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石狩ファイル0145-01(2015年3月31日)

望来層の化石

もうらいそうのかせき


石狩市厚田区望来(もうらい)には、海岸線に沿って地層が露出しています。ほとんどは泥岩と頁岩(けつがん、うすくはがれるように割れる性質を持つ泥岩の一種)からなる、望来層と呼ばれる地層です。望来層は新生代新第三紀後期中新世(ちゅうしんせい、1162万年前〜533万年前)の地層で、堆積年代は910万年前〜760万年前と考えられています(小竹ほか2008)。

望来層の中には、ノジュール(直径10cm〜3mほどの球状の硬い団塊)がたくさん見られ、その中からいろいろな化石が産出します。もっとも多く見られるのが、ワタゾコウリガイ、オウナガイ、トクナガキヌタレガイなどの二枚貝化石です。特にワタゾコウリガイは殻が密集した状態での産出が多く見られます。これらの二枚貝は、いずれも水深が数百mから1000mくらいの深海に生息し、海底から湧き出すメタンや鉱物分を含んだ湧水をエネルギー源とするバクテリアと共生する「化学合成群集」という特殊な生物群です。

望来層からは、二枚貝化石のほかにも、巻貝、ツノガイなどの貝化石が産出します。また、これまでに鯨類、魚類、甲殻類(カニなど)の化石も見つかっています。そのほか、植物化石や生痕化石(底生動物が這い回った跡など)もよく見られます。

(志賀健司)

※海岸の崖はとても崩れやすいため、観察・採集には細心の注意が必要です。

表:望来層から産出する化石
腹足類(巻貝)エゾバイ属、キタノモロハバイ、モロハバイ属、ハイイロタマガイ属、ウスイロタマツメタ、エゾボラ属
掘足類(ツノガイ)シンカイフトツノガイ、ヤスリツノガイ
二枚貝類オオキララガイ、カラフトキララガイ、キララガイ、サザナミソデガイ、ワタゾコウリガイ、オウナガイ、ムカシオオツキガイモドキ、シラトリガイ属、ベッコウキララガイ属、トクナガキヌタレガイ
甲殻類カニの仲間
硬骨魚類種不明
哺乳類ヒゲクジラ類
植物多数

ワタゾコウリガイ オウナガイ トクナガキヌタレガイ 望来層のノジュール


参考文献


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