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石狩ファイル0090-01(2008年3月25日)

石狩港湾計画のあゆみ(5)石狩湾新港

いしかりこうわんけいかくのあゆみ5いしかりわんしんこう


現在の石狩湾新港
■札幌圏の都市型ポート
石狩湾沿岸のほぼ中央に位置する石狩湾新港の開発は、この地域が札幌市を中心とした道央圏にあり、物流機能を活用するのが極めて有利な地理的環境にあることから、昭和45(1970)年「第3期北海道総合開発計画」で北海道開発の一大プロジェクトとして構想されました。しかし、着工までには至近距離にある小樽港との機能分担問題や石狩湾を生活の糧としてきた漁民に対する漁業補償など様々な課題を抱えました。新港の背後にはそうした歴史の激動とドラマを秘めながら、建設が進められました。

昭和48(1973)年、試験突堤と東防波堤の工事に着手した新港建設は、島防波堤、北防波堤、東埠頭岸壁工事などを経て、昭和57(1982)年8月、悲願であった第一船がロシアから木材を満載し入港します。その後も中央水路掘込、花畔(ばんなぐろ)・樽川(たるかわ)埠頭岸壁などが完成し、わが国の重要港湾(昭和48年指定)として大きな役割を果たすことになります。平成9(1997)年、世界有数のハブポートである韓国釜山(ぷさん)港との間にコンテナ定期航路を開設するなどし、平成13(2001)年の年間取扱貨物量は300万トンを突破、同17(2005)年には外航船の入港3,000隻を達成しました。バブル経済崩壊後の不況などで低迷を続けていた取扱貨物量も最近は順調に回復し、平成17(2005)年には約350万トンに達し、道内では苫小牧港、室蘭港、函館港、釧路港、小樽港に次ぐ位置にまで発展しました。取扱う貨物の種類では、化学工業品、鉱産品、金属機械工業品、木材ほか、となっており、また貨物構成では、移出・移入は約270万トン、輸出・輸入は約77万トンで、国内貨物が約80%を占めています。

■札幌圏の物流拠点
石狩湾新港を核とした後背地には、総面積3,000haの大規模工業流通団地「石狩湾新港地域」があります。札幌市の中心部から15kmの至近距離に位置し、恵まれた立地環境と港湾機能を備えるこの地域には、食品加工やリサイクル企業、大型の冷蔵設備を有する倉庫業や物流センターなど738社が立地し、うち現在600社が操業しており(平成19年3月現在)、札幌圏の物流の要としての役割を強めています。用途地区別に見ると、最も立地企業が多いのは住宅関連地区で276社、次いで流通地区211社、建設関連地区88社、機械金属関連地区73社、生活関連地区55社、その他となっています。また、この地域は石狩市を中心とする雇用の場としても注目されており、現在約1万4000人が働いています。

(木戸口道彰)


参考文献


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