いしかり博物誌/第39回
第39回知津狩川の源流をさがせ!
大河の水も最初は一滴から。石狩川の源流は大雪山系のどこなのか、いまだに議論が続いているようですが、それでは石狩市内に源流を持つ川はあるのでしょうか。
石狩市北辺、厚田村との境界線上を流れる「知津狩川」は、石狩市最北端の阿蘇岩山中腹から五の沢から高岡の水田地帯を流れ、石狩川の河口近くに注ぐ川です。全長およそ十数キロ。小さい川ですが、48市町村を通り抜けてくる石狩川よりも、こちらの方が「石狩の川」という感じがしませんか?地形図をよく見ると、どうやら市内に源流がありそうです。
知津狩川の最初の一滴はどこから?その答を求めて上流部に入ってみました。
川の流れは田畑の広がる中流部までは道路沿いですが、上流部は、けもの道すらない沢筋をたどらなければなりません。人の痕跡はほとんどなく、あるのはシカの足跡くらい。ときに膝まで水に浸かり、ときに背丈より高い笹薮をかきわけて行くため、わずか10メートル進むのにも何分もかかってしまいます。
流水に削られた河床や崖には、ところどころ硬い泥岩が露出してます。これは厚田村の望来(もうらい)海岸の崖の地層と同じもので、今からおよそ500万から600万年前の海の地層です。岩の隙間から石油が滲み出ている所もあります。
やがて前方から水の流れ落ちる音がしてきました。滝かと思って進んでみると、砂防ダム。けっこう古そうな、地形図にも載っていない忘れられたダムでした。上流側はすでに土砂で完全に埋まり、長靴がズボズボ沈む沼地状態。しかたなく迂回することにしました。
尾根に上がってルートを探しているそのとき。上流の薮の中から「グオオオオォ」という声(?)が。続いてガサガサ、と何かが動く音。犬? シカ? 他の人間がいるような形跡はなかったし。
とりあえず、あわてて退散しました。知津狩川最初の一滴は再アタックまでお預けです。(志賀健司)
このページに関するお問い合わせ
教育委員会社会教育部 文化財課
〒061-3372 北海道石狩市弁天町30番地4
電話:0133-62-3711 ファクス:0133-77-5011
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。