石狩の貝
石狩ファイル0096-01(2009年2月11日)
石狩湾には、石狩市知津狩(しらつかり)から小樽市銭函(ぜにばこ)にかけて、長い砂浜海岸が続いています。この海域は日本海を北上する対馬(つしま)暖流の影響があります。そのため、北海道といえども寒流系の貝だけでなく、寒流域・暖流域の両方に生息する貝も多く見られることが特徴で、全部で63種の貝が確認されています(表)。
これらの中で、ムラサキイガイはヨーロッパ原産の外来種で、1920年代に日本に定着したものです。また、トリガイは暖流系種で、これまで分布の北限は房総半島(千葉県)あるいは陸奥湾(青森県)とされていましたが、2005年には函館で、2006年には石狩で多数見つかりました。さらに2007年秋には、暖流系浮遊性巻貝のルリガイが石狩で初めて発見されています。
(志賀健司)
※貝類:軟体動物の仲間のうち、体の内外に硬い殻をもつ生物のことです。一部のタコ・イカなども含まれます。
分類 | 貝(種名) |
---|---|
多板(たばん)綱(ヒザラガイ等) | ヒザラガイ |
腹足(ふくそく)綱(巻貝) |
エゾアワビ、エゾバイ、エゾボラ(マツブ)、 カモガイ、キサゴ、コガモガイ、 コシダカガンガラ、サルアワビ、シライトマキバイ、 タマガイ、チヂミボラ、ツメタガイ、 ネジボラ、ヒメエゾボラ(ツブ)、ヒレガイ、 ユキノカサガイ、ヨウラク、ルリガイ |
二枚貝綱(二枚貝) |
アカガイ、アサリ、アズマニシキ、 アラスジサラガイ、イガイ(ヒル貝)、イソシジミ、 ウソシジミ、ウチムラサキ、ウバガイ(ホッキ)、 エゾイシカゲガイ、エゾキンチャクガイ、エゾヌノメアサリ、 エゾヒバリガイ、オオノガイ、オオミゾガイ、 カガミガイ、カモメガイ、キヌマトイガイ、 キララガイ、ゴイサギガイ、コケライシカゲガイ、 コタマガイ、コベルトフネガイ、サクラガイ、 サラガイ(白貝)、シジミ、ソトオリガイ、 タマキガイ、チヂミマユイガイ、トリガイ、 ナミガイ、ナミマガシワ、ニオガイ、 ヌノメアサリ、バカガイ(アオヤギ)、ビノスガイ、 ベニサラガイ、ホタテガイ、マガキ、 マテガイ、ムラサキイガイ(ムール貝) |
頭足(とうそく)綱(タコ・イカ) | アオイガイ(カイダコ)、コウイカ、ヒメコウイカ |
[伊藤静孝(未公表データ)、鈴木(2003、2005)等より]
※綱(こう):分類の単位。「ほ乳綱」「鳥綱」など。
参考文献
- 鈴木明彦(2003)北海道石狩湾沿岸における打ち上げ貝類.漂着物学会誌,1,7-12.
- 鈴木明彦(2005)北海道望来海岸の打ち上げ貝類とその生態的意義.環境教育研究,8,27-34.
- 鈴木明彦・志賀健司(2007)北海道におけるトリガイの緯度分布と地質記録.ちりぼたん,38,116-121.
- 鈴木明彦・志賀健司(2008)2007年秋における北海道石狩浜へのルリガイの漂着.ちりぼたん,39,22-24.
- 山崎友資・岸本喜樹・川南拓丸・澤野真規・五嶋聖治(2007)函館湾沿岸に打ち上げられたトリガイ.ちりぼたん,37,208-214.
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