いしかり博物誌/第4回

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ページID 1002151  更新日 2025年2月28日

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第4回 発見された北海道最古の「河川遺構」

8月の広報で、現在調査中の紅葉山49号遺跡についてお話ししましたが、
その後、この遺跡の縄文時代の川跡から「河川遺構」が新たに発見されました。
そこで、今回は「河川遺構」について調査の途中経過を報告したいと思います。

写真:「河川遺構」


今年度の調査は、南側に張り出す砂丘の縁とその周辺の低地部分が対象です。「河川遺構」は低地部分の調査により、砂丘に沿って西側から流れる数本の川跡のひとつで発見されました。
写真中央の木を見てください。長さ8メートル、太さ40センチメートルほどあり、杭はこの木に沿って点々と打ちこんでありました。杭は丸木で作られており、先端部は鋭く削られています。
木に沿って打ちこまれている杭は18本あり、そのほかに隣接する別の時期の川底に打ちこまれた杭が、5本見つかっています。この遺構がつくられた時代は、川跡から出土する遺物などから約4千年前の縄文時代中期と考えられます。
この「河川遺構」のつくられた目的については、結論はまだ出ていません。
道内では、縄文時代の川の中で、杭だけでなく横に渡した木とが組み合わされた形式の遺構が発見されたのは初めてで、全く類例がないのです。
状況から考えてみると、横たわっている木は、あたかも流れをせき止めるように、川跡に直交する位置にありました。
杭はこの木に沿って打ちこまれており、この木を固定しようとしたものと考えられます。
そのため、流れの方向を変えるか、水を溜めるような役割を果たしたのではないかと思われます。

イラスト:河川遺構見取り図


8月号でお話した縄文時代の住居跡は「河川遺構」から、わずかに 20メートルほど離れた砂丘の上にあります。
ここで暮らした縄文人は、目の前に流れる発寒川を、どのように利用しようとしていたのでしょうか。 今年度の調査は10月末まで行う予定です。(工藤義衛)

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