いしかり博物誌/第63回
第63回 石狩浜から世界が見える
昨秋、浜辺で瓶を拾いました。
2004年は、数多くの台風が日本列島を襲いました。石狩浜でもそのたびに大波が打ち寄せましたが、そんな次の日には、浜辺にはいろいろな物が打ち上げられて残っています。貝殻、流木など自然のものから、漁具や100円ライターのような人工のものまで、さまざまな物がありますが、中でも目立つのが、ペットボトルやガラス瓶などの容器です。そのほとんどは見なれたジュースやお茶、ドリンク剤などのものですが、よく見ると、ときどき見なれないものを目にします。外国の瓶です。
昨年いくつめかの大きな台風が過ぎ去った後、石狩浜海水浴場から石狩湾新港まで歩いてみました。確かに、ボトルがたくさん漂着しています。大半は日本のものですが、外国のものもかなり混じっています。外国と言っても、英語が書かれた瓶はありません。ほとんどがロシア文字か、ハングル文字が書かれたものでした。異国の川や海岸から流れてきたのか、船上から捨てられたのか。どちらにしても、エボシガイが付着している瓶も多く見られることから、ある程度長い間、海上を漂っていたことがうかがえます。
ロシアの瓶で多いのは、やはりВОДКА(ウォッカ)やПИВО(ビール)。ハングル(主に韓国?)のものは、ドリンク剤らしきものが目立ちます。飲み物だけではなく、以前には、ちょっと危険なものを見つけたこともありました。H2O2(過酸化水素)と書かれたポリタンクです。過酸化水素は、ごく薄いものはオキシドールとして知られる消毒薬として使われていますが、濃いものは強い酸化力を持ち、有機物を分解してしまう劇薬です。
そんな恐い物もたまにはありますが、他にもフランスやオランダのポリ容器など、いろんな国から漂着物がやってきます。石狩浜は、世界につながっているのです。台風通過後だけでなく、強い季節風が吹きつける冬の時期も、世界各地からの「たより」を見つけるチャンスです。




(志賀健司 広報いしかり2005年2月号掲載)
このページに関するお問い合わせ
教育委員会社会教育部 文化財課
〒061-3372 北海道石狩市弁天町30番地4
電話:0133-62-3711 ファクス:0133-77-5011
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。