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いしかり博物誌/第37回

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月31日更新


第37回 木々の落葉(らくよう)をタイプ分け~木の育ち方が見えてくる?~

紅葉が美しい花川南防風林(提供 阿部義孝氏)の写真

 木々の葉が色づき、舞い落ちる季節になりました。紅葉は、木が冬を迎える準備をしている姿です。さまざまな木が育っている防風林をのぞいてみましょう。紅葉が早い種、遅い種、紅葉しない種など、木によって紅葉の仕方が大分違うことがわかります。今回は、北国の落葉広葉樹林に見られる二つの紅葉(落葉)タイプを紹介します。

 何種類かの木の樹冠(木の葉が茂っている部分)を注意深く観察していると、樹冠の内側(幹に近いほう)から葉を落としていくタイプと、樹冠の外側(枝先)から落としていくタイプとに大別されます。(もちろん中間的なものもありますが。)前者は、シラカバや、ヤナギ、ハンノキの仲間、後者は、ミズナラやカエデ、サクラの仲間が相当してくることでしょう。

さて、どうしてこのような違いが見られるのでしょうか。それは、春先の葉の開き方と大きく関係しています。樹冠の内側から落葉するタイプは、春から夏にかけて、新しい葉っぱを順々に広げていったもの(順次開葉型)で、早い時期に開いた葉っぱからすなわち古い葉っぱから順番に落としていくのです。
 一方、樹冠の外側から紅葉・落葉する樹種は、春に一斉に葉を広げ、それを秋までずっと長持ちさせていたタイプ(一斉開葉型)です。葉の齢は同じでも、日の光がよく当り、光合成の盛んな外側の方が、葉の老化が早いのでしょう。
二つの紅葉(落葉)タイプを紹介した写真   樹冠の外側から落葉していくシラカバの写真

さらに、この二つのタイプは、木の成長の仕方を大きく反映しています。前者は、新しい葉を次々と開き、盛んに光合成を行い、明るい環境で早く成長するタイプです。川の氾濫した跡や火山跡地に新しい林を作り上げるので、パイオニアツリー(先駆樹種)と呼ばれています。後者は、暗い環境でも地道に光合成を行い、林の中の上層木の下でゆっくりと育つタイプで、すでに出来上がった林を維持していく役割を果たしています。

さて、みなさんの身近にある林には、どちらのパターンの木が多いでしょうか。紅葉・落葉の様子から、林の年齢を読み取ってみませんか。   (石狩浜海浜植物保護センター/前野華子)

絵で見る2タイプの落葉の説明画像