石狩浜の漂着物
石狩ファイル0118-01(2010年10月31日)
石狩湾の湾央に位置する石狩浜(石狩湾新港~石狩川河口)では、生物の遺骸からゴミまで、さまざまな漂着物が見られます。その種類・量は、(1)日本海を北上する対馬暖流、(2)大陸から吹き出す冬の北西季節風、(3)石狩湾に流れ込む石狩川、の影響を強く受けています。そのため、寒冷種だけでなく温暖な海の生物や、石狩川の上流から運ばれてきた石炭が見られる、という特徴があります。また、漂着ゴミは日本国内が起源のものだけでなく、ロシア製、韓国製、中国製のものも目立ちます。
漂着物の種類や量を調べることによって、気候や海洋環境変動、人間生活と環境への影響などがわかります。たとえば石狩浜でも、2005年以降、本来は温暖な海にしか生息しないエチゼンクラゲやアオイガイの漂着が急増していますし、2007年には、これまで本州以南でしか見られなかったギンカクラゲとルリガイが北海道で初めて発見されました。これらの現象は、海洋環境の変化を示していると考えられています。
石狩浜で確認された主な漂着物
(○:特に多く見られるもの *:石狩では珍しいもの)
自然物
- 貝
- ○ウバガイ、○バカガイ、○ヤマトシジミ、○コタマガイ、ムラサキイガイ、ほか多種
- 無脊椎動物
(貝以外) - ミズクラゲ、オワンクラゲ、*エチゼンクラゲ、*アカクラゲ、*ウラシマクラゲ、*ギンカクラゲ、ウリクラゲ、エゾバフンウニ、オカメブンブク(ウニ)、ハスノハカシパン(ウニ)、スナヒトデ、モクズガニ、サメハダヘイケガニ、ヒラツメガニ、シャコ、ヒメハマトビムシ、ヨコエビ類、ホオズキガイ、コウイカ類、*アオイガイ(カイダコ)、ウミサボテン、ユムシ、*オオサルパ、ホヤ類、フジツボ類、エボシガイ、コケムシ、カンザシゴカイ
- 海生哺乳類
- ネズミイルカ、イシイルカ、*カマイルカ、*オウギハクジラ、*ゴンドウクジラ類、ゴマフアザラシ、トド、オットセイ
- 陸生哺乳類
- エゾシカ、キタキツネ
- 魚類
- カタクチイワシ、*ウマヅラハギ、サケ
- 鳥類
- オオセグロカモメ、ウミネコ、ウミウ、ハシブトウミガラス
- 爬虫類
- *アカウミガメ
- 海藻・海草
- 昆布(褐藻類)、緑藻類、紅藻類、アマモ
- 陸生植物
- ○オニグルミの実、ヒシの実、カシワの実、トチの実、カエデの種、ブナの殻斗、ドクゼリの根、マツカサ、*ココヤシの実、○枯葉・枯枝、○流木
- 岩石・鉱物
- ○石炭、○軽石、メノウ、コハク
- その他
- 砂茶碗(ツメタガイの卵嚢)、*ブリコ(ハタハタの卵)
人工物
- 容器
- ○ペットボトル、ガラスびん、薬品ポリタンク
-
漁具
- ○プラスチック浮き、ガラス浮き玉、アナゴ漁の仕掛け、漁網、船舶用電球、魚箱、白樺浮き
- その他
- ライター、医療廃棄物(注射器、薬品びん等)、廃油ボール、*ラジオゾンデ(気象観測器)、プリンターインクカートリッジ、船舶用救命道具、たばこフィルター、タイヤ、散弾銃の薬莢、野菜(タマネギ、カボチャ等)
参考文献
- 志賀健司(2007)北海道石狩湾岸におけるアオイガイの大量漂着.漂着物学会誌,5,39-44.
- 鈴木明彦(2006)北海道の漂着物-ビーチコーミングガイド-.北海道新聞社.
- 鈴木明彦・志賀健司(2008)2007年秋における北海道石狩浜へのルリガイの漂着.ちりぼたん,39,22-24.
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