰、発熱などの症状が長く続きます。また、体重が減る、食欲がなくなる、寝汗をかくなどの症状が出ることがあります。悪化すると、息切れ、喀血や呼吸困難で死に至ることもあります。早期発見・早期治療が必要なため、また、他の人への感染を防ぐためにも上記のような症状が続く場合には早めに病院を受診しましょう。
どの病院にかかればいいのか分からない場合は、最寄りの保健所に相談しましょう。
【厚生労働省ホームページ】保健所管轄区域案内(別ウィンドウで表示)
結核「感染」と「発病」
結核における「感染」と「発病」は違う意味を持ちます。
多くの人(8~9割)の場合は、結核菌が体の中に入り込んで「感染」したとしても、免疫によって菌を抑え込むことができる(菌が休眠状態に入る)ので、ほかの人にうつすこともなく、また一生「発病」しません。
「発病」とは、病気やストレス等の原因で免疫力が低下し、体に入ってきた菌、または(感染から数年~数十年経っていても)体の中で眠っていた菌が再び活動を始め、増殖し、病巣を作ることをいいます。
「発病」した人の症状が悪化し、咳やくしゃみの飛沫に菌が混じり始める(排菌する)と、ほかの人にうつす可能性があります。結核菌は紫外線に弱く、発病した人の咳やくしゃみから排出された空気中の菌も、早くほかの人に吸い込まれないと日光の中の紫外線に殺されてしまうので、結核は親しい人や家族に感染することが多いのです。先に述べた通り、結核は空気感染のため、発病した人の物や食べ物、洋服等からほかの方に感染することはありません。また、特別に消毒なども必要ありません。
結核の感染を防ぐためにはマスク着用、咳エチケットの徹底、こまめな換気、日光(紫外線)殺菌が重要になります。また、普段から免疫力が低下しないように、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動をするなど、規則正しい生活を心がけましょう。
予防接種について(BCGワクチンとは)
BCGは結核を予防するワクチンの通称であり、このワクチンを開発したフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字をとったものです。本来牛に感染するウシ型結核菌の毒性を時間をかけて弱めたものであり、結核菌が後から体に入ってきたときに備えて免疫をつけることを目的としております。
BCGワクチンについてさらに詳しい内容を知りたい方は以下のページをご覧ください。
【厚生労働省ホームページ】結核とBCGワクチンに関するQ&A(別ウィンドウで表示)
結核は乳幼児が感染すると重症化することが多く、命を落とす危険性もあります。BCG接種は、結核の発病や重症化を防ぐための免疫をつける重要な予防接種で、特に子どもの結核予防に有効です。このため、1歳未満の時期に予防接種を受けることが重要です。(標準的な接種は生後5~8カ月未満に1回)
【国立感染症研究所】予防接種スケジュール(別ウィンドウで表示)
石狩市では、この時期の乳幼児へのBCGワクチンの予防接種は公費負担で受けられますので、以下の子育て推進部子ども政策課のページをご確認ください。
健康診断(検診)を受けましょう
結核は早期発見すれば薬の効きも良く、早く治ります。また、ほかの人への感染を防ぐためにも、定期的にきちんと健康診断を受けましょう。
石狩市では、市に住民票があり、職場などで健康診査を受ける機会のない方(自営業、主婦、退職者などの方)を対象に検診を実施しており、結核検診(または肺がん検査)を受けられます。
詳細は以下のページよりご確認ください。
※風邪のような症状がある、自覚症状がある、または少しでも気になる症状がある方は検診を待たずに専門医を受診して下さい。
結核関連情報
【厚生労働省ホームページ】結核(BCGワクチン)(別ウィンドウで表示)
【厚生労働省ホームページ】2022年 結核登録者情報調査年報集計結果について(別ウィンドウで表示)
【北海道感染症情報センターホームページ】結核(別ウィンドウで表示)
【国立感染症研究所ホームページ】結核とは(別ウィンドウで表示)