石狩海岸の外来植物

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ページID 1004716  更新日 2025年2月28日

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石狩ファイル0143-01(2015年3月31日)

石狩海岸には、特有の海浜植物が生育して、独特の景観を形成しています。そこに、近年、多数の外来種が見られるようになりました。外来種とは、国外及び国内の他地域から人為的に持ち込まれた生物を指します。石狩海岸の植物では、外来種19科64種が確認されています。

外来植物が分布を拡大すると海浜の植物相が変化し、景観上も大きな影響があります。たとえば、イネ科の牧草類が成長すると、丈の低い海浜植物は十分な日光が得られなくなり、成長を妨げられます。また、牧草類の生育密度が高くなると地表に大量の枯葉が堆積して、地中の温度の上昇を妨げます。枯葉が分解して土壌が形成され、肥沃になると、海浜植物以外の植物の侵入を促進します。また、地下20センチメートルの深さまで密な根の層が形成されるため、地下茎で分布を広げるハマナスは、地下茎の生育を妨げられ、更新ができなくなります。虫媒花植物にとっては花粉を運んでくれる大切なパートナーである昆虫が、大量に花を咲かせる外来植物に奪われ、両者の関係が崩れてしまうかもしれません。

近年急速に分布を拡大している種としてオニハマダイコンがあげられます。2006年、石狩川右岸地区で初めて観察されたオニハマダイコンは、その後、石狩浜の汀(なぎさ)に近い砂地で群落が拡大している様子が観察されています。

石狩浜では、市民や企業のボランティアの協力を得て、年に2回、外来種といくつかの在来種の植物を除去する作業が、はまなすの丘公園の一部の区域で行われています。

(林 迪子)

表:石狩海岸の外来植物一覧
ヤナギ科 ウラジロハコヤナギ・セイヨウハコヤナギ
クワ科 アサ
タデ科 ヒメスイバ・ナガバギシギシ・エゾノギシギシ
ナデシコ科 ムシトリナデシコ・スイセンノウ・ウスベニツメクサ
アカザ科 シロザ・ホコガタアカザ・ウラジロアカザ
オトギリソウ科 コゴメバオトギリ
アブラナ科 ハルサキヤマカラシ・オニハマダイコン
バラ科 エゾノミツモトソウ
マメ科

イタチハギ・シロバナシナガワハギ・シナガワハギ

コメツブツメクサ・テマリツメクサ・ムラサキツメクサ

シロツメクサ・ニセアカシア・コメツブウマゴヤシ

ムラサキウマゴヤシ

アカバナ科 メマツヨイグサ・オオマツヨイグサ
セリ科 ノラニンジン
キョウチクトウ科 ヒメツルニチニチソウ
ナス科 ヨウシュチョウセンアサガオ
ゴマノハグサ科 ビロードモウズイカ
オオバコ科 ヘラオオバコ
キク科

セイヨウノコギリソウ・ユウゼンギク・アメリカセンダングサ

フランスギク・ヒメジョオン・ハルジオン

ヒメムカシヨモギ・テンニンギク・コウリンタンポポ

キバナノコウリンタンポポ・ブタナ・タンポポモドキ

トゲチシャ・ノボロギク・セイタカアワダチソウ

オオアワダチソウ・セイヨウタンポポ・イガオナモミ

ネバリノギク・イヌキクイモ・イヌカミツレ

ユリ科 オニユリ
アヤメ科 キショウブ
イネ科

コヌカグサ・ハルガヤ・カモガヤ

ヒロハウシノケグサ・オオアワガエリ・ナガハグサ

シバムギ・ホソノゲムギ

参考文献

  • 北海道環境科学研究センター・北海道立林業試験場・北海道立地質研究所・石狩浜海浜植物保護センター(2006)北海道の海浜保全再生マニュアル.北海道環境科学研究センター.
  • 石狩浜定期観察の会(2011,2012)観察記録.
  • 三浦美惠子・佐々木美香(2010)小樽市銭函海岸の植物相(1)一新川河口から樽川埠頭において一.小樽市総合博物館紀要,23,7-15.

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