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石狩ファイル0084-01(2008年3月25日)

旧長野商店

きゅうながのしょうてん


明治29年の長野商店(細野正子氏所蔵)
旧長野商店は、石狩市弁天町30番地5にある市内最古の木骨石造(もっこつせきぞう)建築物です。店舗は明治27(1894)年の建築ですが、石蔵は、アーチ窓の意匠や軟石の目地の施工法が、明治10(1877)年建築の水原寅蔵商店の石蔵(札幌市・現存せず)と酷似しており、建築時期が明治10年代に遡る可能性が高いと考えられています。

店舗、石蔵あわせて、長さ約81cm×高さ約30cm×厚さ約17cmの軟石が920個あまり使用されています。木造の骨組みの外側に軟石を積む木骨石造の工法が用いられている点や、伝統的な日本家屋によく見られる瓦屋根や卯建(うだつ)に、アーチ窓などの洋風意匠をあわせもつ、和洋折衷のデザインが特徴です。また、店舗、蔵ともに耐火性の高い木骨石造で建てられていることは珍しいとされています。

長野商店は、越後荒井浜(新潟県聖籠(せいろう)町)出身の長野徳太郎が、明治7年に創業しました。米、塩、呉服、反物のほか、酒造業も営んでおり、当時の石狩町を代表する商家のひとつでした。昭和30(1955)年に閉店した後、昭和63(1988)年、石狩町に建物が寄贈され、平成6(1994)年に石狩町の文化財の指定を受けました。元は親船町7番地にありましたが、道道拡幅のため、平成19(2007)年3月に現在地に移築復原されました。

(三島照子・工藤義衛)

店舗:幅9.09m(五間半)奥行7.27m(四間)、高さ8.19m、延べ床面積152.51m2
石蔵:幅5.45m(三間)、奥行7.27m(四間)、高さ6.83m、延べ床面積65.45m2


参考文献


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