いしかり博物誌/第41回
第41回身近に暮らす野生動物たち フィールドサインが教えてくれること
冬の野山では、野生動物たちのフィールドサインをたくさん見つけることができます。「フィールドサイン」とは、動物たちの足跡や糞、食痕(しょくこん)などのことです。真っ白い雪のキャンバスの上に残されたこれらは、私たちの身のまわりにどんな動物たちが暮らしているのかを教えてくれます。
市北東部の高岡五の沢方面には、森林が広がります。冬に、この一角へ足を踏み入れてみると、さまざまなフィールドサインに出会います。エゾユキウサギの足跡が縦横無尽に行き来し、木の枝の食痕や糞がところどころに見つかります。木の根元にぽっかり空いた雪の穴からは、ネズミが出入りしているのでしょう。足跡が穴から穴へ続き、木の根元を渡り歩いている様子がわかります。
さて、住宅が建ち並ぶ花川地区の周りには、果たして動物たちは暮らしているのでしょうか。



紅葉山砂丘の一角をのぞいてみましょう。すぐに見つかるのが、キタキツネの足跡です。キツネは住宅地の中でも時折姿を見ることがあります。街の環境に比較的適応しやすいのです。さて、Y字型(写真1)に印された足跡、そして、四角形(写真2)に印された足跡。
これは、誰のものでしょうか。ノウサギ(エゾユキウサギ)とエゾリスです。住宅地からあまり離れていないこの場所にノウサギやエゾリスがいるとは気がつきませんでした。普段、天敵から身を守るため、身を隠して暮らしているので、草木の茂る季節にはめったに見つけることはできません。しかし、それらの動物がいることを確認できたのは、雪のキャンバスのおかげです。
花川地区では、防風林や紅葉山砂丘が緑の回廊となって、野生動物たちの生活を支えているのでしょうか。
時に動物たちは、死がいとして、私たちにその存在を知らせてくれます。エゾトガリネズミ、エゾアカネズミ、シマリスは、死がいが見つかったことで、それぞれ石狩浜、花川南防風林、五の沢地域に生息していることがわかるのです。
住宅地から山地まで、さまざまな環境が広がる石狩市。姿形は見えなくてもどこにどんな動物が生活しているのか、フィールドサインから手軽に知ることができます。みなさんも探しに行ってみませんか?
(石狩浜海浜植物保護センター/前野華子)


※写真2、エゾユキウサギの写真は、北海道の野生動物(北海道新聞社)より引用
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