いしかり博物誌/第34回

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ページID 1002119  更新日 2025年2月28日

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第34回 虫たちのお食事会 コガネムシはハマボウフウがお好き?

写真:ハマボウフウに集まる虫たち(ハナアブとカナブン)
ハマボウフウに集まる虫たち
左:ハナアブ 右:カナブン

石狩浜は、ハマボウフウの白い花が一面に咲く季節となりました。
さて、今回は、海辺の砂丘に広がるお花畑で食事をする虫たちの世界をのぞいてみましょう。ハマボウフウの花には、コガネムシやカミキリムシが続々と集まっています。ハナアブもやって来ました。でも、ミツバチやチョウは、ほとんどやって来ません。
ハマナスの花はどうでしょうか?コガネムシがいました。ハナアブやミツバチもやって来ました。紫色のマメ科の花、ハマエンドウには?ミツバチがたくさんやって来ます。マルハナバチやアゲハチョウも来た!!

写真:ハマエンドウに集まる虫たち(ミツバチとキアゲハ)
ハマエンドウに集まる虫たち
左:ミツバチ 右:キアゲハ

さて、ハマボウフウとハマエンドウの花では、やって来る虫の種類がだいぶ違うようですね。虫たちにも好みがあるのでしょうか?
その秘密は、花の形と虫たちの舌の長さに関係があります。虫たちは、栄養のある蜜や花粉の中で食べることができる花を選んで訪れます。いくら蜜や花粉が豊富でも、舌が届かなければ食べることができません。ハマエンドウの花の形を見てみましょう。外からは、雄しべも雌しべも見えません。蜜の在りかは花の奥深くです。そう、ハマエンドウの花は、やって来る虫に「舌の長さ」という制限を与えているのです。
そこへきたらどっしりと腰を据えて動かないコガネムシや、気分屋でどんな花でもやみくもに訪れるハナアブより、蜜が多いことを知っていて、花粉を足に付けてハマエンドウの花を次々と飛び回る、舌の長いミツバチやマルハナバチに来てもらいたいのです。そのような訳で、蜜を花の奥深くにしまい、舌の短いコガネムシやハナアブが食べられないようにしてしまったのです。
その点、ハマボウフウの花はテーブル型で、雄しべも雌しべも表面に出ているので、その上でのんびりと花粉を食べることができます。

イラスト:花の形と訪れる昆虫の関係
花の形と訪れる昆虫の関係
写真:ハマボウフウの群生
ハマボウフウの群生

「どなたでも来て花粉を食べてください。体に付いた花粉は、適当に周りの花へ運んでください。その代わり蜜は、ほとんどないですよ。」
そんなハマボウフウの花には、舌の短い、のんびり屋のコガネムシやハナアブがやって来るのです。
いろいろな花があることは、いろいろな虫がいることの証拠。夏の海辺で花を見つけたら、そっとのぞいてみてください。何かがいれば、それは自然豊かな海辺のシンボルです。
(石狩浜海浜植物保護センター/前野華子)

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